文献情報
文献番号
201521003A
報告書区分
総括
研究課題名
粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究
課題番号
H25-労働-一般-003
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
名古屋 俊士(早稲田大学 理工学術院創造理工学部環境資源工学科)
研究分担者(所属機関)
- 明星敏彦(産業医科大学生態科学研究所)
- 村田克(公益財団法人労働科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在、粉じん障害防止規則第2条(別表1)に掲げる粉じん作業(以下「粉じん作業」という)として定められた作業の範囲及び事業主の責務として実施が義務づけられた粉じんばく露防止対策の有効性を調査するとともに、今後の省令改正等の必要性を検討する上での基礎資料とすることを目的とする。また、平成24年4月有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令により局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入が可能となったが、粉じん障害防止規則の対象については別途検討することとされた。そこで、粉じん障害防止規則において、局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入に何が必要かの検討結果を受けて、具体的に小型発散抑制装置を作製し、実験室及び現場での適用試験を試みる。
研究方法
1)土石又は鉱物を開放炉に投入する作業を行う12事業所において、15名の作業について、粉じんばく露濃度測定を行った。2)屋外の鉱物等を動力により破砕する作業は、測定可能環境が少なく小割り作業を行う事業所も従業員3、4名の小規模事業場のためなかなか事業場からの測定の許可が得られにくい現状のため、25年は測定が出来なかった。26年と27年にやっと各1事業所で測定行うことが出来た。
3)船倉内の荷役作業終了後の清掃作業は、25年及び26年と荷主の許可が得られず、測定が難しかった。幸い27年は、粉じん測定の主旨に賛同し、粉じんばく露濃度測定に理解を示してくださった事業場の協力を得て、4事業場で11名の作業者について、粉じんばく露濃度測定が出来た。4)粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入への研究は、局所排気装置以外の粉じん発散防止抑制装置の使用を可能にするため、集じんフィルターを内蔵した屋内排気型側方吸引型外付け式フードを作製し、実験室を実際の作業場に想定し、外乱気流がフードからの粉じんの漏洩やばく露濃度にどのような影響を与えるかについて検討した。また、粉じんを取り扱う作業現場で、第1管理区分に成っている事業場が、作業現場に設置されている局所排気装置の吸引風速を制御風速より遅くした状態で、局所排気装置からの粉じんの漏洩濃度、作業者のばく露濃度及び作業環境測定を金属研磨作業現場、衛生陶器の研磨作業現場、プレート溶接作業現場及びベルト研磨・バフ研磨作業現場と業種の違う4事業場において実施した。
3)船倉内の荷役作業終了後の清掃作業は、25年及び26年と荷主の許可が得られず、測定が難しかった。幸い27年は、粉じん測定の主旨に賛同し、粉じんばく露濃度測定に理解を示してくださった事業場の協力を得て、4事業場で11名の作業者について、粉じんばく露濃度測定が出来た。4)粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入への研究は、局所排気装置以外の粉じん発散防止抑制装置の使用を可能にするため、集じんフィルターを内蔵した屋内排気型側方吸引型外付け式フードを作製し、実験室を実際の作業場に想定し、外乱気流がフードからの粉じんの漏洩やばく露濃度にどのような影響を与えるかについて検討した。また、粉じんを取り扱う作業現場で、第1管理区分に成っている事業場が、作業現場に設置されている局所排気装置の吸引風速を制御風速より遅くした状態で、局所排気装置からの粉じんの漏洩濃度、作業者のばく露濃度及び作業環境測定を金属研磨作業現場、衛生陶器の研磨作業現場、プレート溶接作業現場及びベルト研磨・バフ研磨作業現場と業種の違う4事業場において実施した。
結果と考察
1)土石又は鉱物を開放炉に投入する作業の粉じんばく露濃度測定結果は、15名の作業者の内、8名の作業者の粉じんばく露濃度が、管理濃度を超えていた。また、作業者の粉じんばく露濃度が管理濃度を下回った7名の作業者の内、2名の作業者は、粉じんばく露濃度の10分間移動平均値が管理濃度を上回っていたので、評価としては管理濃度を超えていたと判断した。その結果、15名の作業者の内、10の作業者、つまり67%(10/15)の作業者で管理濃度を超えていた。2)屋外の鉱物等を動力により破砕する作業の粉じんばく露濃度測定結果は、2事業場で、3名の作業者について粉じんばく露濃度測定を行った結果、この屋外において鉱石を動力により破砕する作業は別表第3に組み入れる粉じん則の改正が必要と考える。3)船倉内の荷役作業終了後の清掃作業の粉じんばく露濃度測定結果は、11名の作業者の内、10名の作業者が管理濃度を超えていた。作業の状況から管理濃度以下に粉じんばく露濃度を低減することは困難であることが予想されることから、別表第3に組み入れる粉じん則の改正が必要と考える。
4)粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入研究は、局所排気装置以外の粉じん発散防止抑制装置について、諸条件を検討した結果、制御風速よりも遅い捕捉点風速であっても漏洩およびばく露を防げると考えられた。また、業種の違う4事業場において実施した結果、4事業場とも、局所排気装置の吸引風速を制御風速より遅くしても作業環境は第1管理区分を維持しており、作業環境に影響のある漏洩は見られなかった。そのため、制御風速を基に設計された局所排気装置であっても、作業環境が良好に保たれれば、制御風速以下で局所排気装置を運用することが可能であることが検証できた。
4)粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入研究は、局所排気装置以外の粉じん発散防止抑制装置について、諸条件を検討した結果、制御風速よりも遅い捕捉点風速であっても漏洩およびばく露を防げると考えられた。また、業種の違う4事業場において実施した結果、4事業場とも、局所排気装置の吸引風速を制御風速より遅くしても作業環境は第1管理区分を維持しており、作業環境に影響のある漏洩は見られなかった。そのため、制御風速を基に設計された局所排気装置であっても、作業環境が良好に保たれれば、制御風速以下で局所排気装置を運用することが可能であることが検証できた。
結論
土石又は鉱物を開放炉に投入する作業及び屋外の鉱物等を動力により破砕する作業は、別表第3に組み入れる粉じん則の改正が必要な作業と考える。また、船倉内の荷役作業終了後の清掃作業は、粉じん作業とし、且つ別表第3に組み入れる粉じん則の改正が必要な作業と考える。さらに、粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入のため基礎研究及び現場検証研究の3年間の成果を踏まえて、改めて粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の設置を特定粉じん発生源に係る措置として取り扱うため必要な4つの要件を提案した。
公開日・更新日
公開日
2016-06-03
更新日
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