文献情報
文献番号
200938003A
報告書区分
総括
研究課題名
基礎工事用大型建設機械の転倒防止に関する研究
課題番号
H19-労働・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
玉手 聡(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
- 末政直晃(東京都市大学 工学部 都市工学科)
- 伊藤和也(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は基礎工事用大型建設機械(以下,くい打機と言う)の転倒危険性を解明し,災害防止に資する情報を提供することである.建設現場においてくい打機が転倒する原因には,機械側の不安定要因と,くい打機が設置される地盤側の不安定要因があると考え,不安定メカニズムの解明を試みた.
研究方法
くい打機は下部走行体と上部構造体により構成され,上部構造体には長尺なリーダーが備わる.このリーダーには施工用のドリル装置等が取り付けられる.その結果,質量配置はトップヘビーとなり,揺動や傾斜に対して潜在的に不安定な構造となっている.加えて,くい打機は重心位置が中心よりも前側にあるため履帯(基礎)には偏心荷重が働く.その結果,地盤支持力は減少し,地盤に沈下を生じる危険がある.また,くい打機が自走する施工中の現場地盤は支持力が必ずしも均一でなく,通過時に揺動が生じ機体を不安定化させる.
そこで本研究では,施工現場におけるくい打機の転倒防止について,まず危険要因の整理とそのレベルを明らかにすること,すなわち「何」が「どの位」危険なのかの解明を試みた.そして,研究結果に基づいた安全基準を検討した.
そこで本研究では,施工現場におけるくい打機の転倒防止について,まず危険要因の整理とそのレベルを明らかにすること,すなわち「何」が「どの位」危険なのかの解明を試みた.そして,研究結果に基づいた安全基準を検討した.
結果と考察
くい打機を約1/30スケールに縮小した小型走行模型を用いて遠心場走行実験を行い,機械側条件と地盤側条件の両面から危険要因を検討した.機械側条件では安定度(限界傾斜角)と重心高さ,及び走行速度に着目した.地盤側条件として支持力安全率,支持力の変動係数,地盤の起伏に着目した.履帯の接地圧力と地盤支持力の関係と,機体揺動の変動を解析し,転倒危険性を評価した.
くい打機の下部走行体に備わる履帯の基礎模型を製作し,その載荷圧力と沈下比の関係を実験的に調査した.この調査では機体重心の違いを荷重の偏心により再現した.また,地盤養生に用いられる敷鉄板について,接地圧力の分散効果を実験的に調査した.くい打機は現場内を移動して施工する.従って,敷鉄板に対しては移動荷重となる.分散効果は載荷位置により異なると共に,重複の与え方によっても変わることを明らかにした.
くい打機の下部走行体に備わる履帯の基礎模型を製作し,その載荷圧力と沈下比の関係を実験的に調査した.この調査では機体重心の違いを荷重の偏心により再現した.また,地盤養生に用いられる敷鉄板について,接地圧力の分散効果を実験的に調査した.くい打機は現場内を移動して施工する.従って,敷鉄板に対しては移動荷重となる.分散効果は載荷位置により異なると共に,重複の与え方によっても変わることを明らかにした.
結論
英国基準(BS)では本基準とは別にCode of practiceを示し,安全上有効な規範を基準に準じた推奨事項としている.本研究ではこれを参考に,建設現場においてくい打機が安定自走するための安全規範を提案した.この提案では安定に必要な3つの条件を示し,その達成に必要な推奨値も述べた.この推奨値は規則等に定められた最低基準に安全の余裕を加算した値となっており,施工中のくい打機が基準を下回らない値とすることを検討した.
公開日・更新日
公開日
2010-06-15
更新日
-