文献情報
文献番号
200500279A
報告書区分
総括
研究課題名
国立大学病院医療に及ぼすDPC導入の影響―主要老年病の医療・治療の標準化・充実を目指して
課題番号
H15-長寿-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 清(横浜市立みなと赤十字病院)
研究分担者(所属機関)
- 伏見 清秀(東京医科歯科大学医療情報システム学分野)
- 石田 達樹(東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
33,141,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究ではDPCのデータ解析を通じて高齢者医療の標準化・充実を図ることを目的とし、国立大学病院においてDPC制度導入が医療、運営に与えた影響に関して調査研究を行った。
研究方法
平成16年度までの研究で構築した「DPCデータ解析システム」、「DPCデータマイニングシステム」、「DPCプロセス・ベンチマーク・システム」を使用して、平成16年度の7月から10月までのDPC包括評価のための調査にて国立大学病院より収集されたデータを用いて解析を行った。
結果と考察
DPCデータ分析システムによる解析では、特に高齢者で重要な疾患として脳梗塞、肺炎、白内障が明らかとなり、併存症、合併症等が主に在院日数に大きく影響を与えることが示された。また、病院別評価では年齢構成の差異の影響は特に認められず、医療機関の診療プロセスの差異の影響が在院日数の差に影響していると考えられた。さらに、高額薬剤、高額検査等の評価に問題があること、高齢者は医療費としてはやや低い傾向にあること等が示された。診療報酬区分別の分析により、患者年齢による診療内容の違いを検討したが、明確な傾向は見いだされなかった。これらに関して、症例数の多い244診断群分類について、PDF版の総合レポートを作成し、配布した。
DPCデータマイニングシステムによる解析では、年齢要因単独での影響としては、高齢者の方の在院日数が長い疾患として、慢性化膿性中耳炎、高齢者の方の在院日数が短い疾患として、敗血症、高齢者の方の1日当たり点数が高い疾患として緑内障、大腸ポリープ、高齢者の方の1日当たり点数が低い疾患として痴呆性疾患、帯状疱疹、乳癌、などが見いだされた。また、高齢者の方の包括評価点数が有利になる疾患としては、肺炎、帯状疱疹、甲状腺癌、卵巣癌、急性白血病、敗血症があった。
DPCプロセス・ベンチマーク・システムの解析では、虚血性心疾患のカテーテル治療のプロセスの相違から効率性が大きく異なっていること、乳癌の化学療法のパターンが医療機関によって大きく異なること、脳梗塞患者のICU在室日数が大きく異なることなどが示された。
DPCデータマイニングシステムによる解析では、年齢要因単独での影響としては、高齢者の方の在院日数が長い疾患として、慢性化膿性中耳炎、高齢者の方の在院日数が短い疾患として、敗血症、高齢者の方の1日当たり点数が高い疾患として緑内障、大腸ポリープ、高齢者の方の1日当たり点数が低い疾患として痴呆性疾患、帯状疱疹、乳癌、などが見いだされた。また、高齢者の方の包括評価点数が有利になる疾患としては、肺炎、帯状疱疹、甲状腺癌、卵巣癌、急性白血病、敗血症があった。
DPCプロセス・ベンチマーク・システムの解析では、虚血性心疾患のカテーテル治療のプロセスの相違から効率性が大きく異なっていること、乳癌の化学療法のパターンが医療機関によって大きく異なること、脳梗塞患者のICU在室日数が大きく異なることなどが示された。
結論
分析結果を総合的に解釈すると年齢要因が単独で医療資源必要度を決定している場合は稀で、多くは治療手技、併存症等の要因とともに関与してきていると考えられた。また、老年病の急性期治療の質の向上との観点からは、他の一般的急性期疾患と同様の考え方で診断群分類の精緻化と比較評価に基づく医療の標準化を検討していく必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-29
更新日
-