ナノ微粒子の体内動態可視化法の開発

文献情報

文献番号
200736020A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ微粒子の体内動態可視化法の開発
課題番号
H18-化学-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
亘理 文夫(北海道大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田路 和幸(東北大学大学院環境科学研究科)
  • 戸塚 靖則(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 横山 敦郎(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 北川 善政(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 森田 学(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 朝倉 清高(北海道大学触媒化学研究センター)
  • 古月 文志(北海道大学大学院地球環境科学研究院)
  • 大貫 惣明(北海道大学大学院工学研究科)
  • 遠山 晴一(北海道大学病院)
  • 石川 邦夫(九州大学大学院歯学研究院)
  • 岡崎 正之(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 淺岡 憲三(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
33,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ナノ微粒子は高機能性の発現とともに刺激性も増進し、呼吸・消化器系を通して体内侵入・拡散する。その挙動は全身から臓器、組織、細胞レベルと単純ではなく、微細で体内で拡散して密度も低いことから検出は容易ではない。本研究では新たに開発した方法も含め、多様な顕微鏡法で各レベルの体内動態を可視化した。
研究方法
 Ti, Fe, Pt, TiO2, CNT, ポリ乳酸等の微粒子を分散後、マウスへ尾静脈注入、一部は経口投与した。MRI法を除き開腹または切片を作製後、全身分布観察と摘出した臓器間比較を行い、体内循環の経時的変化を可視化した。またICP化学分析とも比較した。
結果と考察
1.全身動態
①XSAM(X線走査型分析顕微鏡)元素マッピング法:収束X線プローブを照射し、試料から発光した蛍光X線をマッピングし元素分布像を得た。TiO2では投与直後、肺に到達し、数時間から数週間かけて肝臓、さらに脾臓へ移行した。Fe, Pt, Wでは投与初期から脾臓に高濃度に検出され、総量では肝臓に最も多量に存在した。
②レーザー/マス法:水溶化フラーレンを投与したラットの各臓器の切片に、レーザービームを照射し蒸散した分子をマススペクトルにかけ、2次元質量分布像を得た。脳からは検出されず、肝臓と腎臓から検出された。
③MRI法:Fe3O4磁性ナノ微粒子の体内循環を経時的に3次元造影し、肝臓、腎臓への濃縮を認めた。

2.臓器内表示
④蛍光・光学顕微鏡法:蛍光ラベリングした親水化CNT及びポリ乳酸粒子を投与後、蛍光像・病理組織像観察を行い、肺、肝臓、脾臓、腎臓内分布像を得た。

3.細胞動態
 ヒトマクロファージ様細胞(THP-1)によるCNTの貪食、単細胞個体(ゾウリムシ)の微粒子摂取行動・細胞内動態の連続観察によるAg, TiO2, CoFe2O4粒子の細胞毒性解析を行った。

4.細胞内動態
⑤透過型電顕法:ラット軟組織内に埋入したCNTの細胞内取込、ライソゾーム内での経時的な分散・破折断片化等の代謝過程を超高圧電顕による高分解能観察を含め行った。

5.バイオ応用開発:細胞培養CNTスカフォールド、骨置換性ナノアパタイト/コラーゲン/コンポジットの開発;生体内Tiの水素脆性破断機序、植物細胞へのCNTの影響、人工関節摩耗シミュレーションと周囲骨溶解のサイトカインカスケードの解析を行った。
結論
 各種顕微鏡で微粒子体内動態を全身、臓器、組織、細胞レベルで可視化し、経時変化、材料依存性を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2008-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-27
更新日
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