ナノチューブ、ナノ微粒子、マイクロ微粒子の組織反応性とバイオ応用

文献情報

文献番号
200400206A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノチューブ、ナノ微粒子、マイクロ微粒子の組織反応性とバイオ応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
亘理 文夫(北海道大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田路 和幸(東北大学大学院工学研究科)
  • 橋田 俊之(東北大学大学院工学研究科附属エネルギー安全科学国際センター)
  • 戸塚 靖則(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 横山 敦郎(北海道大学病院)
  • 野方 文雄(岐阜大学工学部)
  • 羽田 紘一(石巻専修大学理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ナノパーティクルは新たな機能性を産み出す一方、人体が生体防御機構の対象として想定してこなかった新たな異物として為害性を誘発する可能性があり、ニッケルでは腫瘍発生等の典型的なナノトキシコロジーを発現する。微粒子の組織反応性をまず明らかにし、次に代表的なナノパーティクルのカーボンナノチューブ(CNT)およびナノコンポジットのバイオ応用を図った。
研究方法
 好中球、マクロファージ等による細胞機能性試験で細胞生存率、増殖率、LDH、活性酸素、サイトカインTNF-α, IL-1β, IL-8, M-CSF産生を調べ、埋入試験により組織反応の病理学的検索を行った。
結果と考察
チタンのような生体材料でも100μm以下粒径が小さくなるほど刺激性は増大し、貪食を誘発する3μm-500nmで最も顕著になり、500nm-50nmでは低下する傾向を示した。針状粒子は塊状に比べ刺激性を示し、30nmTiO2の強制露曝試験を行うと肺胞を通して体内に取込まれた。
 CNTについてはm-RNAの発現、組織内炎症、細胞ライソゾーム内での分解性ともナノファイバー(CNF)のほうがCNTよりも体内処理性が高く結晶構造依存性が認められた。擬似体液への浸漬によるアパタイトのバイオミメティック・コーティング、細胞付着・伸展性に富む再生用スカフォールド、細菌の物理吸着、コラーゲンとの相互作用による歯質の選択吸着を利用したコンポジットレジン/歯質 接着界面マーカー、CNTゾル内包アルギン酸ビーズによる環境浄化用選択吸着剤、リポソームへのCNT組み込み、糖鎖・タンパク質による表面修飾のバイオ応用開発を行った。また放電プラズマ焼結法により骨に類似した機械的特性を示すCNT固化バルク体の作製、乾式高温合成によるナノアパタイト/CNT、湿式によるナノ炭酸化アパタイト/コラーゲンおよび厚さ方向に組成変化させた傾斜機能型GTR膜の各ナノコンポジットの開発を行った。
結論
 ミクロ/ナノ領域ではイオン溶出に基づく化学的為害性とは異なる材質に非特異的な物理的サイズ・形状効果が増大し、為害性の程度は細胞内毒素の1/1000以下と低いが、組織内では貪食を誘発し金属では細胞死を導いて局所に残留し長期炎症を継続する。50nm以下では生体が異物と認識・処理できず、血中に取込まれて全身に拡散し他臓器に影響を及ぼす可能性もある。
 CNTはbioinert材料一般に起きる程度の微粒子刺激性は有するものの、短中期的には発癌性等の特異的な生体為害性は認めず、むしろバイオ応用に有利な種々の特性が見出された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200400206B
報告書区分
総合
研究課題名
ナノチューブ、ナノ微粒子、マイクロ微粒子の組織反応性とバイオ応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
亘理 文夫(北海道大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大森守(東北大学金属材料研究所附属新素材設計開発施設)
  • 田路和幸(東北大学大学院工学研究科)
  • 橋田俊之(東北大学大学院工学研究科附属エネルギー安全科学国際センター)
  • 戸塚靖則(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 川崎貴生(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 横山敦郎(北海道大学医学部歯学部附属病院)
  • 野方文雄(岐阜大学工学部)
  • 羽田紘一(石巻専修大学理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ナノパーティクルは新たな機能性を産み出す一方、人体が生体防御機構の対象と想定していない新たな異物として為害性を誘発する可能性があり、ニッケルでは腫瘍発生等の典型的なナノトキシコロジーを発現する。微粒子の組織反応性をまず明らかにし、次にカーボンナノチューブ(CNT)とナノコンポジットのバイオ応用を図った。
研究方法
 好中球、マクロファージ等による細胞機能性試験で細胞生存率、増殖率、LDH、活性酸素、サイトカインTNF-α, IL-1β, IL-8, M-CSF産生を調べ、埋入試験により組織反応の病理学的検索を行った。
結果と考察
 チタンのような生体材料でも100μm以下粒径が小さくなるほど刺激性は増大し、貪食を誘発する3μm-500nmで最も顕著になり、500nm-50nmでは低下する傾向を示した。針状粒子は塊状に比べ刺激性を示し、30nmTiO2の強制露曝試験を行うと肺胞を通して体内に取込まれた。
 CNTについてはm-RNAの発現、組織内炎症、細胞ライソゾーム内での分解性ともナノファイバー(CNF)のほうがCNTよりも体内処理性が高く結晶構造依存性が認められた。擬似体液への浸漬によるアパタイトのバイオミメティック・コーティング、細胞付着・伸展性に富む再生用スカフォールド、細菌の物理吸着、コラーゲンとの相互作用による歯質の選択吸着を利用したコンポジットレジン/歯質 接着界面マーカー、CNTゾル内包アルギン酸ビーズによる環境浄化用選択吸着剤、リポソームへのCNT組み込み、糖鎖・タンパク質による表面修飾のバイオ応用開発を行った。また放電プラズマ焼結法により骨に類似した機械的特性を示すCNT固化バルク体の作製、乾式高温合成によるナノアパタイト/CNT、湿式によるナノ炭酸化アパタイト/コラーゲンおよび厚さ方向に組成変化させた傾斜機能型GTR膜の各ナノコンポジットの開発を行った。
結論
ミクロ/ナノ領域ではイオン溶出に基づく化学的為害性とは異なる材質に非特異的な物理的サイズ・形状効果が増大し、為害性の程度は細胞内毒素の1/1000以下と低いが、組織内では貪食を誘発し金属では細胞死を導いて局所に残留し長期炎症を継続する。50nm以下では生体が異物と認識・処理できず、血中から全身に拡散する可能性もある。
 CNTは生体材料一般に起きる程度の微粒子刺激性は有するものの、短中期的には発癌性等の特異的な為害性は認めず、むしろバイオ応用に有利な種々の特性が見出された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-