難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究

文献情報

文献番号
201510026A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(聖マリアンナ医科大学医学部放射線医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 了(KKR札幌医療センター斗南病院形成外科)
  • 秋田 定伯(長崎大学医学部歯学部附属病院形成外科)
  • 大須賀慶悟(大阪大学医学系研究科放射線医学)
  • 高倉 伸幸(大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門情報伝達分野)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院疫学・疾病制御学)
  • 森井 英一(大阪大学医学系研究科病態病理学)
  • 田倉 智之(大阪大学大学院医学系研究科医療経済産業政策学医療経済学)
  • 中岡 啓喜(愛媛大学医学部附属病院形成外科)
  • 尾崎 峰(杏林大学医学部形成外科)
  • 新見 康成(聖路加国際病院神経血管内治療科)
  • 力久 直昭(千葉労災病院形成外科)
  • 藤野 明浩(慶應義塾大学医学部外科学(小児外科)小児外科学)
  • 小関 道夫(岐阜大学医学部小児科小児科学)
  • 上野 滋(東海大学医学部外科学系小児外科学小児外科学)
  • 岩中 督(東京大学医学部附属病院)
  • 野坂 俊介(国立成育医療研究センター放射線診療部放射線診断科画像診断学)
  • 梅澤 明弘(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所 再生医療センターゲノム医療・評価科学・生命倫理学)
  • 松岡 健太郎(国立成育医療研究センター病理診断部・病理学)
  • 青木 洋子(東北大学大学院医学系研究科臨床分子遺伝学(東北大学))
  • 木下 義晶(九州大学大学院医学研究院小児外科学分野小児外科学)
  • 平川 聡史(浜松医科大学医学部皮膚科学)
  • 倉持 朗(埼玉医科大学医学部皮膚科学)
  • 神人 正寿(熊本大学大学院生命科学研究部 皮膚病態治療再建学)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学医学部小児外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
14,521,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症およびその関連疾患を対象とする。これらの疾患には長期にわたり患者のQOLを深刻に損なう多くの難治性の病態が含まれる。平成26年度は血管腫・脈管奇形診療ガイドライン(仮称)の新規CQ案・推奨案を作成した。平成27年度は本格的な現ガイドラインCQの全体の改訂作業を行い、平成28年度完成を目指す。診断基準・重症度分類については平成26年度に作成され、疾患に応じて日本形成外科学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本血液・がん学会、日本小児呼吸器学会に承認された。しかし指定難病検討委員会から対象疾患、重症度分類、診断基準の修正を求められ、修正を行ったため、平成27-28年度は上記の再検討を行う。
 深部臓器血管性病変である肝血管腫はこれまでの先行研究で乳児期早期に致死的な経過を取る症例がある事が明らかにされ、臨床像や治療実態の全国調査によるリスク因子の把握から、診断基準や重症度分類が整備されつつある。病理学的な疾患背景の解明と、海外でもまだ見ない診療ガイドラインの策定を目指す。
研究方法
1.診療ガイドラインの改訂 現行の「血管腫・血管奇形診療ガイドライン」は2013年版であり、日本形成外科学会・日本IVR学会の承認を得たが、改訂にあたっては日本皮膚科学会・日本小児外科学会とも連携し、多診療科の意見を十分反映させてコンセンサスを得ることを目標としている。
2.診断基準・重症度分類の再検討 平成26年度の指定難病選定の際、対象疾患、重症度分類、診断基準の修正を行ったが、その妥当性について班員の意見を募り再検討を行う。
3.ホームページによる情報提供 血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013を掲載し、病理コンサルトについての情報提供を行っており、継続する。
4.肝血管腫・血管奇形研究 各科学会、肝以外の領域の血管腫・血管奇形との整合性の調整を行いつつ診療ガイドラインを作成する。平成27年度にSCOPEの完成とPICOに基づいたCQの洗い出し、文献検索を行う。
結果と考察
血管腫・脈管奇形研究 
1.指定難病の選定結果 当研究班から資料を提出した下記の5疾患が指定難病に選定された。研究班が作成した診断基準、重症度分類が活用されている。277リンパ管腫症/ゴーハム病、278巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、279巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、280巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)、281クリッペル・トレノネ-・ウェーバー症候群
2.指定難病調査票の作成 厚生労働省健康局難病対策課、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所創薬資源部より指定難病臨床個人調査票概要版、完成版の作成を依頼され、作成、修正を行った。
3.難病情報センターへの資料提供 指定難病となった上記疾患のホームページ掲載のための病気の解説(一般利用者向け)、診断・治療指針(医療従事者向け)、FAQ(よくある質問と回答)を作成し難病情報センターに提出した。
4.患者会への指定難病の説明 2015年10月18日大田区消費生活センターにて混合型脈管奇形患者会(旧混合型血管奇形の難病指定を求める会)医療講演会にて講演を行い、指定難病に関する説明を行った。
5.「血管腫・脈管奇形診療ガイドライン(仮称)」作成 本件が平成27年度の最重点課題である。現行の診療ガイドラインのCQに対して本格的な改訂を行った。対象となったCQは16個あり、年度中にシステマティックレビュー、推奨案作成を目標としており、3月上旬にほぼ達成した。また基礎分野ガイドライン総説案を作成した。
6.全国調査の分析 旧「難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班」で施行された全国調査のうち、重症度に着目した統計学的分析を行い、重症群の特徴を検討した。

乳児巨大肝血管腫に関する研究 
乳児巨大肝血管腫の概念を1歳未満の単発性・多発性の肝内血管性病変をもつ有症状例と規定し、平成26年度に診断基準を策定し、平成27年度は重症度分類を策定した。
結論
 当研究班から指定難病選定のための資料を提出した以下の5疾患が指定難病に選定された。これらの疾患に対して指定難病調査票、難病情報センターホームページ資料を作成し、それぞれ提出した。「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」の改訂作業を行っており、本年度はCQ16個の改訂作業を行い、システマティックレビュー、推奨案を作成した。また基礎領域では総説案を作成した。乳児巨大肝血管腫に関する研究では本年度重症度分類案を策定し、診療ガイドラインのCQのシステマディックレビューを行った。

公開日・更新日

公開日
2016-07-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-12-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510026Z