全ての臓器と組織移植症例の一元的な登録と追跡制度の確立ならびにドナーとレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究

文献情報

文献番号
201322040A
報告書区分
総括
研究課題名
全ての臓器と組織移植症例の一元的な登録と追跡制度の確立ならびにドナーとレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究
課題番号
H23-免疫-指定-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
高原 史郎(大阪大学大学院 医学系研究科 先端移植基盤医療学)
研究分担者(所属機関)
  • 湯沢 賢治(国立病院水戸医療センター 臨床研究部・移植医療研究室)
  • 剣持 敬(藤田保健衛生大学医学部 臓器移植科)
  • 高橋 公太(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野)
  • 八木澤 隆(自治医科大学医学部 腎泌尿器外科学講座 腎臓外科学部門)
  • 三重野 牧子(自治医科大学情報センター 医学情報学)
  • 北田 秀久(九州大学病院 臨床・腫瘍外科)
  • 渡井 至彦(名古屋第二日赤病院 第一移植外科)
  • 市丸 直嗣(大阪大学大学院 医学系研究科 先端移植基盤医療学)
  • 矢澤 浩治(大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 泌尿器科)
  • 木内 哲也(公益財団法人 神戸国際医療交流財団 肝臓移植)
  • 梅下 浩司(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻看護実践開発科学)
  • 近藤 丘(東北大学加齢医学研究所 外科系臨床医学・胸部外科学)
  • 後藤 満一(福島県立医科大学 外科)
  • 福嶌 教偉(大阪大学大学院医学系研究科 重症臓器不全治療学)
  • 小野 稔(東京大学大学院医学系研究科 心臓外科)
  • 上野 豪久(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座小児成育外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
20,813,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究に先行する平成20~22年度本補助金「腎臓移植の成績向上をめざした臨床データ解析を目的とした症例登録と追跡制度の確立並びにドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究」(研究代表者:高原史郎)において、腎移植、肝移植についてレシピエントだけでなく、ドナーも含め、電子媒体を用いた登録・追跡システムを構築した。腎移植では、USBメモリーを用い、肝移植では、インターネットでのWebを用いた登録・追跡システムを完成させ、本稼働させた。一方、組織では、皮膚について平成19~21年度本補助金「臓器移植の社会的基盤に関する研究」(研究代表者:篠崎尚史)においてスキンバンクネットワークシステムのWeb登録の可能性が示唆されたまでで、全国的に稼働しているものはない。本研究は、3年計画で、この登録・追跡システムを全臓器・組織に拡大する。全ての臓器と組織移植症例の一元的なWebでの登録・追跡制度を確立することによって、詳細な移植データを収集することができ、詳細で迅速なデータ解析が可能となる。これを通して、ドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上をはかり、臓器・組織移植医療の成績向上を目指し、臓器・組織移植医療を発展、普及させることを目的とする。
研究方法
本研究は3年間の研究計画で、最終年度に前記目的を達成させるべく、全ての臓器と組織移植症例の一元的なWebでの登録・追跡制度を確立する。
3年計画の初年度は、先行する平成20~22年度本補助金研究による「腎臓移植の成績向上をめざした臨床データ解析を目的とした症例登録と追跡制度の確立並びにドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究」で構築されたUSBメモリーを用いた腎移植登録システムJARTREを完全にWeb化し、腎移植登録システムとしてのJRTRE-Wを完成させ、新規症例の登録を稼働させた。
結果と考察
最終年度として、全ての臓器と組織移植症例の一元的なWebでの登録・追跡システムを確立することを目的とした。腎移植登録システムJARTRE-W、肝移植登録システムLITRE-Jについて、膨大な過去の登録、追跡データの移行に時間を要したが完了し、追跡データのWeb入力を可能にした。他の臓器移植登録システムは、Web登録システムを完成させ、本稼働した。組織移植については、全組織移植の登録システムが完成し、限られた施設で試行的に稼働させ、システムに問題がないことが確認された。全臓器と組織移植の登録・追跡システムを一元的に統合することを試み、多くの問題点を明らかにしたが、実施は困難だった。全臓器と組織移植症例の一元的な登録と追跡をおこなう恒久的で公的なサーバーの設置については未解決で、問題点、課題を明らかにして終了した。
結論
3年間の本研究期間のなかで、最初の2年間で腎臓と肝臓以外の各臓器、組織のそれまでの移植登録システムを精査し、登録、追跡データの検討を詳細におこなった。腎臓と肝臓については過去の莫大な登録データの新システムへ移行するためのシステムを構築した。最終年度として、腎臓と肝臓以外の臓器、組織の登録システムを構築し、稼働させた。腎臓と肝臓については、過去のデータの移行を完成させ、過去の全症例の追跡が可能とした。最終年度として、本研究成果で作成された、全臓器、組織の移植登録、追跡システムは、本研究の終了とともに消失することは許されず、日本移植学会の資金で維持されることとなったが、今後の全臓器と組織移植症例の一元的な登録と追跡をおこなう恒久的で公的なサーバーの設置については、問題点、課題を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201322040B
報告書区分
総合
研究課題名
全ての臓器と組織移植症例の一元的な登録と追跡制度の確立ならびにドナーとレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究
課題番号
H23-免疫-指定-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
高原 史郎(大阪大学大学院 医学系研究科 先端移植基盤医療学)
研究分担者(所属機関)
  • 湯沢 賢治(国立病院水戸医療センター 臨床研究部・移植医療研究室)
  • 剣持 敬(藤田保健衛生大学医学部 臓器移植科)
  • 篠崎 尚史(東京歯科大学市川総合病院 角膜センター 生物学)
  • 高橋 公太(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野)
  • 八木澤 隆(自治医科大学医学部 腎泌尿器外科学講座 腎臓外科学部門)
  • 三重野 牧子(自治医科大学情報センター 医学情報学)
  • 北田 秀久(九州大学病院 臨床・腫瘍外科)
  • 渡井 至彦(名古屋第二日赤病院 第一移植外科)
  • 市丸 直嗣(大阪大学大学院 医学系研究科 先端移植基盤医療学)
  • 矢澤 浩治(大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 泌尿器科)
  • 木内 哲也(公益財団法人 神戸国際医療交流財団 肝臓移植)
  • 梅下 浩司(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻看護実践開発科学)
  • 近藤 丘(東北大学加齢医学研究所 外科系臨床医学・胸部外科学)
  • 後藤 満一(福島県立医科大学 外科)
  • 福嶌 教偉(大阪大学大学院医学系研究科 重症臓器不全治療学)
  • 小野 稔(東京大学大学院医学系研究科 心臓外科)
  • 上野 豪久(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座小児成育外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究に先行する平成20~22年度本補助金「腎臓移植の成績向上をめざした臨床データ解析を目的とした症例登録と追跡制度の確立並びにドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究」(研究代表者:高原史郎)において、腎移植、肝移植についてレシピエントだけでなくドナーも含め、電子媒体を用いた登録・追跡システムを構築し本稼働させた。
本研究では3年計画で、この登録・追跡システムを全臓器・組織に拡大し、全ての臓器と組織移植症例の一元的なWebでの登録・追跡制度を確立することによって、詳細な移植データを収集し、詳細で迅速なデータ解析を可能とする。これを通して、ドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上をはかり、臓器・組織移植医療の成績向上を目指し、臓器・組織移植医療を発展、普及させることを目的とする。
研究方法
3年計画の初年度は、先行する平成20~22年度本補助金研究による「腎臓移植の成績向上をめざした臨床データ解析を目的とした症例登録と追跡制度の確立並びにドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上に関する研究」で構築されたUSBメモリーを用いた腎移植登録システムJARTREを完全にWeb化し、腎移植登録システムとしてのJRTRE-Wを完成させ、新規症例の登録を稼働させる。2年目には、このシステムに従来の紙ベースにより登録され、追跡されてきた27,000症例の腎移植患者のデータを移行し、JARTRE-Wで追跡データの入力を可能にするべく、データの変換作業を開始する。3年目には修正されたデータの変換プログラムを作成し、全データを移行し、追跡データの入力を可能にする。また、このWeb登録・追跡システムのデータを統計解析する。Web登録システムとして平成22年度より稼働した肝移植登録システムLITRE-Jは、新規登録を開始したものの、腎と同様、過去のデータの移行ができなかったため過去の追跡データの入力ができなかった。過去のデータの移行を完成させ、追跡データの入力を可能にする。このシステムを用いてデータを統計解析する。
膵臓、肺、小腸、心臓の臓器移植登録システムは、これまで登録用紙で行われていたが、初年度、Web登録への移行を行うための調査を行い、2年目に、従来の登録・追跡項目の見直し、ドナー登録、追跡項目を検討し、Web登録システムを完成させた。3年目には、過去のデータを移行し、本稼働させる。
結果と考察
2008年春のイスタンブールサミット宣言で、生体ドナーについては、ドナー保護の観点から生涯にわたって追跡しなければならないとされたが、世界的にこれを完全に遂行出来ている国はない。我が国が世界に先駆けて、レシピエントのみならず、全ドナーの生涯にわたった追跡調査を行うことは、世界的に注目されることであり、世界に発信される大きな成果と期待される。全臓器・組織移植の一元的Web登録・追跡システムを構築することにより、安全で信頼性の高いシステムを維持していくことができる。これらを通して、ドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上をもって、臓器・組織移植医療の成績向上並びに発展、普及を期待することができる。
その第一歩が、本研究として始まり、最終年度に、世界に先駆けた全臓器、組織のWeb登録、追跡システムが完成した。今後の一元的なシステムの構築、それを支える公的なサーバーの確立と維持が望まれる。
結論
腎移植登録システムJARTRE-Wを完成させ、これと肝移植登録システムLITRE-Jについて、過去の登録、追跡データの移行を完了し、追跡データのWeb入力を可能にした。他の臓器移植登録システムは、Web登録システムを完成させ、本稼働した。組織移植については、全組織移植の登録システムが完成し、限られた施設で試行的に稼働させ、システムに問題がないことが確認された。全臓器と組織移植の登録・追跡システムを一元的に統合することは困難だった。全臓器と組織移植症例の一元的な登録と追跡をおこなう恒久的で公的なサーバーの設置については未解決で、問題点、課題を明らかにして終了した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-02-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201322040C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全ての臓器と組織移植症例の一元的なWebでの登録・追跡システムを確立することを目的とし、腎移植登録システムJARTRE-W、肝移植登録システムLITRE-Jについて、データの移行完了し、Web入力を可能にした。他の臓器移植登録システムは、Web登録システムを本稼働、組織移植については、登録システムが完成し、試行的に稼働させ、システムに問題がないことが確認された。今後、全臓器と組織移植の登録・追跡システムを一元的に統合することで、臓器・組織移植医療を発展、普及させることに寄与していく。
臨床的観点からの成果
本システムを使って、詳細な移植データの収集、詳細で迅速なデータ解析が可能となり、平成25年度の登録データの解析は、これを用いて行われ、報告された。これらの成果は、当初、本研究の目的とした、ドナー及びレシピエントの安全性確保とQOL向上、臓器・組織移植医療の成績向上を目指し、臓器・組織移植医療を発展、普及させることに寄与していく。
ガイドライン等の開発
腎移植電子登録システム(JARTRE-W)、肝移植電子登録システム(LITRE-J)、他臓器電子登録システム(心臓、肺、膵臓)、組織移植電子登録システム(T-Code)の開発
その他行政的観点からの成果
2008年春のイスタンブールサミット宣言で、生体ドナーについては、ドナー保護の観点から生涯にわたって追跡しなければならないとされたが、世界的にこれを完全に遂行出来ている国はない。我が国が世界に先駆けて、レシピエントのみならず、全ドナーの生涯にわたった追跡調査を行うことは、世界的に注目されることであり、世界に発信される大きな成果と期待される。
その他のインパクト
国際移植学会でのOnline Registry and Tracking System for Kidny and Liver Transplantation in Japanの発表

発表件数

原著論文(和文)
19件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
日本臨床腎移植学会、日本移植学会、高原史郎他
腎移植臨床登録集計報告(2011)-1 2010年実施症例の集計報告
移植 , 46 (4.5) , 313-318  (2011)
原著論文2
日本臨床腎移植学会 高原史郎、湯沢賢治他
腎移植臨床登録集計報告(2011)-2 2010年実施症例の集計報告 (2)
移植 , 46 (6) , 506-523  (2011)
原著論文3
日本肝移植研究会
肝移植症例登録報告
移植 , 46 (6) , 524-536  (2011)
原著論文4
日本移植学会登録委員会湯沢賢治
わが国における臓器移植のための臓器摘出の現状と実績(2012)
移植 , 47 (6) , 395-399  (2012)
原著論文5
日本移植学会・日本臨床腎移植学会 湯沢賢治他
腎移植臨床登録集計報告(2012)2011年実施症例の集計報告
移植 , 47 (6) , 400-415  (2012)
原著論文6
日本肝移植研究会 猪股裕紀洋、梅下浩司、 上本伸二他
肝移植症例登録報告
移植 , 47 (6) , 416-428  (2012)
原著論文7
K.Yuzawa S.Takahara,Kanmochi,K.et al.
Evolution of Registry and Tracking System for Organ Transplantation in Japan
Transplantation Proceedings , 44 , 828-831  (2012)
原著論文8
山縣邦弘、八木澤隆、中井滋他
わが国のEnd stage kidney disease(ESKD)の現況
移植 , 48 (4.5) , 225-235  (2012)
原著論文9
山縣邦弘、八木澤隆、中井滋他
わが国のEnd stage kidney disease(ESKD)の現況
日本小児腎臓病学会雑誌 , 25 , 178-189  (2012)
原著論文10
山縣邦弘、八木澤隆、中井滋他
わが国のEnd stage kidney disease(ESKD)の現況
日本透析医学会会誌 , 45 , 1067-1076  (2012)
原著論文11
湯沢賢治
わが国における臓器移植のための臓器摘出の現状と実績(2013)
移植 , 48 (6) , 341-345  (2013)
原著論文12
湯沢賢治、高原史郎、八木澤隆他
腎移植臨床登録集計報告(2013)2012年実施症例の集計報告
移植 , 48 (6) , 346-361  (2013)
原著論文13
日本肝移植研究会
肝移植症例登録報告(第一報)
移植 , 48 (6) , 362-368  (2013)
原著論文14
日本心臓移植研究会
本邦心臓移植登録報告 (2013)
移植 , 48 (6) , 369-373  (2013)
原著論文15
日本肺および心肺移植研究会
本邦肺移植症例登録報告―2013―
移植 , 48 (6) , 374-377  (2013)
原著論文16
日本膵・膵島移植研究会膵臓移植班
本邦膵移植症例登録報告 (2013)
移植 , 48 (6) , 378-383  (2013)
原著論文17
日本膵・膵島移植研究会膵島移植班
膵島移植症例登録報告 (2013)
移植 , 48 (6) , 384-389  (2013)
原著論文18
日本小腸移植研究会
本邦小腸移植症例登録報告
移植 , 48 (6) , 390-394  (2013)
原著論文19
日本移植学会登録委員会 湯沢賢治
わが国における臓器移植のための臓器摘出の現状と実績(2014)
移植 , 49 (2.3) , 235-239  (2014)
原著論文20
湯沢賢治、高原史郎、八木澤隆他
腎移植臨床登録集計報告(2014)2013年実施症例の集計報告
移植 , 49 (2.3) , 240-260  (2014)

公開日・更新日

公開日
2014-06-10
更新日
2018-06-06

収支報告書

文献番号
201322040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,630,000円
(2)補助金確定額
26,630,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,603,129円
人件費・謝金 3,336,287円
旅費 5,870,520円
その他 8,003,064円
間接経費 5,817,000円
合計 26,630,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2014-05-29
更新日
-