自治体・保険者の保健医療・介護福祉施策における継続的検証と計画のための統合的データ基盤構築とその活用に関する研究

文献情報

文献番号
200701046A
報告書区分
総括
研究課題名
自治体・保険者の保健医療・介護福祉施策における継続的検証と計画のための統合的データ基盤構築とその活用に関する研究
課題番号
H19-政策-一般-022
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎 達郎(京都大学 医学研究科)
  • 関本 美穂(京都大学 医学研究科)
  • 林田 賢史(京都大学 医学研究科)
  • 廣瀬 昌博(医療法人雪ノ聖母会聖マリア病院救命救急センター)
  • 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,408,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療制度改革のもと、国、自治体・保険者の計画・管理の役割(Stewardship)は極めて重要となっており、当研究は、国策および自治体・保険者レベルで、被保険者の健康と医療・医療費・介護保険に関するデータを計画的・系統的に蓄積し、健康推進・医療に係わる施策について、費用と効果を解析しながら、最終的には、より継続的により広範に検証できるデータ基盤を設計し構築していくことを目的とする。健康増進計画、介護事業計画、医療計画、医療費適正化計画など諸施策の評価と立案に資することを目指す。
研究方法
 被保険者の健康と医療・医療費、介護保険に関するデータを計画的・系統的に蓄積し、健康推進・医療に係わる施策について、費用と効果を解析した。
結果と考察
 上記を目的として以下の成果が得られた。
1.健診結果と医療費との関係: 自治体レベルで健康診査受診者の総合判定と医療費のデータを統合しその関連を分析し、健診の結果と当該年および将来の医療費との関連とその大きさを示した。
2.死亡前医療費に関する分析: 自治体の国保データを経年的に統合して分析し、死亡前医療費の時期別の大きさ・影響度と年齢との関連を明らかにした。
3.介護保険制度介護サービスの利用状況の不均等: 自治体の介護保険データを経年的に統合して分析し、年度による利用状況や要介護度によって利用状況に不均等のあることが明らかにした。
4.二次医療圏医療費の関連要因: 二次医療圏ごとのデータベースを構築・分析し、医療費と社会経済的・医療サービス的要因との関係は一様ではなく、地域別で異なっていることが示唆された。
5.年齢が医療費に及ぼす影響: 約1万症例のデータを用い多変量解析にて潜在的交絡要因を統計的に調整すると、患者の年齢と医療資源累積消費量との間には、有意な関係は見られなかった。
6.医療の質・安全に関わる活動のコスト: 医療安全活動、説明と同意、記録・書類作成が医療のコストに及ぼす影響を調査・分析し、それらの活動の増分コストを算出した。
結論
 以上より、保健医療介護の経年的・統合的なデータ解析により、医療の質の確保と投入できる資源量との関係、ケアやサービスの不均等・格差とその動態・傾向、地域の医療費と社会経済因子との関係などが、実データでもって示され、健康・医療関連施策・計画の立案や評価に示唆に富む知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
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