文献情報
文献番号
201401007A
報告書区分
総括
研究課題名
若い男女の結婚・妊娠時期計画支援に関するプロモーションプログラムの開発に関する研究
課題番号
H25-政策-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山本 眞由美(岐阜大学 保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
- 猪飼 周平(一橋大学 大学院 社会学研究科)
- 吉川 弘明(金沢大学 保健管理センター)
- 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
- 高田 昌代(米田 昌代)(神戸市看護大学 健康支援看護学)
- 林 芙美(千葉県立保健医療大学 健康科学部)
- 西尾 彰泰(岐阜大学 保健管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,440,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、我が国では晩婚化・晩産化を伴う少子化が進行しており、2013年の合計特殊出生率は1.43であった。晩婚化は妊娠適正年齢を逃すことによる不妊の増加を、晩産化は母体の高齢化によるハイリスク妊娠の増加をもたらす要因となりうる。この背景には多くの要素が絡んでいるため、様々な対策アプローチが考えられよう。ただ、不妊治療の現場には、「若い男女が早期から妊娠時期などの人生設計について考える機会が提供されていたならば違う選択があったかもしれない」という声がある。そこで、若い男女に対して妊娠・出産などのライフプランに関する教育を行うことの必要性とその内容を検討するために、「若い男女の結婚・出産に関する意識・知識とそれに影響を与える要因」について調査・解析を行うことにした。この調査結果から、「若い男女が自ら選択する人生設計について質の高い情報を効果的に提供する」DVD教材も作成することにした。
研究方法
全国6校の高校生1866人(男性1108人、女性727人、性別無回答31人、平均年齢16.5 ± 0.83歳)、11校の大学生1189人(男性267人、女性914人、性別無回答8人、平均年齢19.9 ± 1.81歳)を対象に、結婚・出産の意識に関する自記式質問調査を実施した(岐阜大学大学院医学系研究科倫理審査委員会:承認番号25-268)。この結果を踏まえ、大学や高校の講義で活用できるDVD教材を作成し、講義を実践、その効果を評価した。
結果と考察
1)人生の中で重視することを、勉強、仕事、家庭、趣味、健康、友人、恋愛、収入、地位、社会貢献、子育ての11項目で順序づけさせたところ、「子育て」は男性女性ともに11番目と最も関心が低く、「健康」に対する関心が男女ともに最も高かった。
⇒若い男女は子育ての実感は薄いので、「生涯の健康」や「健やかな出産計画」をキーワードに教育をする方向が効果的と推察された。
2)結婚希望について、高校生は男性72%、女性81%、大学生は男性78%、女性91%が「いずれ結婚する」と答え、「一生結婚するつもりはない」と答えた者は5%以下だった。結婚希望年齢の平均は、高校生で男性25.0±4.0歳、女性 23.8±2.2歳、大学生で男性26.8±2.8歳、女性 25.9±1.9歳だった。挙児希望について、高校生は男性84%、女性88%、大学生は男性86%、女性93%が「子供は欲しい」を選択した。欲しい子供の人数は、ほとんど2または3人で、「25歳までに第1子を持ちたい」と答えたのは、高校生で男性30.2%、女性50.4%、大学生は男性6.6%、女性14.3%だった。
⇒若い男女は、結婚希望、挙児希望ともに高いので、大学生の年代に妊娠・出産に関する教育をすることは効果的と推察された。
3)子供を持つことに対する不安について聞いたところ、「金銭的不安」の回答が圧倒的に多く、「子供を育てる自信がない」、「妊娠や子育てへの知識や情報の不足」も多かった。
⇒子育てに伴う金銭的不安や知識不足の心配を解消するような啓発教育が若い男女に必要であると示唆された。
4)不妊の定義を知っていたのは、高校生で男性20.7%、女性33.0%、大学生で男性26.2%、女性36.2%だった。「女性の妊娠する能力が30歳を過ぎた頃から少しずつ低下すること」を、「よく知っていた」と答えたのは、高校生で男性13.7%、女性22.3%、大学生で男性30.0%、女性41.9%で、高校生の男性では、「全く知らなかった」と答えた者が36.1%いた。「不妊治療を受けていても女性の妊娠する能力は年齢と共に少しずつ低下すること」について「よく知っていた」と答えたのは、高校生男性8.0%、女性14.1%、大学生で男性19.4%、女性31.0%であった。
⇒若い男女の不妊、妊孕力、不妊治療に関する知識は低いため、大学生に情報提供することは適切と思われた。
5)結婚希望や挙児希望の有無と様々な生活背景要素との関係を解析したところ「将来の経済不安が強い」「実家経済力の自己評価が低い」方が結婚・挙児希望が低く、現在の「健康状態が良い」「健康に関心がある」方が結婚・挙児希望が高かった。
⇒若い男女の結婚・挙児希望は経済的安心感、自己健康感、健康管理能力、などの要因が関係していると示された。
⇒若い男女は子育ての実感は薄いので、「生涯の健康」や「健やかな出産計画」をキーワードに教育をする方向が効果的と推察された。
2)結婚希望について、高校生は男性72%、女性81%、大学生は男性78%、女性91%が「いずれ結婚する」と答え、「一生結婚するつもりはない」と答えた者は5%以下だった。結婚希望年齢の平均は、高校生で男性25.0±4.0歳、女性 23.8±2.2歳、大学生で男性26.8±2.8歳、女性 25.9±1.9歳だった。挙児希望について、高校生は男性84%、女性88%、大学生は男性86%、女性93%が「子供は欲しい」を選択した。欲しい子供の人数は、ほとんど2または3人で、「25歳までに第1子を持ちたい」と答えたのは、高校生で男性30.2%、女性50.4%、大学生は男性6.6%、女性14.3%だった。
⇒若い男女は、結婚希望、挙児希望ともに高いので、大学生の年代に妊娠・出産に関する教育をすることは効果的と推察された。
3)子供を持つことに対する不安について聞いたところ、「金銭的不安」の回答が圧倒的に多く、「子供を育てる自信がない」、「妊娠や子育てへの知識や情報の不足」も多かった。
⇒子育てに伴う金銭的不安や知識不足の心配を解消するような啓発教育が若い男女に必要であると示唆された。
4)不妊の定義を知っていたのは、高校生で男性20.7%、女性33.0%、大学生で男性26.2%、女性36.2%だった。「女性の妊娠する能力が30歳を過ぎた頃から少しずつ低下すること」を、「よく知っていた」と答えたのは、高校生で男性13.7%、女性22.3%、大学生で男性30.0%、女性41.9%で、高校生の男性では、「全く知らなかった」と答えた者が36.1%いた。「不妊治療を受けていても女性の妊娠する能力は年齢と共に少しずつ低下すること」について「よく知っていた」と答えたのは、高校生男性8.0%、女性14.1%、大学生で男性19.4%、女性31.0%であった。
⇒若い男女の不妊、妊孕力、不妊治療に関する知識は低いため、大学生に情報提供することは適切と思われた。
5)結婚希望や挙児希望の有無と様々な生活背景要素との関係を解析したところ「将来の経済不安が強い」「実家経済力の自己評価が低い」方が結婚・挙児希望が低く、現在の「健康状態が良い」「健康に関心がある」方が結婚・挙児希望が高かった。
⇒若い男女の結婚・挙児希望は経済的安心感、自己健康感、健康管理能力、などの要因が関係していると示された。
結論
高校生・大学生は、結婚・挙児を希望する者が大多数であるが、子育てに経済的不安や知識不足の不安を抱いていたので、経済的安心感、自己健康感、健康管理能力、ワークライフバランスなどを教育するDVD教材を作成した。実証講義で効果的であるとの評価を得た。
公開日・更新日
公開日
2015-06-15
更新日
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