墜落・転落防止のための新たな機材の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201032002A
報告書区分
総括
研究課題名
墜落・転落防止のための新たな機材の開発に関する研究
課題番号
H20-労働・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大幢 勝利(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
研究分担者(所属機関)
  • 豊澤 康男(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部 )
  • 高梨 成次(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 日野 泰道(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
建設業では墜落災害による死亡者数が最も多いため、規則改正やガイドライン制定などその対策が順次強化され、死亡災害が減少するなど一定の効果が表れている。しかし、その発生割合は依然として大きなものとなっている。そこで、本研究では、このような墜落災害を減少させるため、安全でかつ普及しやすい墜落・転落防止のための新たな機材の開発を目的とする。
研究方法
墜落・転落防止のための新たな機材を開発するため、本年度は次の研究を行った。
1.昨年度までに考案した防護膜付メッシュシートを、使用しやすくかつ普及しやすいものとするため、容易にワンタッチで取付可能な取付専用金具を試作し、その有効性を確認するため、人体ダミーを用いた落下実験を実施した。
2.昨年度までの研究で、平成21年の改正規則による墜落防止措置が、新たな墜落防止機材を開発する上で最低限必要な措置であることが明らかとなっている。そこで、考案した防護膜付メッシュシートと改正規則による墜落防止措置の安全性を、人体ダミーを用いた落下実験により比較した。
3.昨年度までに実施した手すり先行工法の評価結果より、妻面に使用するタイプの先行手すり機材を試作した。試作に当たっては、使用時に想定されるリスクを検討し、その低減策を考慮した。
結果と考察
1.落下実験の結果、防護膜付メッシュシートとワンタッチで取付可能な取付専用金具の使用で、簡易に墜落防止可能であることが明らかとなった。
2.防護膜付メッシュシートとワンタッチで取付可能な取付専用金具の使用で、落下時の衝撃荷重等、改正規則に比べ安全面から考案した機材の優位性を確認することができた。
3.試作した妻面に使用するタイプの先行手すり機材について、一段下の作業床から取り付けられるか確認を行った。その結果、先行手すり機材としての機能を有していることが明らかとなった。また、JISに規定されている試験を実施した結果、軽量のアルミニウム製でありながら、安全帯を取り付けるための十分な強度を有していることが明らかとなった。
結論
以上より、本研究の目的である、安全でかつ普及しやすい墜落防止機材として、「防護膜付メッシュシート」を開発することができた。また、同時に試作した「妻面に使用するタイプの先行手すり機材」については、安全帯を取り付けることができる強度があることを実験により確認したが、まだ開発段階であるため、さらなる改良を施していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

文献情報

文献番号
201032002B
報告書区分
総合
研究課題名
墜落・転落防止のための新たな機材の開発に関する研究
課題番号
H20-労働・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大幢 勝利(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
研究分担者(所属機関)
  • 豊澤 康男(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
  • 高梨 成次(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
  • 日野 泰道(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
建設業では墜落災害による死亡者数が最も多いため、規則改正やガイドライン制定などその対策が順次強化され、死亡災害が減少するなど一定の効果が表れている。しかし、その発生割合は依然として大きなものとなっている。そこで、本研究では、このような墜落災害を減少させるため、諸外国における規制状況調査やガイドライン等による工法の評価を通じ、安全でかつ普及しやすい墜落・転落防止のための新たな機材の開発を目的とする。
研究方法
1.諸外国における墜落防止措置の現状を調査し、我が国の現状と比較することにより、新たな墜落防止機材を開発する上で、最低限必要な措置について検討した。
2.ガイドラインに示されている手すり先行工法などの新たな機材を導入するにあたり、幅広く普及させるための改善点について検討することを目的として、同工法について作業員からの意見聴取等による評価を行なった。
3.以上の結果を考慮し、足場からの墜落を対象とした新たな墜落防止機材として、防護膜付メッシュシートとそれを簡易に取付可能とする専用金具を考案し、人体ダミーを用いた落下実験によりその安全性を検討した。また、作業員からの意見聴取等の結果を考慮し、妻面に使用するタイプの先行手すり機材を試作した。
結果と考察
1.欧米5か国に対する調査の結果、各国の墜落防止措置は平成 21年に施行された改正労働安全衛生規則と同等なものであり、新たな墜落防止機材を開発する上で、最低限必要な措置であることがわかった。
2.手すり先行工法の評価結果より、作業性等を考慮して、まずは作業者に使っていただくことを考えた改良が、新しい機材の普及に有益であるということを明らかにした。
3.防護膜付メッシュシートと専用金具の使用で、落下時の衝撃荷重等、改正規則に比べ安全面から考案した機材の優位性を確認することができた。また、試作した妻面に使用するタイプの先行手すり機材について、十分な性能・強度を有していることを明らかにした。
結論
本研究の結果、諸外国における規制状況調査やガイドライン等による工法の評価を通じ、安全でかつ普及しやすい墜落防止機材として、「防護膜付メッシュシート」を開発することができた。今後は、本研究成果を学会等で公表することにより、成果の普及に努めていく。また、同時に試作した「妻面に使用するタイプの先行手すり機材」については、まだ開発段階であるため、さらなる改良を施していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201032002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の結果、諸外国における規制状況調査やガイドライン等による工法の評価を通じ、安全でかつ普及しやすい墜落防止機材として、「防護膜付メッシュシート」を開発することができた。成果については、土木学会や国際研究集会等において原著論文等で公表している。
臨床的観点からの成果
臨床試験を実施せず。
ガイドライン等の開発
ガイドライン等の開発は実施していない。
その他行政的観点からの成果
足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会において、本研究で実施した諸外国における規制状況調査の中から英国のリスクアセスメントに関する事項が参考にされた。
その他のインパクト
本研究の成果について、研究代表者と分担研究者が執筆した書籍に一部盛り込んだが、都心の書店で専門分野別の週刊ベストセラーになった。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
書籍として出版した

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
大幢勝利,豊澤康男,高梨成次他
足場からの墜落防止に対するメッシュシートの効果に関する基礎的研究
土木学会 安全問題研究論文集 , 3 , 173-178  (2008)
原著論文2
大幢勝利,高梨成次,日野泰道他
メッシュシートの改良による足場からの墜落防止に関する研究
土木学会 安全問題研究論文集 , 4 , 191-196  (2009)
原著論文3
Katsutoshi Ohdo, Seiji Takanashi, Yasumichi Hino et al.
Study on Fall Protection from Scaffolds by Plastic Sheets. The Korea Society of Safety
International Journal of Safety , 10 (1) , 10-15  (2011)
原著論文4
大幢勝利,高梨成次,日野泰道他
メッシュシートを改良した墜落防止機材の衝撃緩和性能に関する実験的研究
土木学会論文集F6(安全問題) , 67 (2) ,  I_119-I_124  (2011)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201032002Z