文献情報
文献番号
201313031A
報告書区分
総括
研究課題名
蛍光内視鏡をめざした高分子型分子プローブの創製
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-3次がん-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
前田 浩(崇城大学 DDS研究所)
研究分担者(所属機関)
- 方 軍(崇城大学 薬学部 / DDS研究所 )
- 中村 秀明(崇城大学 薬学部 / DDS研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
癌の診断と治療は何れも化学物質を用いる点においては共通であり、両者とも薬剤の癌局所への集積に基づいている。本課題は両者の同時達成を目指す。即ち高分子型蛍光[FL]分子プローブおよび光増感剤[PS]を癌局所に選択的にデリバリーすることを目的とするが、それは本申請者が発見したEPR効果(enhanced permeability and retention effect)の原理に基づいている。一方、内視鏡光源は連続波長で充分な光量があるので、各々の蛍光分子プローブ(以下、蛍光ナノプローブ)の分光特性に適合する光学フィルターシステムの組み合わせにより表層癌が肉眼の10~100倍の高感度で検出可能となることを我々は予備的に認めている。癌部に選択的にこれら蛍光ナノプローブ(PSを含む)を集積できることをPSに応用した例はない。この研究の目的はEPR効果に基づく腫瘍デリバリーによりPSの腫瘍選択的な集積を可能にする。EPR効果は肝転移娘結節で調べるとφ 0.3mmの微小癌に対しても超高感度の検出が可能になる。即ち、安全なPDTを可能にする。
従来のPDTに使用するPSは全身くまなく分布し、日常的な光さえも正常の皮膚などに傷害を起こすため、あまり普及しなかったが、本課題が成功すれば、蛍光ナノプローブによる癌のPDTは飛躍的に向上するといえる。このような画期的な診断と治療をめざし、EPR依存的DDSの知識を持つのは当研究室のみである。事実、我々は亜鉛プロトポルフィリンミセルは蛍光と同時に一重項酸素を生じ、治療効果があることをマウス腫瘍において予備的に確認している。
従来のPDTに使用するPSは全身くまなく分布し、日常的な光さえも正常の皮膚などに傷害を起こすため、あまり普及しなかったが、本課題が成功すれば、蛍光ナノプローブによる癌のPDTは飛躍的に向上するといえる。このような画期的な診断と治療をめざし、EPR依存的DDSの知識を持つのは当研究室のみである。事実、我々は亜鉛プロトポルフィリンミセルは蛍光と同時に一重項酸素を生じ、治療効果があることをマウス腫瘍において予備的に確認している。
研究方法
(1) 平成24年度の実験、民間企業との連携・協力の継続
(2)マウス癌の他に、DMBAやアゾキシメタンによるラットの発ガンの乳癌および大腸癌の自家発癌モデルを作製する。予算措置が十分であれば、ヒト食道癌のSCIDマウスモデルを用いる。
(3) 蛍光内視鏡による微小癌結節の検出
内視鏡メーカーと協力し、蛍光内視鏡の試作タイプを作製する。アゾキシメタン誘発大腸癌モデルラットに対し高分子型分子プローブを投与し、蛍光内視鏡により腫瘍の微小癌結節が検出可能か否かを検討する。検出された腫瘍結節に対しては、組織切片を病理学的に検定する。
(2)マウス癌の他に、DMBAやアゾキシメタンによるラットの発ガンの乳癌および大腸癌の自家発癌モデルを作製する。予算措置が十分であれば、ヒト食道癌のSCIDマウスモデルを用いる。
(3) 蛍光内視鏡による微小癌結節の検出
内視鏡メーカーと協力し、蛍光内視鏡の試作タイプを作製する。アゾキシメタン誘発大腸癌モデルラットに対し高分子型分子プローブを投与し、蛍光内視鏡により腫瘍の微小癌結節が検出可能か否かを検討する。検出された腫瘍結節に対しては、組織切片を病理学的に検定する。
結果と考察
本成果in vivoの自然自家発癌モデル(乳癌、大腸癌)でも、蛍光ナノ粒子の腫瘍選択的な集積をみとめ直接的な蛍光の画像化に成功した。さらにZnPPという多機能性蛍光プローブを結合した蛍光ナノプローブは3~30%(w/w)のローディングで、光照射をXenon光源、内視鏡光源またはブルー蛍光灯を用いても効率よく、一重項酸素を発生し、抗腫瘍効果をみた。このナノプローブの1回のiv投与で、光を内視鏡光源の40~60%の出力で1~4回照射することにより固型癌を完治するものもみられた。実用的には100-200WのXenon光源を用いて1/10000の光量で殺細胞効果があることから、レーザーよりも波長特性の優れたXenonあるいはブルー蛍光灯による表層癌、さらに内視鏡照射による体腔内、胸腔、腹腔、胸膜、大網、肺・肝の表層、子宮、膀胱、食道以下の消化管、尿道にも容易に応用が見込まれる。
結論
本蛍光ナノプローブは合成が簡単なため、製造コストは抗体医薬の1/100以下で供給可能と思われる。またこの手法はピラルビシンなどのcytotoxic agentとの結合物でもin vivoの治療の有効性が全く毒性のない状況で著効になることを確認している。今後のサポートが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-02
更新日
-