地域・市民の視点からみた医療の質・安全・機能の充実度と必要資源の評価・向上に関する研究開発

文献情報

文献番号
200732075A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・市民の視点からみた医療の質・安全・機能の充実度と必要資源の評価・向上に関する研究開発
課題番号
H19-医療-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎 達郎(京都大学 医学研究科)
  • 関本 美穂(京都大学 医学研究科)
  • 林田 賢史(京都大学 医学研究科)
  • 廣瀬 昌博(医療法人雪ノ聖母会聖マリア病院救命救急センター)
  • 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
  • 桑原 一彰(九州大学 医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 当研究では、喫緊の課題である切れ目のない地域医療連携の推進や医療費の適正化に資するべく、地域の市民の日常生活と受療行動に密接する医療圏を地域中核医療機関を核の一つとして捉え、地域医療機能の充実度の系統的評価方法と向上に結びつける方法論の研究開発を行うことを目的とする。
研究方法
 国策・地域の視点、および地域施設・保険者の視点から見た、医療の質・安全の確保の実態と必要資源に関して、以下のようにデータを設計しデータを収集し適宜連結し分析した。
結果と考察
 上記の視点より主に以下の研究成果が得られた。
1. 医師の二次医療圏別分布とその増減は、特に小児、産婦、放射線、麻酔、病理の診療科医師数については、需要因子を鑑みても地域格差が存在し、その格差が是正される傾向は認められなかった。
2.高額医療機器のMRI、PET、SPECTの分布を経年的に分析し、予測需要と対比させることにより、地理的網羅性の急速な確保と一部での需給アンバランスが示された。
3.自治体病院における財務の経年変化を分析し、黒字経営の要因を分析した。病床利用率の確保、委託料や減価償却費の適切さが求められた。
4.医療安全活動は、病床規模の小さい施設ほど負担が大きく、専従者の配置や高い看護配置が大きな推進力となることが示唆された。また、集中度の高い治療提供の資源として、医師数が重要であることが数量的に示された。
結論
 わが国の医療機関においては、近年、社会的、専門的要求水準に応えるべく医療の質と安全を確保するために次第に大きな資源を投じてきたがその定量化を通じて負担が大きいことを示した。また、医療資源の分布は、国内、都道府県内、間のレベルで、需要に比した充実度の地域格差が厳然と存在し、その拡大傾向も否めない。本研究により、各診療科・各年齢層の医師数や高額医療機器などの医療資源の分布について、小地域・二次医療圏ごとの需要と供給のアンバランスを可視化し、また、経年的な傾向を可視化してその要因や時系列的な傾向を示した。また、施設別の診療のコスト・パフォーマンスや資源充実度を可視化し、その格差の要因を示した。これらにより、医療の質・安全や経営の評価・向上のみならず、国レベルあるいは地域レベルの医療計画、医療費適正化計画などの諸施策の立案や評価、ならびに診療報酬の有り方の議論にも資する知見となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-02-04
更新日
-