ナノテクノロジーによる機能的・構造的生体代替デバイスの開発

文献情報

文献番号
200400189A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノテクノロジーによる機能的・構造的生体代替デバイスの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉町 勝(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
研究分担者(所属機関)
  • 高木 洋(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
  • 川田 徹(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
  • 佐藤 隆幸(高知大学医学部循環制御学)
  • 小久保 優(日立製作所中央研究所情報システム研究センター)
  • 砂川 賢二(九州大学大学院医学研究院循環器内科)
  • 河野 隆二(横浜国立大学大学院工学大学院知的構造の創成部門)
  • 末永 智一(東北大学大学院工学系研究科生物工学専攻)
  • 妙中 義之(国立循環器病センター研究所人工臓器部)
  • 絵野沢 伸(国立成育医療センター研究所移植外科部)
  • 久保井 亮一(大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻)
  • 大政 健史(大阪大学大学院工学研究科応用生物工学専攻)
  • 植田 和光(京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻)
  • 三枝 順三(産業医学総合研究所人間工学特性研究部)
  • 藤村 昭夫(自治医科大学臨床薬理学)
  • 黒田 章夫(広島大学大学院先端物質科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
122,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来の原因追求型治療に代わり、生体機能代替により難治性疾患を治療する機能再建型治療を開発する。そのために、ナノテクノロジを駆使した高機能LSIを用い循環調節機能を代替するバイオニック植込み心不全治療装置、生体内通信、生体燃料電池など超小型分散ペーシングシステムの基盤技術、生体血液界面の抗血栓性をナノ分子操作技術を用いて代替した循環器系植込み機器、生体細胞の必要機能を脂質膜上に代替する非細胞性ナノ生化学系による血液浄化装置を開発する。
研究方法
バイオニック心不全治療装置の試作における問題点を改良し二次試作を行った。バイオニック心不全治療の中枢作用を検討するために食塩を自由に摂取させ、治療の有無による食塩嗜好性やバゾプレッシン分泌を検討した。大動物でのバイオニック心不全治療を行った。体内超音波通信装置の問題点を改良した。溶液中では動作した酵素複合体を電極に高分子化し生体燃料電池としての開発をおこなった。
抗血栓性の作用機序をタンパク吸着と細胞接着の点から検討した。人工肺を含む補助人工心臓の慢性使用を検討した。
ポリリン酸により連続的にATPを供給できるか検討した。プロテオリポソームの輸送能に影響する脂質組成や安定性を検討した。
結果と考察
バイオニック心不全治療装置の二次試作により、安定した通信による内部処理手順の自由な書換えを確保した上で回路の耐水性を向上した。循環調節代替による心不全治療は食塩嗜好性やバゾプレッシン分泌を低下させ中枢の関与が示された。イヌでバイオニック心不全治療の最適刺激条件は5~21Hz、210~450μs、3~5V程度であった。体内超音波通信装置の試作が完了した。電極に酵素複合体を固定化した生体燃料電池が現実的な電力を供給しうる見通しを得た。
抗血栓性処理により意外も低分子のタンパクが吸着したが、細胞接着は完全に阻害した。抗血栓性の補助人工心臓は長期に使用でき血小板数や凝固能の異常もなかった。
不溶性のものも含めポリリン酸を用いたエネルギー再生系が構築できた。プロテオリポソームの輸送能は混合脂質組成の方が高く、熱、酸化ストレスに対して組み込みタンパクが凝集することで安定性が低下していた。過剰ATPで安定性が向上した。
結論
生体機能代替により難治性疾患を治療する機能再建型治療に向け、バイオニック心不全治療装置、体内通信、生体燃料電池、抗血栓性処理、非細胞性ナノ生化学系の開発を行った。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-