文献情報
文献番号
201308021A
報告書区分
総括
研究課題名
医工連携のための医療・工学技術者Co-education事業の構築と実践
課題番号
H23-医療機器-指定-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松木 英敏(東北大学 大学院医工学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 佐藤 正明(東北大学 国際高等研究教育機構)
- 梅村 晋一郎(東北大学 大学院医工学研究科)
- 高橋 明(東北大学 大学院医工学研究科)
- 吉澤 誠(東北大学 サイバーサイエンスセンター)
- 早瀬 敏幸(東北大学 流体科学研究所)
- 谷内 一彦(東北大学 大学院医学系研究科)
- 福島 浩平(東北大学 大学院医工学研究科)
- 鎌倉 慎治(東北大学 大学院医工学研究科)
- 川瀬 哲明(東北大学 大学院医工学研究科)
- 出江 紳一(東北大学 大学院医工学研究科)
- 金井 浩(東北大学 大学院工学研究科)
- 永富 良一(東北大学 大学院医工学研究科)
- 山家 智之(東北大学 加齢医学研究所)
- 阿部 高明(東北大学 大学院医工学研究科)
- 大隅 典子(東北大学 大学院医学系研究科)
- 西條 芳文(東北大学 大学院医工学研究科)
- 小玉 哲也(東北大学 大学院医工学研究科)
- 小野 栄夫(東北大学 大学院医学系研究科)
- 田中 徹(東北大学 大学院医工学研究科)
- 吉信 達夫(東北大学 大学院医工学研究科)
- 芳賀 洋一(東北大学 大学院医工学研究科)
- 松浦 祐司(東北大学 大学院医工学研究科)
- 田中 真美(東北大学 大学院医工学研究科)
- 佐竹 正延(東北大学 加齢医学研究所)
- 木村 芳孝(東北大学 大学院医学系研究科)
- 中里 信和(東北大学 大学院医学系研究科)
- 渡邉 高志(東北大学 大学院医工学研究科)
- 石川 拓司(東北大学 大学院工学研究科)
- 武田 元博(東北大学 大学院医工学研究科)
- 神崎 展(東北大学 大学院医工学研究科)
- 金高 弘恭(東北大学 大学院歯学研究科)
- 平野 愛弓(東北大学 大学院医工学研究科)
- 川下 将一(東北大学 大学院医工学研究科)
- 村山 和隆(東北大学 大学院医工学研究科)
- 太田 信(東北大学 流体科学研究所)
- 長谷川 英之(東北大学 大学院医工学研究科)
- 沼山 恵子(東北大学 大学院医工学研究科)
- 高瀬 圭(東北大学病院)
- 亀井 尚(東北大学病院)
- 飯島 克則(東北大学病院)
- 佐野 博高(東北大学病院)
- 中野 徹(東北大学病院)
- 近藤 泰輝(東北大学病院)
- 八田 益充(東北大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
分担研究者について平成25年度より以下の変更があった。
【追加】
佐竹正延、木村芳孝、中里信和、高瀬圭、飯島克則、佐野博高、近藤泰輝、八田益充
【削除】
山口隆美、福田寛、出口真次
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では医師・医療技術者と社会人工学技術者が協働体験の場において課題解決をはかる教育プログラムCo-educationを実現するために、新たな医学医療・工学技術に関するProblem Based Learning(PBL)、と新たな治療機器等の開発に役立つ最新あるいは未来型の治療技術(大型動物を用いた手術手技や遺伝子治療技術)を実体験させる実習プログラムを開発し実施することにより我が国医工連携研究・開発のレベルを高めることを目的とする。
研究方法
a)新たなPBL講義プログラムおよび小動物(マウス)を対象とした遺伝子導入・in vivoイメージング実習プログラムの開発を行った。
b)本研究課題においてこれまでに構築してきた実習環境を用い、開発した講義・実習プログラムを5日間の公開講座として受講者を募り実施した。受講者資格者はREDEEMなどの基礎医工学教育修了者および若手医師を対象とした。
公開プログラム内容は
1)PBL講義プログラムと診断実習
2)大型動物(ブタ)を用いた内視鏡手術、マイクロサージェリー、開腹手術を体験する外科手術実習
3)小動物(マウス)を用いた遺伝子導入・in vivoイメージング実習
とした。
(倫理面への配慮)教育プログラムであるので、実施により研究対象者(受講者)に不利益・危険性が生じることはないが、実験・実習においては不慮の事故の可能性を否定できないので、充分な事前のガイダンス等につとめるとともに、傷害保険への加入を義務づけた。教育に使用する臨床材料等については対象患者が特定できないようにするなど充分に配慮した。実験・実習に使用する動物については、動物愛護の観点から、諸法令・指針にもとづき、本学が定める規程に従い、充分な配慮を行った。
b)本研究課題においてこれまでに構築してきた実習環境を用い、開発した講義・実習プログラムを5日間の公開講座として受講者を募り実施した。受講者資格者はREDEEMなどの基礎医工学教育修了者および若手医師を対象とした。
公開プログラム内容は
1)PBL講義プログラムと診断実習
2)大型動物(ブタ)を用いた内視鏡手術、マイクロサージェリー、開腹手術を体験する外科手術実習
3)小動物(マウス)を用いた遺伝子導入・in vivoイメージング実習
とした。
(倫理面への配慮)教育プログラムであるので、実施により研究対象者(受講者)に不利益・危険性が生じることはないが、実験・実習においては不慮の事故の可能性を否定できないので、充分な事前のガイダンス等につとめるとともに、傷害保険への加入を義務づけた。教育に使用する臨床材料等については対象患者が特定できないようにするなど充分に配慮した。実験・実習に使用する動物については、動物愛護の観点から、諸法令・指針にもとづき、本学が定める規程に従い、充分な配慮を行った。
結果と考察
38テーマの医学医療および工学技術に関する90分の内容のPBL講義コンテンツを作成した。またマウス組織への遺伝子導入・in vivoイメージング実習プログラムを作成・改良し、ブタを用いた内視鏡手術・マイクロサージェリーなどを体験する外科実習プログラムの改良を行った。また最終年度の締めくくりとして医師・医療技術者と工学技術者を対象とした課題解決型Co-education講座を開講しその効果を実証した。公募に応じた工学系の受講者9名に加えて、若手医師等の医療従事者3名が参加した。
1) PBL講義プログラムと診断実習
ア)PBL講義は、開発した38テーマのうち呼吸器疾患、循環器系疾患、脳疾患(てんかん)の3テーマを取り上げ、症例提示、問診・診察・検査などの診断プロセスや治療方針の決定など、医師の考え方が工学技術者に理解できるように背景となる知識や技術を解説し、質疑応答を交えた双方向性講義を実施した。
イ)診断実習は、聴診、血圧測定、SpO2、心電図およびシミュレーターを利用した採血実習と、超音波画像診断装置を用いた頸動脈エコー・心エコー検査を行った。
2) 大型動物(ブタ)を用いた内視鏡手術、マイクロサージェリー、開腹手術の外科手術実習(動物実験教育研修計画(承認番号:2013医工教-003))
ア)動物実験ガイダンス後に手術手技の講義、シミュレーターなどを用いた手術手技のトレーニングを実施した。
イ)ブタの麻酔導入・気管内挿管、内視鏡手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)、開腹、直視下腸管吻合、肝吸引切除、マイクロサージェリー(顕微鏡下微小血管吻合)、開胸、心臓の観察などを指導医のもとに実施した。
3) 小動物(マウス)を用いた遺伝子導入・in vivoイメージング実習(遺伝子組換え実験教育研修計画(承認番号:2013医工組換教-001)・動物実験教育研修計画(承認番号:2013医工教-002))
ア)近赤外領域蛍光タンパク質遺伝子組込ベクターを、麻酔下のマウス下腿前脛骨筋にエレクトロポレーション法により導入。
イ)2日後、麻酔下のマウスのin vivo近赤外領域蛍光イメージングによる遺伝子導入の成否確認。さらに摘出下腿骨格筋の蛍光タンパク質発現を観察した。
全ての講義・実習プログラムはほぼ円滑に予定通り進行させることができた。現役医師によるPBL講義により医師の考え方のより深い理解が可能になった。また最新の技術の多少の失敗を交えた体験は実習として価値があった。手技に頼る部分には習熟が必要であり、最先端の技術にも技術的な脆弱性が内在することが理解された。
1) PBL講義プログラムと診断実習
ア)PBL講義は、開発した38テーマのうち呼吸器疾患、循環器系疾患、脳疾患(てんかん)の3テーマを取り上げ、症例提示、問診・診察・検査などの診断プロセスや治療方針の決定など、医師の考え方が工学技術者に理解できるように背景となる知識や技術を解説し、質疑応答を交えた双方向性講義を実施した。
イ)診断実習は、聴診、血圧測定、SpO2、心電図およびシミュレーターを利用した採血実習と、超音波画像診断装置を用いた頸動脈エコー・心エコー検査を行った。
2) 大型動物(ブタ)を用いた内視鏡手術、マイクロサージェリー、開腹手術の外科手術実習(動物実験教育研修計画(承認番号:2013医工教-003))
ア)動物実験ガイダンス後に手術手技の講義、シミュレーターなどを用いた手術手技のトレーニングを実施した。
イ)ブタの麻酔導入・気管内挿管、内視鏡手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)、開腹、直視下腸管吻合、肝吸引切除、マイクロサージェリー(顕微鏡下微小血管吻合)、開胸、心臓の観察などを指導医のもとに実施した。
3) 小動物(マウス)を用いた遺伝子導入・in vivoイメージング実習(遺伝子組換え実験教育研修計画(承認番号:2013医工組換教-001)・動物実験教育研修計画(承認番号:2013医工教-002))
ア)近赤外領域蛍光タンパク質遺伝子組込ベクターを、麻酔下のマウス下腿前脛骨筋にエレクトロポレーション法により導入。
イ)2日後、麻酔下のマウスのin vivo近赤外領域蛍光イメージングによる遺伝子導入の成否確認。さらに摘出下腿骨格筋の蛍光タンパク質発現を観察した。
全ての講義・実習プログラムはほぼ円滑に予定通り進行させることができた。現役医師によるPBL講義により医師の考え方のより深い理解が可能になった。また最新の技術の多少の失敗を交えた体験は実習として価値があった。手技に頼る部分には習熟が必要であり、最先端の技術にも技術的な脆弱性が内在することが理解された。
結論
医師・医療技術者のCo-educationコースを若手医師と公募に応じた社会人工学技術者を対象に実施した。PBL臨床講義および大型動物手術実習、遺伝子導入・生体イメージング実習の3つを柱とする実習プログラム、特にPBL講義には医師と工学技術者が意見や質問を交えながら参加することがCo-education効果につながることを確認した。
公開日・更新日
公開日
2015-03-03
更新日
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