効率的転倒予測技術の開発と転倒予防介入による生活機能の持続的改善効果に関する縦断研究

文献情報

文献番号
200821020A
報告書区分
総括
研究課題名
効率的転倒予測技術の開発と転倒予防介入による生活機能の持続的改善効果に関する縦断研究
課題番号
H18-長寿・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(杏林大学 医学部高齢医学)
研究分担者(所属機関)
  • 松田晋哉(産業医大 公衆衛生)
  • 松林公蔵(京都大学 東南アジアセンター)
  • 西永正典(高知大学 老年科)
  • 秋下雅弘(東大 老年病科)
  • 神崎恒一(杏林大学 高齢医学)
  • 大河内二郎(老人保健施設 竜間の郷)
  • 山田思鶴(老人保健施設 まほろばの郷)
  • 金憲経(都老人総合研究所)
  • 櫻井孝(神戸大学 老年科)
  • 海老原覚(東北大学老人科)
  • 鈴木裕介(名古屋大学 老年科)
  • 羽鳥正仁(東北大学整形外科)
  • 丸山直記(都 老人総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
21,620,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨量増加をもたらす骨粗鬆症薬の増加、普及にもかかわらず、骨折は10年間で倍増。
骨折の80%以上は、転倒に起因し、骨量増加策と同時に転倒予測、予防が喫緊の課題。
転倒健診用の評価表の完成と、転倒予防に有効な療法の確立を目的とする。 
研究方法
転倒は虚弱多因子と環境要因による複合的な症候群であり、これらの因子を見落とさずに効率良く評価する転倒スコアの実用性を、複数のフィールドで検証。
転倒予防事業の継続性と効果を縦断的に検証。
結果と考察
1)21項目の転倒スコアのカットオフポイントを詳細に検討。 単回転倒で9項目以上、複数回転倒とも10項目以上で感度特異度とも65%以上
2)大規模スクリーニング用の転倒予測表5項目(転倒歴、歩行速度、杖、円背、5種以上の薬剤)を完成、感度・特異度とも70%以上
3)転倒スコア以外で独立して複数のフィールドで有用性が確認されたのはUp&Goテストのみ
4)運動の転倒予防効果を大規模縦断研究で確認
5)6ヶ月の転倒予防事業は1年後に効果が消失

結論
転倒スコアは、転倒危険者の検出に極めて有効。
転倒予防事業は、1年以上継続して行って始めて効果が得られる。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-11-17
更新日
-

文献情報

文献番号
200821020B
報告書区分
総合
研究課題名
効率的転倒予測技術の開発と転倒予防介入による生活機能の持続的改善効果に関する縦断研究
課題番号
H18-長寿・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(杏林大学 医学部高齢医学)
研究分担者(所属機関)
  • 松田晋哉(産業医大 公衆衛生)
  • 松林公蔵(京都大学 東南アジアセンター)
  • 西永正典(高知大学 老年科)
  • 秋下雅弘(東京大学 老年病科)
  • 神崎恒一(杏林大学 医学部高齢医学)
  • 大河内二郎(老人保健施設 竜間の郷)
  • 山田思鶴(老人保健施設 まほろばの郷)
  • 金憲経(都老人総合研究所)
  • 櫻井孝(神戸大学 老年科)
  • 海老原覚(東北大学 老人科)
  • 鈴木裕介(名古屋大学 老年科)
  • 羽鳥正仁(東北大学 整形外科)
  • 丸山直記(都老人総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
転倒のスクリーニング検査の確立と転倒予防介入の有効な持続介入方法の解明
研究方法
対象:14都道府県体操集団8000名、転倒外来、浦臼町、土佐町、木祖村、福岡県自治体など4000名以上の住民を対象。
方法:転倒スコアの転倒予測カットオフポイントを検討。 スコアと生活機能を検討
転倒メカニズム:脳 MRIによる検討、歩行機能検査、関節可動域検査などを検討
介入:運動介入、アロマによる脳刺激介入を実施
結果と考察
I 転倒予測技術の確立(ハイリスク者の特定)
I-1) 単回転倒で9項目以上、複数回転倒とも10項目以上で感度特異度とも65%以上。
年齢・性調整後の危険率は約3倍であった(和田・松林)。
大規模スクリーニング用の転倒予測表5項目(転倒歴、歩行速度、杖、円背、5種以上の薬剤)を完成、感度・特異度とも70%以上(大河内、鳥羽他班員協同、Geriatrics Gerontology Int.)。
I-2) 認知症の転倒予測に関し、転倒スコアの有用性を確認(神崎)
I-3)転倒スコア以外で独立して複数のフィールドで有用性が確認されたのはUp&Go テストのみ(和田・松林、西永、鈴木)。
I-4)脳白質病変の程度は転倒と相関(神崎).
I-5) 足関節挙上角度(Dorsiflex)と転倒率の相関を見いだした(鳥羽)。
I-6) 筋肉減少症の新しいマーカーの可能性を実験レベルで確認(丸山)
II)転倒予防介入:
II-1) 運動の転倒予防効果を大規模縦断研究で確認(神崎)65歳未満がより有効。
II-2) 6年目までの縦断研究で運動継続効果を骨量、運動機能、バランスで確認(長谷川)
II-3) 転倒経験高齢者の転倒予防介入(RCT)、足背筋力・膝伸展力が向上(金)
II-4) 匂い刺激による転倒予防介入(RCT)、重心動揺を改善(海老原)
II-5) ビタミンDによる転倒予防介入(RCT)が進行中(班員共同)
結論
転倒は転倒スコアによって、効率良く正確に予測可能である。
転倒介入は虚弱の度合いが低いうちに行うと予防効果が高く、1年以上の持続性のある運動習慣の啓発が重要である。 骨粗鬆症・筋減少や脳白質病変に起因する、転倒の主因にせまる研究が必要。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-11-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
転倒に関する内的因子だけでなく、環境要因を加えた、内外で始めての「転倒スコア」を開発し
信頼性、妥当性を検証し、学術誌(Geriat Geront Int)に発表。
同誌の最多引用論文となった。
臨床的観点からの成果
転倒予測を簡易にできるスコアの開発によって、1000人単位の臨床研究が容易になった。
疾患別、状態別(介護度など)、居住場所別(在宅、施設)にかかわらず応用可能。
ガイドライン等の開発
転倒スコが運動器の機能向上マニュアルに収載
「運動器の機能向上マニュアル」分担研究班 平成21年3月
介護予防ガイドライン 2006年
その他行政的観点からの成果
転倒スコは運動器の機能向上マニュアルに収載され、スクリーニング検査として広く使用される。
その他のインパクト
転倒スコアは、朝日新聞、転倒外来は、テレビ朝日
薬剤と転倒は、NHKクローズアップ現代でもとりあげられた。

発表件数

原著論文(和文)
19件
原著論文(英文等)
95件
その他論文(和文)
94件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
150件
学会発表(国際学会等)
24件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
36件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Okochi J, Toba K, Takahashi T et al
Simple screening test for risk of falls in the elderly
Geriat Geront Int , 6 , 223-227  (2006)
原著論文2
Hang Xi, Akishita M, Nagai K et al
Potent free radial scavenger edaravone soppress oxidative stress-induced endothelial damage and early atherosclerosis
Atherosclerosis , 191 , 281-289  (2007)
原著論文3
平山俊一、菊地令子、井上慎一郎 他
超高齢者に「おけるクレアチニンクリアランス推定式の比較検討
日老医誌 , 44 , 90-94  (2007)
原著論文4
KIm H, Suzuki T, Yoshida Y et al
Effectiveness of multidimentional exercise for the treatment of stress urinary incontinence in elderly community-dwelling Japanese: A randomized controlled crossover trial
Am J Geriat Soc , 55 (12) , 1932-1939  (2007)
原著論文5
Yamasaki M, Ebihara T, Ebihara T et al
Cough reflex and oral chemesthesis induced by capsaicin and capsiate in healthy never-smokers
Cough , 3 (9) , 1-7  (2007)
原著論文6
Umegaki H, Onishi J, Suzuki Y et al
Attitude toward disclosing the diagnosis of dementia in Japan
International Psychogeriatrics , 19 (2) , 253-265  (2007)
原著論文7
葛谷雅文、鈴木裕介、長谷川潤 他
認知症における白質病変と精神運動速度の関連
日老医誌 , 44 , 328-330  (2007)
原著論文8
Ishigami A, Maruyama N
Significance of SMP30 in gerontology
Geriat Geront Int , 7 , 316-325  (2007)
原著論文9
鳥羽研二、菊地令子、岩田安希子
転倒リスクを高める薬剤
骨粗鬆症治療 , 21 , 191-195  (2008)
原著論文10
鳥羽研二、菊地令子、岩田安希子 他
臨床医に役立つ易転倒性発見のための「転倒スコア」
日医雑誌 , 137 (11) , 2275-2279  (2009)
原著論文11
Matsuda S,Fujino Y
Analysis of relationship between depression and changes in ADL status among the Japanese aged
Asian Pacific J of Disease Management , 2 (3) , 83-91  (2008)
原著論文12
Fujino Y, Matsuda S
Prospective study of living arrangement by the ability to receive informal care and survival among Japanese elderly
Preventive Medicine , 48 , 79-85  (2008)
原著論文13
Hirao T, Urata Y, Kageyama K et al
Dehydroepiandrosterone augments sensitivity to r-ray irradiation in human H4 neuroglioma cells therough down-regulation of Akt signaling
Free Radical Research , 42 (11) , 957-965  (2008)
原著論文14
Sonohara K, Kozaki K, Akishita M et al
White matter lesions as a feture of cognitive impairment, low vitality and other symptoms of geriatric syndrome in the elderly
Geriat Geront Int , 8 , 93-100  (2008)
原著論文15
Kawashima Y, Akishita M, Hasegawa H et al
Stress-induced blood pressure elevation in subjects with mild cognitive impairment: Effect of the dual-type calcium channel blocker, cilnidipine
Geriat Geront Int , 8 , 278-283  (2008)
原著論文16
菊地令子、神崎恒一、川島有美子 他
運動習慣を有する高齢女性における転倒リスク
日老医誌 , 45 , 526-531  (2008)
原著論文17
吉田佑子、岩佐一、金憲経 他
都市部在住高齢者における介護予防健診の不参加者の特徴
日本公衆衛誌 , 55 (4) , 221-227  (2008)
原著論文18
Umegaki H, Iimuro S, KANEKO T et al
Factors associated with lower Mini Mental State Examination scores in elderly Japanese diebetes mellitus patints
Neurobiology of Aging , 29 , 1022-1026  (2008)
原著論文19
Yammada s, Ebihara S, Ebihara T, et al
impaired urge-to-cough in elderly patients with aspiration
Cough , 4 (11) , 1-6  (2008)
原著論文20
Niu K, Hozawa A, GUO H et al.
Serum C-Reactive Protein Even at very low conentration is associated with physical performance in a community-based eldely population aged 70 years and over
Gerontology , 54 , 260-267  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-