HIV検査と医療へのアクセス向上に資する多言語対応モデルの構築に関する研究

文献情報

文献番号
202020015A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV検査と医療へのアクセス向上に資する多言語対応モデルの構築に関する研究
課題番号
19HB1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
北島 勉(杏林大学 総合政策学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沢田 貴志(神奈川県勤労者医療生活協同組合 港町診療所)
  • 宮首 弘子(杏林大学外国語学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
9,625,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、我が国の外国人男性のHIV陽性報告数は増加傾向にあり、男性同性間の性的接触による感染が多数を占めつつある。新型コロナウイルス感染症流行の影響により留学生や技能実習生を中心とした中長期滞在者も減少したものの令和2年6月現在250万人が滞在していた。彼らの多くは性的に活動的な年齢層であるため、HIVを含む性感染症に感染する者が増加する可能性がある。そこで、本研究では、HIV検査受検促進や陽性者への医療関連サービスへのアクセスの改善をめざし、自治体との連携モデルを構築することを目的とする。
研究方法
本研究では、(1)エイズ診療拠点病院等における多言語対応の実態調査、(2)ベトナムとネパールから技能実習生等の身分で来日予定者及び来日後の者を対象とした保健行動やHIV検査へのアクセスに関する調査、(3)国内の中国人技能実習生とベトナム人技能実習生や留学生を対象とした保健行動とHIV検査へのアクセスに関する調査、(4)HIV及び結核の検査や治療で活用できる医療通訳者の育成を行った。
結果と考察
(1)対象施設の84.9%から回収を得られた。2013年に実施した同様の調査と比較して、東アジア出身のHIV陽性者の割合が高くなっていること、日本語や英語が不自由な外国人の受け入れは困難な場合が多いこと、支援が必要な言語が多様化していることがわかった。(2)2019年度に来日前の調査に協力をしてくれた者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度に来日できた者はベトナム人182人中11人、ネパール人200人中22人と少なかった。来日3ヶ月後において性行為をした者、HIV検査を受検した者はいなかった。今後、両国から入国してくる者を含めて追跡をしていく予定である。(3)中国人技能実習生(220人)とベトナム人技能実習生及び留学生(600人)を対象とした保健行動やHIV検査へのアクセスに関する調査を実施した。中国人参加者は全員女性であり、ベトナム人参加者のうち40.1%は男性であった。過去3ヶ月間に性行為をした者は中国人5.9%、ベトナム人26.5%であった。コンドーム使用頻度は低く、性感染症に罹患した者もいた。HIV検査受検に興味のある者は中国人では4%であったが、ベトナム人では30.4%であった。HIV感染予防のための情報提供のあり方を検討する必要がある。(4)令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン研修を行い、7言語95人の参加があった。オンラインでも対面と同等の研修効果が得られることがわかった。
結論
在留外国人の中でも人数が多い、中国、ベトナム、ネパール出身者を対象に調査を行った。HIVを含む性感染症予防に関する情報提供やHIV検査へのアクセスを改善する必要がある。新型コロナウイルス感染症が流行している中、オンラインによる遠隔通訳を含めたHIV検査や医療へのアクセス改善のための多言語対応モデルを自治体やNGOらと協力して構築していきたい。

公開日・更新日

公開日
2021-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202020015Z