基礎工事用大型建設機械の転倒防止に関する研究

文献情報

文献番号
200733025A
報告書区分
総括
研究課題名
基礎工事用大型建設機械の転倒防止に関する研究
課題番号
H19-労働-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
玉手 聡(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 産業安全研究所 建設安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 末政直晃(武蔵工業大学 工学部)
  • 伊藤和也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 産業安全研究所 建設安全研究グループ )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は杭打ち機械の転倒防止を目的に、その安定設置に必要な支持地盤の条件を明らかにしようとするものである。杭打ち機械はトップヘビーな構造を有しながら自走することと、設置される施工現場が潜在的に軟弱な地盤であることの2つの不安定要因がある。災害防止には安定設置に必要な支持地盤条件を明らかにする必要があり、その検討では機械の構造と施工地盤の特性が考慮されなければならない。
研究方法
1)杭打ち機械の転倒災害を調査した。機体の緒元や作業方法ならびに地盤養生等の条件を分析し、発生原因を明らかにした。
2)実大現場実験を実施した。この実験では地盤の支持力、不陸および傾斜を事前調査した後に実機を自走させ、動揺を計測した。設置地盤と自走時挙動の関係を解析した。
3)遠心実験用の小型走行模型の設計とその製作を行った。30gの遠心力場における筐体と車軸の強度試験、動力試験および通信制御試験を行った。これらの予備試験による性能確認を行った。
結果と考察
1)災害事例を調査した結果、現場地盤は潜在的な危険性を有していたことがわかった。加えて施工中に発生したトラブルによって、新たな危険要因が生じた。さらに作業上のミスが重なり、転倒災害に至ったことがわかった。
2)現場実験における杭打ち機械の自走挙動を解析した。リーダー上部における応答加速度は0.3から0.4Hz付近に振幅スペクトルのピークが見られた.また、応答加速度の発生頻度には正規的な分布が確認された.応答加速度の進行方向成分(Ax)と左右方向(Ay)の標準偏差(SD)はリーダー上部で最も大きく,その値は約0.03Gであることがわかった.
3)1/25スケールの杭打ち機模型を作製し,重心の位置を実機と等しく再現した。25gの遠心場における予備実験に成功し、動力性能と強度性能を確認した。任意な安定度の再現と、車軸アーム部に与えたひずみゲージの出力から、履帯面上の接地圧力が計測可能なことを確認した。
結論
過去に発生した災害事例の資料調査を実施した。機体の緒元や作業方法ならびに地盤養生等の条件を分析し、発生原因を明らかにした。施工現場における杭打ち機の実大自走実験を行った。設置地盤と自走時挙動の関係を実測した。遠心場走行実験用の杭打ち機械を製作した。1/25スケールの小型走行模型を製作し、その基本性能を確認した。次年度は、地盤条件と機体の安定度をパラメータとした本実験を行い、不安定メカニズムの詳細を調査したいと考えている。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
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