国際的動向を踏まえた食品添加物の規格の向上に関する調査研究

文献情報

文献番号
200636010A
報告書区分
総括
研究課題名
国際的動向を踏まえた食品添加物の規格の向上に関する調査研究
課題番号
H16-食品-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 恭子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 寛(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 扇間 昌規(武庫川女子大学薬学部)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部 )
  • 久保田 浩樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の国際調和の要請に適切に対応しつつ、我が国の食品の安全性を確保するためには、食品添加物の規格基準の国際的視野での再整備が不可欠である。本研究では、食品の安全性、食品添加物の規格の向上を目指し、調査研究を行った。
研究方法
香料化合物の摂取量は、食品香料製造会社への調査を行い、使用量を集計しPTCC法により算出した。香料化合物の自主規格については、日本香料工業会自主規格作成方針を見直し、検討を行った。生産量統計を基にした食品添加物の摂取量の推定では、指定添加物の第8回アンケート調査の追加調査及び再調査、既存添加物の第3回アンケート調査を実施した。増粘安定剤の残留溶媒分析は、酵素を用いたヘッドスペース(HS)-GC法の検討を行った。食品添加物の赤外吸収スペクトル(IR)は、各種測定法による測定を行い、参照IR等と比較検討した。規格分析法の検討として、ポリソルベート類の1H-NMR測定を行い、EO含量を算出した。食品中の食品添加物の流通状態における消長調査は、ソルビン酸とシステイン塩酸塩の反応生成物についてHPLCにより分析した。食品添加物の分解生成物の解明では、次亜塩素酸Na溶液での殺菌処理により生成するハロ酢酸について検討した。
結果と考察
香料化合物の平成17年の使用実態を明らかにし、213品目につき自主規格を作成した。生産量統計を基にした食品添加物の摂取量の推定では、指定添加物及び既存添加物についてデータが整備された。増粘安定剤の残留溶媒分析法では、酵素を用いたHS-GC法が蒸留-GC法の代替法となる可能性を示した。IRでは、ネオテーム、トコフェロール酢酸エステル等の標準IRを得ることができた。規格分析法の検討では、1H-NMRによる定量分析法が、ポリソルベート類中のEO定量法として滴定法に代わる簡便且つ有効な手段であると考えられた。ソルビン酸とシステイン塩酸塩より少なくとも3化合物の生成が認められた。カットキャベツを次亜塩素酸Naで殺菌処理すると、ハロ酢酸の生成が認められた。その生成量は次亜塩素酸Naの初期濃度や温度依存的に増加したが、殺菌処理後の水洗浄によりハロ酢酸の残存量は減少した。
結論
摂取量調査、規格の向上、食品中の食品添加物の変化に伴う生成化合物に関する研究を実施し、食品添加物規格の国際化に向けた改訂に役立つとともに、食品添加物行政の安心・安全の確保に資する知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200636010B
報告書区分
総合
研究課題名
国際的動向を踏まえた食品添加物の規格の向上に関する調査研究
課題番号
H16-食品-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 恭子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 寛(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 扇間 昌規(武庫川女子大学薬学部)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 久保田 浩樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の国際調和の要請に適切に対応しつつ、我が国の食品の安全性を確保するためには、食品添加物の規格基準の国際的視野での再整備が不可欠である。本研究では食品の安全性、食品添加物の規格の向上を目指し、調査研究を行った。
研究方法
香料化合物の摂取量調査は、構築した高度化データベースを利用し、使用量からPTCC法により算出した。香料化合物の自主規格作成では、作成した判断樹を使い、342化合物の規格を整備した。生産量統計を基にした食品添加物の摂取量の推定では、指定添加物の第7回、既存添加物の第2回の結果をまとめ、新たな調査に着手した。増粘安定剤の残留溶媒分析は、HS-GC法と蒸留-GC法、限外ろ過-GC法の比較を行った。食品添加物のIRは、各種測定法による測定を行い、参照IR等と比較検討した。新規規格分析法としてLC-NMR法、未知化合物の構造確認のために同位体を用いたモデル合成法及び定量NMR(qNMR)法を開発検討した。食品中の食品添加物の流通状態における消長調査は、ソルビン酸とシステイン塩酸塩の反応生成物を分析した。食品添加物の分解生成物の解明では、次亜塩素酸Na溶液での殺菌処理による消毒生成物について検討した。
結果と考察
香料化合物の平成17年の使用実態を明らかにし、213品目につき自主規格を作成した。生産量統計を基にした食品添加物の摂取量の推定では、指定添加物及び既存添加物についてデータが整備された。増粘安定剤の残留溶媒分析法では、HS-GC法が蒸留-GC法、限外ろ過法の代替法となる可能性を示した。IRでは、ベタイン等の標準IRを得ることができた。規格分析法の検討では、異性体混合物中の異性体の同定にLC-NMRが有効であること、LC-MSが道化合物の構造確認に有効であること、定量法NMR法が高分子中の置換基を定量する方法として有効であることを明らかとした。食品中の食品添加物の流通状態における消長調査では、ソルビン酸とシステイン塩酸塩より少なくとも3化合物の生成が認められた。食品添加物の分解生成物の解明では、カット野菜の次亜塩素酸ナトリウム殺菌処理により生成する消毒生成物に関する知見が得られた。
結論
摂取量調査、規格の向上、食品中の食品添加物の変化に伴う生成化合物に関する研究を実施し、食品添加物規格の国際化に向けた改訂に役立つとともに、食品添加物行政の安心・安全の確保に資する知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200636010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
品目によって世界的に異なる参照IRが使われている場合があり、その原因を解明した。NMRを応用した規格試験法を確立した。次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌処理の消毒生成物を明らかにした。これらは、IR測定法の向上、NMRの応用範囲の拡大、次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌処理の消毒生成物に関する知見の集積に役立つ。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
本研究で得られた標準IRは第8版食品添加物公定書等の参照IRとされた。また、生産量統計を基にした食品添加物の摂取量の推定結果は、食品添加物の摂取量の参考値として審議会資料等に用いられ、JECFAでも活用されている。香料化合物の生産使用量・摂取量については、JECFAにおける香料化合物の安全性評価の際に我が国の情報として提供される。
その他のインパクト
香料化合物の生産使用量・摂取量及び自主規格については、日本香料工業会ホームページ上で一般公開される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
食品添加物の参照赤外吸収スペクトル及び食品添加物の一日摂取量データの提供
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sugimoto N, Yomota C, Furusho N, et al.
Application of liquid chromatography-nuclear magnetic resonance spectroscopy to the identification of ethyldimethylpyrazine, a food flavoring agent
Food Add. Contam. , 23 (12) , 1253-1259  (2006)
原著論文2
Kitamura Y, Iwasaki T, Saito M, et al.
Standard Infrared Absorption Spectrum of Betaine and Optimal Conditions for its Measurement
J. Food Hygienics Society of Japan , 47 (5) , 232-236  (2006)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-