国民の健康状況に関する統計情報を世帯面から把握・分析するシステムの検討に関する研究

文献情報

文献番号
200602002A
報告書区分
総括
研究課題名
国民の健康状況に関する統計情報を世帯面から把握・分析するシステムの検討に関する研究
課題番号
H17-統計-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山岡 和枝(国立保健医療科学院)
  • 川上 憲人(東京大学大学院医学系研究科)
  • 石川 ひろの(帝京大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業は2年計画で、現行の国民生活基礎調査健康票の課題抽出や、地域・世帯・個人要因を含めた社会行動学的な健康関連行動のモデル化とその測定手法の理論的・実証的検討を通じて、政策立案に必要な情報を把握・分析する、統計調査のあり方を提案することを目的とした。
研究方法
全国150地点から住民基本台帳ないし選挙人名簿をもとに層化無作為抽出された20から74歳男女2000人を対象に新規開発した留め置き質問票による調査を実施し標本N=1,237(粗回収率61.9% )を得た。回収率・回答率に影響する要因、メンタルヘルス測定尺度(K6)の実施可能性・妥当性の検証、健康関連支出の測定手法の実施可能性と妥当性の検証、健康情報活用の能力の測定妥当性の検証などを行った。
結果と考察
1)回収不能理由として男性では30歳代以上で拒否が多く、若い男性では転居、一時不在がやや多かった。2)K6の得点分布は既存の調査結果と一致する傾向にあった。生活満足度や幸福感とK6得点との相関は弱かった。K6高得点群は、離婚・死別、失業、主観的な社会階層と有意に関連していた。本研究からK6を使用して地域住民の精神健康度をモニタリングする場合の区分点の候補が得られた。3)食費支出の質問をベンチマークとして家計調査の数値と比較したところ、食費・医療保健関連世帯支出額について総額・世帯構成別・所得階層別額は、ほぼ同じレベルのものが得られていた。4)個人の健康情報の活用能力や情報収集行動は、年齢、性別、学歴を始めとして様々な社会人口統計学的特性などにより異なることが明らかになった。また、ソーシャルサポートの存在などによって健康情報の利用行動は異なっていた。5)60歳以上層では「近所に友人と集うのに適した場所がある」ことと、生活満足度・相互信頼性に有意な関係を見たが、若年層では利便性や治安が関係するなど、年齢層によって異なる関係が見られた。
結論
健康支援的な世帯・地域を構築していくために、世帯や地域の特性、個人の健康価値や意識など、社会・経済・心理に及ぶ情報が求められると考えられる。今回提案した健康尺度・消費・情報・地域社会の質などの測定項目は、今後世帯・地域の社会政策のあり方を検討する上で、示唆を与えるものとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200602002B
報告書区分
総合
研究課題名
国民の健康状況に関する統計情報を世帯面から把握・分析するシステムの検討に関する研究
課題番号
H17-統計-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山岡 和枝(国立保健医療科学院 技術評価部)
  • 川上 憲人(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 石川 ひろの(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子高齢化の進展とそれに伴う世帯構造・機能の変化にあわせた、地域社会・世帯レベルでの施策が重要となりつつある今日、個人情報保護に配慮した上で、過不足なく世帯面から捉えた国民の健康や資源の状況把握することが求められている。本研究事業は、現行の国民生活基礎調査健康票の課題抽出や、地域・世帯・個人要因を含めた社会行動学的な健康関連行動のモデル化とその測定手法の理論的・実証的検討を通じ、政策立案に必要な情報を把握・分析する、世帯面統計調査のあり方を提案することを目的とした。
研究方法

初年度研究では、従来の健康票質問の課題の抽出・整理を行う一方、こころの健康の測定尺度の選択について検討した。また、予防関連行動、健康関連情報の活用や健康に対する価値観、社会関係・住環境の認識など新規質問を考案、予備的小調査を行った。さらに各国の家計調査の文献的検討を行い健康関連支出を測定する手法について理論的考察を加えた。18年度では、これらの検討を踏まえて質問票を作成し全国代表的標本で実施し、質問項目の実施可能性・妥当性を実証的に検討した。また回収率や回答率に影響する要因についても検討を加えた。
結果と考察
 
全国150地点から層化無作為抽出された20から74歳男女2000人を対象とし、1,237人(回収率61.9%)の回答を得た。回収率は若年・男性・大都市圏で有意に低かった。こころの健康尺度(K6)は回答率99%を越え実施可能性が高く、また先行研究と対比したところ同様の分布が得られた。K6スコアには就労や婚姻状況などの社会経済特性との有意な相関が見られた。世帯支出について食費でベンチマークしたところ、家計調査の結果とほぼ同様の結果が得られた。健康保持食品などへの支出は有意に所得・生活習慣による差が見られた。健康情報活用能力(ヘルスリテラシー)は、年齢・学歴・社会的支援の状況により有意差が見られ、情報に対する満足度に違いが見られた。居住地域の治安・歩きやすさ、住民が集える場所があるかどうかなどは、年齢層によって社会的支援・社会関係資本・生活満足度との相関が異なった。
結論
今回提案した健康尺度・消費・情報・地域社会の質などの測定項目は、ほぼ理論的に予測されたとおりの結果が得られ、今後健康支援的な世帯・地域環境の整備を進める社会政策のあり方を検討する上で、示唆を与えるものとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200602002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
こころの健康の測定、世帯における健康関連支出、健康関連情報の活用能力(ヘルスリテラシー)の測定手法などについて、留め置き調査で実施可能な質問法を提案、実証的にその妥当性の検証を行った。また社会関係資本・社会的支援・社会的環境認識などの同時測定により、健康支援的社会関係の構築について検討するデータベースを作成した。
臨床的観点からの成果
該当せず
ガイドライン等の開発
該当せず
その他行政的観点からの成果
平成18年9月22日統計審議会国民生活・社会統計部会などにおいて、国民生活基礎調査健康票へのこころの健康測定尺度(K6)の採用に際し、本研究事業で得られたデータなどを参考資料として提供。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-23
更新日
-