脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬のHMGCoA阻害剤の予防効果に関する研究

文献情報

文献番号
200400512A
報告書区分
総括
研究課題名
脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬のHMGCoA阻害剤の予防効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松本 昌泰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻病態探究医科学講座脳神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 東儀 英夫(岩手医科大学)
  • 北 徹(京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
  • 内山 真一郎(東京女子医科大学医学部附属脳神経センター神経内科)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター内科脳血管部門)
  • 井林 雪郎(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
  • 高木 誠(東京都済生会中央病院神経内科)
  • 北川 一夫(大阪大学大学院病態情報内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
35,025,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平均的な血清コレステロール値を有する虚血性脳血管障害の既往患者を対象とし、多施設共同臨床試験(J-STARS)により、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)による脳卒中再発予防のエビデンス確立を目指す。
研究方法
本研究はプラバスタチン投与群またはスタチン非投与群の2群で平均5年間の追跡調査を行う多施設共同無作為化非盲検比較試験である。エンドポイントは脳卒中再発、再発脳卒中の病型分類、認知機能障害や日常生活機能障害等の比較検討を行う。横断的予備調査研究(J-STARS-C)による虚血性脳卒中患者の臨床的背景を参考にプロトコルを完成し、研究組織編成、Web症例登録報告システム完成等の実施体制整備を経て、平成16年3月より症例登録を開始した。平成16年度は研究者対象の地区推進会議、全体会議や市民公開講座開催、研究支援資材作成、重要事項の周知等の研究推進活動を行った。また、縦断的予備調査研究(J-STARS-L)の中間解析を実施し、付随研究として高感度CRP検査研究および頸動脈エコー検査研究を実施した。
結果と考察
J-STARSは本年度の研究推進活動の結果、平成17年3月までに研究協力施設131施設中100施設で倫理委員会の承認を得て、264例の登録を完了し、順調に症例データを集積した。また、J-STARS-Lは目標症例数600例のうち平成17年1月までに412例の登録を達成し、平成16年10月の第1回追跡調査で302例の中間解析を行った。その結果、高脂血症を有する群で有意に脳卒中を主体とした心血管イベントの発生率が高く、これまで日本人で報告のない重要な知見が得られた。更に、J-STARSの対象になりうる患者群をJ-STARS-L登録症例より抽出し、解析した結果、スタチン未投与でJ-STARSの対象となりうる患者が多く、脳卒中再発率は6.7%であり、J-STARSの目標症例数の設定の際に推定した5%を支持した。今後、J-STARSでスタチンの脳卒中再発予防に対する有用性が実証されることが期待される。
結論
J-STARSは順調に症例登録・追跡を実施することができ、J-STARS-Lは中間解析により高脂血症が脳卒中再発の危険因子であることを示唆する結果を得た。本研究の完遂による脳卒中再発予防の新しい治療法の確立により、国民福祉の向上と医療費の軽減に繋がることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200400512B
報告書区分
総合
研究課題名
脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬のHMGCoA阻害剤の予防効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松本 昌泰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻病態探究医科学講座脳神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 東儀 英夫(岩手医科大学)
  • 北 徹(京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
  • 内山 真一郎(東京女子医科大学医学部附属脳神経センター神経内科)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター内科脳血管部門)
  • 井林 雪郎(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
  • 高木 誠(東京都済生会中央病院神経内科)
  • 北川 一夫(大阪大学大学院病態情報内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平均的な血清コレステロール値を有する虚血性脳血管障害の既往のある患者を対象として多施設共同臨床試験(J-STARS)を実施し、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)による脳卒中再発予防のエビデンス確立を目指す。
研究方法
本研究は、目標症例数3000例、プラバスタチン投与群またはスタチン非投与群の2群で平均5年間の追跡調査を行なう多施設共同無作為化非盲検比較試験であり、脳卒中再発をはじめとし、再発脳卒中の病型分類、認知機能障害や日常生活機能障害についての比較検討を行なう。平成14年度より、プロトコル策定、国際標準レベルの研究組織編成、Web症例登録・報告システム構築など研究実施体制を確立し、全国約130施設の研究協力施設において平成16年3月より症例登録を開始し、質の高い臨床試験を遂行すべく様々な推進業務を実施した。また、付随研究として高感度CRP検査研究および頸動脈エコー検査研究を企画し実施した。
結果と考察
J-STARSのプロトコル作成に先立ち、横断的予備調査研究(J-STARS-C)において1487例の解析より明らかとなった虚血性脳血管障害の臨床背景を参考に適格規準を決定した。また、縦断的予備調査研究(J-STARS-L)では、平成17年1月までに412例の症例登録を達成しており、平成16年10月の302例の中間解析の結果、比較的軽症の高脂血症が脳卒中再発のリスクとなる可能性を示唆する結果が得られた。このように予備調査研究により、日本人における脳卒中再発と高脂血症との関係を初めて明らかにすることができたことは、極めて意義深いと考える。J-STARSでは各種研究支援資材の作成をはじめとする推進業務を精力的に行った結果、症例登録数が好調に伸び、平成17年3月までに264例の症例登録を完了し、順調に研究を推進している。今後J-STARSによりJ-STARS-Lで示唆されたスタチンの脳卒中再発予防効果が検証されることが期待される。
結論
3年間にわたり質の高い大規模臨床試験のプロトコルおよび実施体制を確立し、順調に症例登録・追跡報告を実施することができ、予備調査研究の中間解析により高脂血症が脳卒中再発の危険因子であることを示唆する結果を得た。本研究を完遂し、脳卒中再発予防における新たなエビデンスを確立することにより、国民福祉の向上と医療費軽減への貢献が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-