ヨーガの安全性と有用性に関する科学的根拠集積研究

文献情報

文献番号
201450008A
報告書区分
総括
研究課題名
ヨーガの安全性と有用性に関する科学的根拠集積研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡 孝和(九州大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 「統合医療」に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合医療とは、現代医学と相補・代替医療(CAM)を統合した医療のことである。統合医療の必要性は叫ばれながらも、普及しているとは言いがたい。その理由のひとつとして、CAMのエビデンス(有用性)、奏効機序、有害事象について、あまり知られていない、もしくは、医師の視点から、日本語でまとめられた情報源がほとんどない点があげられる。CAM心身相関療法のなかで最も普及しているものの一つにヨガがある。ヨガは健康な人の間で、健康増進法として広く実践され、また有用性に関する知見も集積されつつある。そこで、本委託事業では、ヨガのエビデンス、奏効機序、安全性に関してまとめ、その成果を、広く国民に紹介することを目的とする。
研究方法
このような目的を達成するために、具体的には(1)2014年11月20日の時点で、PubMed, Cochrane libraryでyoga, randomized controlled trialで検索して得られた論文を全て集め、日本語構造化抄録を作成することとした。(2)①慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome, CFS)に対するヨガの疲労軽減作用の機序について、血中バイオマーカーを指標として検討した。②また、ヨガの奏効機序について、ランダム化比較試験で明らかになった研究成果をまとめることとした。(3)ヨガ療法士271名を対象として、ヨガ教室で経験したことのある有害事象について調査した。そして、有害事象が生じやすい要因(状況やポーズ)について検討することとした。
結果と考察
(1)PubMedでは458論文、Cochrane libraryでは318論文がヒットした。目的に合致しない論文を除外し、293の論文を抽出した。その全てのランダム化比較試験に関する構造化抄録を作成した。これらの抄録はEYOGA2015として下記ホームページより閲覧、ダウンロード可能とした。(2)①通常の治療を6ヶ月以上行なっても十分な効果の得られなかったCFS患者に対して、現代医学的治療とアイソメトリックヨガの併用療法を8週間行うと、8週の介入期間前後、また8週目のヨガ練習の前後でも疲労感は低下した。そのときの血中バイオマーカーの変化を調べたところ、20分のヨガを行なうことによりDHEA-Sは有意に増加し、プロラクチンは低下した。このことからヨガはドーパミン神経系の機能を賦活する可能性があることが示唆された。②ランダム化比較試験を通して、ヨガはストレス軽減的に作用するだけでなく、炎症を改善すること、血中脂質を改善すること、酸化ストレスを改善すること、肺機能、心機能を改善することなどが明らかにされていることがわかった。(3)ヨガ指導者に対して行なった調査より、有害事象は特定の動作やポーズ(首、頭の動作、立位のポーズ)で起きやすいことがわかった。また、ヨガ指導者の指導経験から、実習者、指導者、それぞれが注意しないといけない点が明らかとなった.
 これらの結果は、一般国民、ヨガ指導者、医療従事者が閲覧できる様、インターネット上で公開している。具体的には、(1)eJIMを通して、ヨガのエビデンスを紹介している。(2)岡孝和のホームページ( http://okat.web.fc2.com/ )では、疾患ごとの抄録を見ることが可能であると同時に、ヨガエビデンスレポート(EYOGA2015)のダウンロードが可能である。またヨガ教室で生じる有害事象の詳細についても紹介している。
この研究成果が、国民、特に患者、医師、ヨガ指導者が、統合医療の一環としてヨガを適切に選択、利用する際の一助となることを願っている。
結論
 本委託事業で、ヨガのランダム化比較試験の日本語構造化抄録(EYOGA2015)を作成した。ヨガの奏効機序に関する知見をまとめた。そしてヨガ教室での有害事象を防ぐためには、どのような点に注意すべきかをまとめた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201450008C

収支報告書

文献番号
201450008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,200,000円
(2)補助金確定額
5,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 468,780円
人件費・謝金 599,058円
旅費 1,587,175円
その他 1,352,539円
間接経費 1,200,000円
合計 5,207,552円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
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