化学物質の経気道暴露による毒性評価の迅速化、定量化、高精度化に関する研究-シックハウス症候群を考慮した低濃度暴露における肺病変の確認、及び、中枢神経影響を包含する新評価体系の開発-

文献情報

文献番号
201329001A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の経気道暴露による毒性評価の迅速化、定量化、高精度化に関する研究-シックハウス症候群を考慮した低濃度暴露における肺病変の確認、及び、中枢神経影響を包含する新評価体系の開発-
課題番号
H23-化学-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
北嶋 聡(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
25,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201329001B
報告書区分
総合
研究課題名
化学物質の経気道暴露による毒性評価の迅速化、定量化、高精度化に関する研究-シックハウス症候群を考慮した低濃度暴露における肺病変の確認、及び、中枢神経影響を包含する新評価体系の開発-
課題番号
H23-化学-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
北嶋 聡(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201329001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
シックハウスレベルの極低濃度の化学物質の吸入暴露に於いて、器質的変化が誘発される以前の段階(時間的及び濃度的に)での遺伝発現変動を網羅的に評価可能なPercellome トキシコゲノミクスを脳に適用した結果、先行研究の成果である、肺及び肝における病態の惹起或いは生体防御の発動を示唆する影響の捕捉に加えて、中枢影響を予測することが可能である事が明らかとなり、人における被害報告濃度と実験動物で検出可能な器質変化濃度の乖離が甚だしいという課題を克服しうることが明らかとなった。
臨床的観点からの成果
本研究により、化学構造の異なる3物質(ホルムアルデヒド、キシレン、パラジクロロベンゼン)に共通して、指針値レベルの濃度でも、海馬における神経活動が抑制される事が示唆された。この抑制所見は、シックハウス症候群の「不定愁訴」の分子実態の一端を明らかにしたものと考えられ、その原因解明の手がかりとなる可能性がある。この抑制所見は、記憶をはじめとする情動認知行動異常を誘発する可能性が高く、今後、海馬に対する有害性の実証に向け、情動認知行動解析と神経科学的物証の収集を実施する予定である。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
本研究で見いだした海馬における神経活動の抑制所見について、肺或いは肝からの二次的シグナルが共通因子として海馬に作用する可能性を検討した結果、6時間/日×7日間反復暴露時の肺及び肝におけるIL-1β遺伝子の発現増加が3物質に共通して認められ、この分子が共通因子の候補と考えられた。今後、より短い2時間単回暴露の際の解析により、神経活動抑制の上流に位置する因子の解明が進むものと考える。またこの検討を通して、近年の技術革新の加速に伴い急増する「新規物質」の吸入毒性評価への対応の強化が期待される。
その他のインパクト
ヒト気道上皮細胞株を用いるin vitro解析系にて、先行研究で見いだした微生物関連物質(polyI:C)とホルムアルデヒドとのIL-8 遺伝子の発現増強作用について、シックハウス関連物質であるクロルピリホスにも、ホルムアルデヒドと同様の増強効果が認められる事を見いだした。この事は、この解析系が、肺を仲介した影響を含む人への外挿に有用であることを示しているだけでなく、微生物由来物質の存在により、吸入暴露による症状が増強されることを示唆しており、吸入暴露による毒性を考える上で重要な知見と考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
21件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
18件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Igarashi K, Kitajima S, Aisaki K et al.
Development of Humanized Steroid and Xenobiotic Receptor Mouse by homologous knock-in of the human Steroid and Xenobiotic Receptor Ligand Binding Domain sequence
J Toxicol Sci , 37 (2) , 373-380  (2012)
原著論文2
Taquahashi Y, Ogawa Y, Takagi A et al.
An improved dispersion method of multi-wall carbon nanotube for inhalation toxicity studies of experimental animals
J Toxicol Sci , 38 (4) , 619-628  (2013)
原著論文3
Kanno J, Aisaki K, Igarashi K et al.
Oral administration of pentachlorophenol induces interferon signaling mRNAs in C57BL/6 male mouse liver
J Toxicol Sci , 38 (4) , 643-654  (2013)

公開日・更新日

公開日
2016-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201329001Z