精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究

文献情報

文献番号
201317071A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究
課題番号
H25-精神-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
安西 信雄(帝京平成大学 健康メディカル学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河崎 建人(公益社団法人日本精神科病院協会)
  • 平田 豊明(千葉県精神科医療センター)
  • 吉邨 善孝(済生会横浜市東部病院)
  • 村上  優(独立行政法人国立病院機構 琉球病院)
  • 平林 直次(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 藤井 康男(山梨県立北病院)
  • 萱間 真美(聖路加看護大学)
  • 井上 新平(福島県立医科大学会津医療センター)
  • 堀口 寿広(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 立森 久照(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成24年6月の精神科医療の機能分化と質の向上に関する検討会において、精神科入院患者は1年で退
院させる仕組みを検討する方向性が出され、「重度かつ慢性」患者の基準については調査研究等を通
じて明確化していくこととされた。本研究はその基準作りを目的として、各病院団体代表者と関連分
野の専門家の協力を得て実施したものである。初年度にあたる本年は、平成24年度に実施された実態
調査結果を踏まえ、①研究班の合議により「重度かつ慢性」暫定基準案をまとめること、②精神科病
院に1年間継続して入院していた「新しい長期在院患者」(New long-stay; NLS)に焦点を当て横断面調査を行い暫定基準案に関する検討を行う事を目標とした。
研究方法
暫定基準案については、研究班の合議の結果、簡易精神症状評価尺度(BPRS)総得点が45点以上、ま
たは、下位尺度の1つ以上で6点以上で、①行動障害、②生活障害のいずれか(または両方)が基準以
上である場合に、重度かつ慢性の暫定基準案を満たすと判定することとした。
全国の精神科病院を対象に、平成26年1月初めから2月末までを調査期間として、在院1年~1年3ヶ月の「新しい長期在院患者(NLS)」の調査を依頼した。317病院(依頼件数1,300の24.4%)から818人について回答が得られ、うち認知症を除いた患者数は708人であった。上記の暫定基準案に該当するか否かと患者の状態像や医師による退院可能性の判断等との関連を検討した。
結果と考察
全国の精神科病院に入院中の患者のうち、入院後1年~1年3ヶ月の「新しい長期在院患者(NLS)」708人(うち1年後まで在院していた患者は581人)の回答を分析した。暫定基準案と患者の状態像等の関連を検討したところ、暫定基準案に該当するNLS患者350人のうち260人(74.3%)が医師判断において「病状等が重症または不安定であるため」「退院困難」と判断されていた。
このように、今回作成した暫定基準案は主治医の臨床的評価に概ね沿ったものと考えられたが、暫定基準案の妥当性は今後計画している新規入院患者の前向き追跡調査によって検証する必要がある。平成26年度から、こうした前向き調査を実施することで、「重度かつ慢性」に関する基準の妥当性が検証され治療指針が具体化されることが期待される。
結論
研究班の合議により暫定基準案を設け、入院後1年~1年3ヶ月の「新しい長期在院患者(NLS)」を評価したところ、医師判断に概ね沿う結果であった。暫定基準案の妥当性は前向き調査によって検証する必要があるので、平成26年度から27年度にかけて前向き調査を実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317071Z