諸外国の産業精神保健法制度の背景・特徴・効果とわが国への適応可能性に関する調査研究

文献情報

文献番号
201130012A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国の産業精神保健法制度の背景・特徴・効果とわが国への適応可能性に関する調査研究
課題番号
H23-労働・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
三柴 丈典(近畿大学 法学部法律学科)
研究分担者(所属機関)
  • 水島 郁子(大阪大学大学院 法学研究科附属法制実務連携センター)
  • 勝亦 啓文(桐蔭横浜大学 法学部法律学科)
  • 井村 真己(沖縄国際大学 法学部法律学科)
  • 白波瀬 丈一郎(慶應義塾大学 医学部精神・神経科学教室)
  • 梶木 繁之(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 團 泰雄(近畿大学 経営学部)
  • 長谷川 珠子(福島大学 行政政策学類)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,916,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ①諸外国の産業精神保健法制度の背景・特徴・効果を解明し、②わが国への適応可能性を探ること。
研究方法
 本年度と次年度の調査研究は、①を目的としているが、本年度は、イギリス、デンマーク、ドイツ、フランス、アメリカの関連法制度につき、関連領域の専門家から必要な視点について示唆を得つつ、文献調査(ドイツのみ海外渡航調査も行われた)を実施した。
結果と考察
 積極性に濃淡こそあれ、調査対象国のいずれにおいても、それぞれの国の個性、法制度展開の脈絡に見合ったアプローチでこの問題への対応を図ってきた(*結果的に、各国の労働・社会保障政策、とりわけ安全衛生法政策のノウハウのエッセンスが凝縮されているような様相を呈している)が、確たる成果を挙げているとまではいえない。少なくとも、政策レベルでは、講じた対策と成果の因果関係が明確になっていない。
 しかし、積極的取り組みを行っている国では、試行錯誤の過程で個別的な成功・失敗事例の集積が図られて来ており、そのうち成功例はおおむね、一定の標準を踏まえつつ、個々の事業の個性や脈絡を踏まえたオーダーメードの取り組みであることがうかがわれる。
結論
 国の産業精神保健法政策でも、いわば性能要件化(:一律的な規準への適合性審査ではなく、現場で実効性のあがる方策の許容と国の法政策への積極的な吸収)への発想の重点の移行ないし追加が求められることとなる可能性がある。要件となる性能の指標としては、休業率、作業関連疾患罹患率(筋骨格障害(musculoskeletal disorder)や心臓血管系疾患(cardiovascular disease)など器質性疾患の罹患率を含む)、自発的離職率、職場の労働環境に関する問題とこれらの指標との因果関係、職務満足感、業務パフォーマンス、守秘条件下での意見聴取の結果などが考えられる。事業場ごとの実施を促進すべき手続としては、事例の積み重ねと検証、専門家の関与、リスクのレベルによる分類を含めたリスク評価と対応上の優先順位の設定、リスク評価手続への労使の関与、手続の設定や運用全般に関わる労使の合意、職場内の法定議決機関(+公的な審査機関)による審査と議決、アクションプランの作成・周知と実施体制の整備、関係者への教育訓練などが考えられる。
 また、予防効果が科学的に確認できるか否かにかかわらず、基本的人権の保護の観点から、ハラスメント防止や雇用平等の充実化を図る必要が生じる可能性もある。

公開日・更新日

公開日
2012-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201130012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,885,000円
(2)補助金確定額
4,679,000円
差引額 [(1)-(2)]
206,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,087,096円
人件費・謝金 1,125,390円
旅費 969,580円
その他 528,464円
間接経費 969,000円
合計 4,679,530円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-03-23
更新日
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