文献情報
文献番号
                      201115017A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      高齢者のドライマウスの実態調査及び標準的ケア指針の策定に関する研究
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      H22-長寿・一般-005
                  研究年度
                      平成23(2011)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      柿木 保明(公立大学法人九州歯科大学 歯学部・摂食嚥下支援学講座)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 西原 達次(公立大学法人九州歯科大学・健康増進学講座感染分子生物学分野)
 - 角舘 直樹(京都大学大学院医学研究科医療疫学分野)
 - 柏崎 晴彦(北海道大学大学院歯学研究科・口腔健康科学講座・高齢者歯科学講座)
 - 小関 健由(東北大学大学院歯学研究科・口腔保健発育学予防歯科学分野)
 - 佐藤 裕二(昭和大学歯学部・高齢者歯科学講座)
 - 里村 一人(鶴見大学歯学部口腔外科学第二(口腔内科学)講座)
 - 伊藤 加代子(新潟大学医歯学総合病院・加齢歯科学診療室)
 - 小笠原 正(松本歯科大学・障害者歯科学講座)
 - 岸本 悦央(岡山大学大学院・長寿社会医学講座予防歯科学講座)
 - 中村 誠司(九州大学大学院歯学研究院、口腔外科学講座)
 - 内山 公男(国立病院機構栃木病院・歯科口腔外科)
 - 山下 喜久(九州大学大学院歯学研究院、予防歯科学分野)
 - 清原 裕(九州大学大学院医学研究院、環境医学分野)
 - 村松 宰(松本大学大学院、健康科学研究科)
 
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
                  研究開始年度
                      平成22(2010)年度
                  研究終了予定年度
                      平成24(2012)年度
                  研究費
                      18,708,000円
                  研究者交替、所属機関変更
                      -
                  研究報告書(概要版)
研究目的
            高齢者のドライマウスの実態を明らかにし、客観的評価指標案と標準的ケア指針案を策定し、さらに介入研究による検証を通じて、ドライマウスの客観的評価指標と標準的ケア指針を作成することを目的とする。
      研究方法
            研究代表者1名と分担研究者14名の体制で、1)ドライマウスの診断基準の明確化、2)ドライマウスのリスク因子候補項目および標準的ケア指針案の検討、3)明確化した診断基準とリスク因子の妥当性の検証およびドライマウスとの因果関係を明らかにする、4)上記1)?3)の結果を踏まえ、患者ごとに適切な治療(ケア)を提供するためのドライマウスに対する標準的ケア指針の決定、5)ドライマウス患者に対する標準的ケア指針の効果の検証の順とした。
      結果と考察
            本年度は、高齢者のドライマウスにおけるリスクファクターの明確化を中心に共同で調査研究をすすめ、これに各分担研究者が関連する分担研究14課題を実施した。
その結果、とくに、認知症高齢者では、症状があっても口腔乾燥感を自覚しにくいことが認められた。ドライマウスのリスク要因については、低いBMI、移乗が全介助、口呼吸、9時間以上の睡眠、7種類以上の服薬、パーキンソン病がドライマウスと有意に関連していた。各分担研究者の研究結果から、唾液の曳糸性が口臭と関連していること、胃瘻造設の要介護高齢者の口腔細菌叢が専門的口腔ケアにより改善すること等が認められ、今後、ドライマウスと口腔内細菌との関連性についても検討すべきと思われた。また、舌乳頭萎縮がドライマウスと関連することから、舌粘膜スクリーニングも重要な判断材料になると思われた。さらに、胃瘻患者に対する機能的口腔ケアがグレリン分泌と関連することが明らかになったことから、口腔ケアによる全身状態の改善についても考慮する必要があると思われた。
音波ブラシによる1ヶ月の口腔ケア介入研究では、介入終了直後の唾液湿潤度検査値が対照群よりも、また介入群内では介入前と比べて有意に高く(p<0.05)、介入効果が示唆された。
      その結果、とくに、認知症高齢者では、症状があっても口腔乾燥感を自覚しにくいことが認められた。ドライマウスのリスク要因については、低いBMI、移乗が全介助、口呼吸、9時間以上の睡眠、7種類以上の服薬、パーキンソン病がドライマウスと有意に関連していた。各分担研究者の研究結果から、唾液の曳糸性が口臭と関連していること、胃瘻造設の要介護高齢者の口腔細菌叢が専門的口腔ケアにより改善すること等が認められ、今後、ドライマウスと口腔内細菌との関連性についても検討すべきと思われた。また、舌乳頭萎縮がドライマウスと関連することから、舌粘膜スクリーニングも重要な判断材料になると思われた。さらに、胃瘻患者に対する機能的口腔ケアがグレリン分泌と関連することが明らかになったことから、口腔ケアによる全身状態の改善についても考慮する必要があると思われた。
音波ブラシによる1ヶ月の口腔ケア介入研究では、介入終了直後の唾液湿潤度検査値が対照群よりも、また介入群内では介入前と比べて有意に高く(p<0.05)、介入効果が示唆された。
結論
            高齢者のドライマウスのリスク要因および効果的なケア方法が明らかになることで、今後、高齢者のドライマウスの早期発見及び早期ケア提供に関する研究が進み、ドライマウスの重度化予防、低栄養化、咀嚼嚥下障害、誤嚥性肺炎の予防への貢献が期待できる。
      公開日・更新日
公開日
          2012-07-20
        更新日
          -