採血基準の見直しと献血者確保の方策に関する研究

文献情報

文献番号
200940063A
報告書区分
総括
研究課題名
採血基準の見直しと献血者確保の方策に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-017
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 一格(東京都赤十字血液センター)
  • 佐竹 正博(東京都西赤十字血液センター)
  • 豊田 九朗(日本赤十字社 血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
55歳以上の男性の血小板採血の安全性を検証するとともに東京都の献血ルームを訪れた献血者の特性を居住地域、職業、年齢階級などの観点から分析し、献血者確保の方策を検討し、献血者の増加を図ることである。
研究方法
日本赤十字社の採血副作用記録等から45~69歳以下の男性の血小板成分献血と血漿成分献血のデータを得た。45~54歳以下の献血者については血小板成分献血群と血漿成分献血、55~69歳以下の献血者については血漿成分献血群のみのデータを用いて解析した。同じく日本赤十字社の献血者全国統一システムから東京都のいずれかの献血ルームで献血したことがある者を抽出し、その特性を分析した。
結果と考察
45~69歳の献血者全体を見ると、処理血液量が少ないほどVVRの発現が有意に多いという結果が出た。また、循環血液量が少ない献血者に有意にVVRの出現が多かった。45~69歳の献血群は年齢が若いほどVVRの発生が多く身長が低い献血者、体重が少ない献血者、そして循環血液量が少ない献血者にVVRの発生が有意に多かった。VVRの発現の有無と年齢との関係については、45~54歳群と55-69歳群を比べるとオッズ比にして前者は後者の1.4倍となっていた。処理血液量が少ないほどVVRの発現が有意であったが、これは採血の途中でVVRが出現し、以後の採血を中止した事例により影響を受けた結果と考えられる。身長が低い献血者、体重が少ない献血者、そして循環血液量が少ない献血者にVVRの発生が多かったが、これら3つの値は相互に関連していることから有意差が生じたものと考えられる。
東京都23区に位置する献血ルームに来訪する献血者の居住地は鉄道沿線に広がっていた。一方、多摩地区にある吉祥寺、立川、町田の献血ルームの来訪者の居住地は、ルームを中心にして同心円状に広がっていた。23区のルームでは、大都市の特性である鉄道による献血者移動の結果が明らかに認められた。献血ルームから半径500m内にある小売業の売り場面積が影響しているという結果となった。これは店舗の居住空間が広いということは集客力が高く、その一部の者が献血に協力しているとも考えられる。
結論
献血者を確保するには単に採血基準を見直すだけでなく、地理的・交通特性を踏まえた献血者のマーケティングを行い、献血者の絶対数を増やす試みも重要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-06
更新日
-