ナノ微粒子の体内動態可視化法の開発

文献情報

文献番号
200638024A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ微粒子の体内動態可視化法の開発
課題番号
H18-化学-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
亘理 文夫(北海道大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田路 和幸(東北大学大学院環境科学研究科)
  • 戸塚 靖則(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 横山 敦郎(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 北川 善政(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 森田 学(北海道大学大学院歯学研究科)
  • 朝倉 清高(北海道大学触媒化学研究センター)
  • 古月 文志(北海道大学大学院地球環境科学研究院)
  • 大貫 惣明(北海道大学大学院工学研究科)
  • 遠山 晴一(北海道大学病院)
  • 石川 邦夫(九州大学大学院歯学研究院)
  • 岡崎 正之(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 淺岡 憲三(遠島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
35,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ナノパーティクルは人体が生体防御機構の対象として想定してこなかった新たな異物であり、呼吸・消化器系を通して体内に直接侵入し全身に拡散する可能性がある。バイオ応用やナノトキシコロジー予防のために、体内動態可視化方法を開発し、①全身・臓器、②組織、③細胞の各レベルで解析を行った。

研究方法
 ラット強制曝露試験、軟組織内埋入、マウス尾静脈血管内注入を、Ti, Fe, Ni, Pt, TiO2, Fe2O3, TiC, CNT, CNF微粒子などについて行い、(1)全身・臓器レベル分布像には、①X線走査型分析顕微鏡(XSAM)元素マッピングと②レーザー/マス・マッピング法を適用し、(2)組織・(3)細胞レベルには光顕・電顕、細胞内CNT結晶には超高圧電顕高分解能観察を行った。
結果と考察
 XSAMにより30nmTiO2の強制露曝試験では肺胞から血中に移行し全身に拡散することが認められた。
 尾静脈直接投与後の摘出臓器間比較、開腹全身イメージングから、TiO2は投与直後肺に到達し十数時間かけて濃度が減衰するとともに、肝臓へは数時間、脾臓へは数十時間かけ次第に到達した。挙動は材質にも依存し、FeやPtでは脾臓への蓄積が特徴的に観測された。
 構成元素がCからなる糖鎖、蛋白質、純炭素のフラーレン・CNTを生体内で識別像出するために、水溶性フラーレンをマーカーとするレーザーアブレーション/マススペクトルマッピング法を開発し、ラット肝臓からの解離フラーレンイオンの検出と2次元分布像の描出を実現した。
 長期組織埋入後のTi微粒子の凝集化、Ni, Feにおける炎症、壊死、腫瘍形成、CNTの細胞内取込とライソゾーム内分解挙動を明らかにし、単細胞個体(ゾウリムシ)をバイオアッセイ系としCNTと磁性ナノ粒子の細胞内動態・毒性評価を行った。
 典型的な微細粉臨床例である人工関節摩耗粉については、摩耗シミュレーション試験、マクロファージ遊走阻止因子ワクチンによる骨溶解抑制、耐摩耗性インプラント材料の開発を行った。
 CNTとアスベスト他の性状比較・細胞毒性評価、バイオ用ナノ粒子・コンポジットの作製・機能性付与、CNTの揮発性有機化合物の選択吸着による環境浄化、組織再生用スカフォールドへの応用、CNT電界放出型ミニチュアX線源、光電子顕微鏡、生体観察用TEM雰囲気セルの開発を行った。
結論
体内侵入後の各種微粒子の体内動態イメージングを全身レベル、組織・細胞レベルで開発実施し、経時変化、材料依存性の情報取得を可能にした。

公開日・更新日

公開日
2007-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-