若年者等におけるHIV感染症の性感染予防に関する学際的研究

文献情報

文献番号
200629024A
報告書区分
総括
研究課題名
若年者等におけるHIV感染症の性感染予防に関する学際的研究
課題番号
H18-エイズ-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
木原 雅子(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻国際保健学講座社会疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 良次(非営利組織りょうちゃんず)
  • 井上洋士(三重県立看護大学成人看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会疫学的手法に則り、わが国の社会文化背景に適した若者及びHIV感染者のための科学的予防介入モデルの開発・普及を行う。
研究方法
(1)日本人の若者の予防介入研究
社会疫学的に開発された予防モデル(WYSHモデル)の改善、多様化、普及を目的に以下の研究を行った。
1)観察的研究(質問紙調査)
① A県の中学・高校計71校(約2.8万人)を対象に、性行動、性意識、性情報曝露等を調査した。
② 予防教育開発に資する情報収集のために、B県52校の小学生約6千人を対象に性教育への希望等を調査した。
③ A県の小中高の保護者約1万人を対象に性教育への要望、性行動容認度等を調査した。
④ 小中高の養護教諭を対象に生徒の相談内容や相談業務に伴う問題点を調査した(参加約2千校)
2)予防介入研究
22県の中学86校と高校51校(約1.6万人)で、WYSHパッケージ(ビデオ、PPT、パンフ、ポスター)による予防介入を行った。事前調査後、研修を行い、介入の3カ月後、事後調査を行った。今年度は、人間関係の大切さも介入内容とした。実際の介入内容で分類して効果を評価した。
(2)滞日外国人の若者の予防介入研究
ブラジル人学校にて以下の形成調査を実施した。
①10代36名を対象に日常生活や性の問題に関する質的調査を行った。
②25校の生徒約800名に対し知識・意識・行動に関する質問紙調査を行った。 
③現行エイズ教育とその問題点を把握するため、教師の質的調査と学校への郵送調査を行った。
(3)HIV感染者の予防研究
性感染予防支援のための、医療機関内及び医療機関外でのプログラム開発を試みた。
結果と考察
以下の結果が得られた。
①中学女子で性行動、性意識の低年齢化の進行が示唆された。
②小学生には性教育への羞恥感や性教育に起因する様々な誤解が存在していた。
③保護者で、性行動容認率が大きく増加していた。
④中学生ではWYSH実施群で全ての面で顕著に改善したが、高校では性意識・行動は、介入前の性意識レベル、異質プログラムの併用に影響されることが示された。
⑤保健室の極めて多忙な実態や性の相談への対応を巡る様々な困難の実態が判明した。
⑥ブラジル人若者の生活実態、性行動リスクが明らかになった。
結論
WYSHモデルの有効性と修飾因子の把握、性を巡る若者・保護者の変化や保健室の実態の解明、滞日ブラジル人若者の生活・行動実態の解明など重要な成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
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