医療機関がん診療機能の客観的・第三者評価標準システムに関する開発研究

文献情報

文献番号
200622049A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関がん診療機能の客観的・第三者評価標準システムに関する開発研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
坪井 栄孝(財団法人 日本医療機能評価機構)
研究分担者(所属機関)
  • 河北 博文(財団法人 日本医療機能評価機構)
  • 高上 洋一(国立がんセンター 中央病院)
  • 今中 雄一(財団法人 日本医療機能評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん医療機能の均てん化はわが国の大きな課題であり、早急な対応が必要である。均てん化を図るためには、地域や医療施設のがん診療機能を評価する方法論やシステムを確立する必要があるが、現在確立したものはない。従来の医療機能評価システムも活用しより効率的に客観的な評価結果が得られるようになれば、公表や情報開示を通じて医療の質向上に貢献することもできるであろう。
本研究の目的は、客観的にがん診療機能を妥当に評価するシステムを構築することである。本年度は、従来の研究成果をたたき台として、各専門家の意見を基により客観的、実用的で妥当な評価方法案をつくり、実態調査二次解析によりがん診療の現状と問題点を把握する。
研究方法
本年度は、がん診療機能の評価体系の構築のために、先の研究成果を礎にがん診療に特化して重点的に評価する必要がある領域において専門家にヒアリングを実施し、質の高いがん診療提供のための各部門の要件案を策定した。また、平成17年度がん診療機能の実態調査のデータの二次解析を行った。がん診療機能に関わる診療組織・体制、診療プロセス、数量的な実績指標について、都道府県と地域のがん診療連携拠点病院、その他の病院の3群間で比較検討し、地域区分別にも比較した。
結果と考察
ヒアリングおよび文献調査の結果、病理診断、化学療法、放射線治療、緩和ケア、薬剤部の各領域におけるわが国のがん診療に関連した問題点が明らかになり、質担保に求められる専門的能力や人員配置が同定され、より客観的・妥当的な評価項目候補を作成することができた。また、実態調査解析の結果、がん診療連携拠点病院は比較的人員に恵まれているものの、地域のがん診療において中核的な役割を果たすには、さらなる人材の確保を要すると考えられた。実態調査の結果、わが国のがん診療は人材面で大きな課題を抱えていることが示唆された。この問題を解消するために、人材の育成、地域連携や効率的な人員の配置などへの早急な対策が必要と考えられる。
結論
実態調査の解析や専門家ヒアリングによりがん診療の専門的スタッフの絶対数増加や、限られた資源下の病院機能分化・連携などの必要性も示唆された。全国のがん診療機能の状況をふまえ、客観的で妥当な評価とその有意義な公表の実現を目指して、重要な第一段階をクリアできたが、さらに研究開発を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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