文献情報
文献番号
200500521A
報告書区分
総括
研究課題名
上顎・頭蓋底がんの切除と再建手術の標準化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-がん臨床-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
波利井 清紀(杏林大学医学部 形成外科)
研究分担者(所属機関)
- 鎌田 信悦(国際医療福祉大学付属三田病院頭 頸部腫瘍センター)
- 山本 有平(北海道大学大学院医学研究科 形成外科)
- 野﨑 幹弘(東京女子医科大学 形成外科)
- 木股 敬裕(岡山大学大学院医歯薬総合研究科 形成再建外科)
- 光嶋 勲(東京大学医学部 形成外科)
- 丸山 優(東邦大学医学部 形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
上顎・頭蓋底のがん切除後には頭蓋底と鼻・口腔の交通による重篤・致命的な感染を生じる危険性がある。また、顔面中央部(midface)組織の広範囲切除により高度な整容的および機能的障害を起こし、患者の術後QOLの著しい低下につながる。本研究全体では、上顎・頭蓋底再建におけるfree flap手技の標準化を目的として行ってきた。標準的な形成外科・頭頸部外科専門医であればもっとも安全に施行できる標準的再建法を提案する。
研究方法
上顎・頭蓋底がん切除後の欠損を分類することにより、班員各施設において同一の欠損をどのように再建しているかの評価の基準作りを行った。この目的のため、班員および研究協力者の9施設で行われた手術症例333例(1994年?2003年、一次再建:233例、二次再建:100例)を検討した。そして、上顎・頭蓋底がん切除後の欠損を、表在性のType Iから頭蓋底欠損を合併するType VIの6型に分類した。本年度は、この分類に沿って、各施設で行ってきた再建法を検討して、もっとも標準的と思われる再建法を確立する。本研究全体はヘルシンキ宣言に基づいて、患者に不利益が及ばないように配慮してすすめた。
結果と考察
上顎がん切除後の一次再建あるいは二次再建においても、眼球の有無は機能と整容面に大きな影響を与える。さらに、広範囲欠損では、いわゆる顔面の骨性支柱となるbuttressも大きく欠損しており、単なる軟部組織の再建だけでは、充分な整容的改善が得られない。
切除と同時に再建が行われる一次再建では、複雑なbuttressまでを再建する必要はなく、術式の信頼性と簡便性から遊離腹直筋皮弁を標準術式とした。なお、眼球が温存されている症例では、これに加えてチタンメッシュあるいは遊離肋骨移植などで眼窩床の再建のみ行う。二次再建例では多くの場合、頬部の整容と眼球の位置の改善、義歯装着のための歯槽部再建などが求められるため、多少、術式が複雑になっても、より繊細な再建法が必要である。しかし、要求される再建の難易度が高く標準化された再建法の提示は困難であった。
切除と同時に再建が行われる一次再建では、複雑なbuttressまでを再建する必要はなく、術式の信頼性と簡便性から遊離腹直筋皮弁を標準術式とした。なお、眼球が温存されている症例では、これに加えてチタンメッシュあるいは遊離肋骨移植などで眼窩床の再建のみ行う。二次再建例では多くの場合、頬部の整容と眼球の位置の改善、義歯装着のための歯槽部再建などが求められるため、多少、術式が複雑になっても、より繊細な再建法が必要である。しかし、要求される再建の難易度が高く標準化された再建法の提示は困難であった。
結論
上顎・頭蓋底がん切除後の再建は、切除と同時に行われる一次再建においてのみ、標準化が可能であると考えた。標準的術式は遊離腹直筋皮弁を利用し、眼窩床の再建が必要な場合にはチタンメッシュなどで行う。しかし、二次再建は欠損の状態、血管の状態などが症例ごとに異なるため、標準化は困難と考えた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
-