文献情報
文献番号
200400634A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザ予防接種のEBMに基づく政策評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
廣田 良夫(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
- 田中 恵太郎(佐賀大学医学部社会医学講座)
- 山口 直人(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第2講座)
- 清水 弘之(岐阜大学大学院医学研究科腫瘍制御学講座疫学・予防医学分野)
- 渡邊 能行(京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学)
- 森 満(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)
- 鈴木 幹三(名古屋市港保健所)
- 大久保 一郎(筑波大学社会医学系医療社会学)
- 秦 靖枝(牛久市民福祉の会、茨城県立医療大学)
- 井手 三郎(聖マリア学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
29,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
インフルエンザワクチンの有効性、社会認容性などを調査研究し、EBMに基づいた総合評価を行う。
研究方法
以下の班構成のもとに研究を進めた。①有効性評価分科会:疫学者で構成。ワクチンの発病防止効果、医療費低減効果などを検討した。②情報調査評価分科会:若手の疫学者で構成。一定の質を満たす文献を抄訳した。③適応評価分科会:老人医療専門医、医療経済学者、市民団体代表などで構成。制度の適確性、社会認容性、マクロ経済の視点からの費用対効果、などを検討した。
結果と考察
①前向きコホート研究デザインによる地域調査では:ワクチン接種の相対危険は「38.5℃以上の発熱」に対して0.39(95%CI:0.21-0.73)(佐賀);「インフルエンザ様疾患(ILI)」に対して0.78(0.45-1.33)、「流行ピークのILI」に対して0.74(0.38-1.46)(東京)、であった。施設調査では、「ILI」に対して0.34(0.12-0.96)(大阪)、であった。
②後向きコホート研究デザインによる地域調査では:相対危険は「流行ピ-ク期間に38℃以上の発熱」に対して0.73(0.42-1.27)(岐阜);同0.86(0.54-1.37)(4町村)であった。施設調査では、「臨床診断インフルエンザ」に対して0.54(0.06-4.83)、要した医療費は平均して、接種者1人当たり936円、非接種者1人当たり1,372円であった。
③インフルエンザワクチン有効性に関する論文を中心に、計59編を評価し、抄訳集としてまとめた。
④「公費補助率」及び「oseltamivirの効果」を考慮すると、2003/04シーズンのインフルエンザ予防接種の費用効果比は、1QALY(quality-adjusted-life-years)当たり157.6万円(感染率5%)或いは100.9万円(感染率10%)であり、医療サービスの効率性評価の基準(3~5万ドル)を下回っている。
②後向きコホート研究デザインによる地域調査では:相対危険は「流行ピ-ク期間に38℃以上の発熱」に対して0.73(0.42-1.27)(岐阜);同0.86(0.54-1.37)(4町村)であった。施設調査では、「臨床診断インフルエンザ」に対して0.54(0.06-4.83)、要した医療費は平均して、接種者1人当たり936円、非接種者1人当たり1,372円であった。
③インフルエンザワクチン有効性に関する論文を中心に、計59編を評価し、抄訳集としてまとめた。
④「公費補助率」及び「oseltamivirの効果」を考慮すると、2003/04シーズンのインフルエンザ予防接種の費用効果比は、1QALY(quality-adjusted-life-years)当たり157.6万円(感染率5%)或いは100.9万円(感染率10%)であり、医療サービスの効率性評価の基準(3~5万ドル)を下回っている。
結論
高齢者におけるインフルエンザワクチン接種に関し、60~70%程度の有意な発病防止効果を認めた。有効性の検出度合いは、流行規模、観察方法、ILIの定義、対象者数、対象者のリスク状態などに影響される。また、「全身状態の悪い者が非接種群に入る」ため、selection biasにより見かけ上の有効性を検出することがある。
公開日・更新日
公開日
2005-06-27
更新日
-