小児のけいれん重積に対する薬物療法のエビデンスに関する臨床研究

文献情報

文献番号
200400429A
報告書区分
総括
研究課題名
小児のけいれん重積に対する薬物療法のエビデンスに関する臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大澤 真木子(東京女子医科大学 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 相原正男(山梨大学医学部 小児科)
  • 泉 達郎(大分医科大学医学部脳神経機能統御講座 小児科)
  • 大塚頌子(岡山大学大学院医歯学総合研究科発達神経病態学 小児神経科)
  • 加藤郁子(東京女子医科大学 衛生学公衆衛生学第二講座)
  • 金子堅一郎(順天堂大学医学部付属順天堂浦安病院 小児科)
  • 須貝研司(国立精神・神経センター武蔵病院 小児神経科)
  • 高橋孝雄(慶応義塾大学医学部 小児科)
  • 萩野谷和裕(東北大学大学院医学系研究科 小児病態学分野)
  • 浜野晋一郎(埼玉県立小児医療センター神経科)
  • 松倉 誠(熊本大学医学部 小児発達学)
  • 三浦寿男(社会福祉法人慈恵療育会相模原療育園)
  • 皆川公夫(北海道立小児総合保健センター 内科)
  • 山野恒一(大阪市立大学大学院医学研究科発達 小児医学)
  • 山内秀雄(獨協医科大学 小児科)
  • 山本 仁(聖マリアンナ医科大学 小児科)
  • 吉川秀人(宮城県立こども病院 神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
21,120,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
てんかん重積症(SE)と群発状態は乳幼児に多い救急状態である。欧米の第1選択薬ロラゼパムは本邦になく、ジアゼパム(Dz)静注が第1選択で、抵抗例にはフェニトイン、フェノバルビタール、ペントバルビタールなどが適応承認薬である。塩酸リドカイン(Lid)、ミダゾラム(MDL)は安全に使い易いが、痙攣発作に対する適応承認はない。昨年度まで、SEの実態、世界の治療指針、薬理学的特性などの文献展望、多施設共同後方視的研究、新生児のSE病態の基礎的臨床的検討、前方視的研究のプロトコル案、SE治療指針案を作成した。本年度はその集大成を図った。
研究方法
班員会議を3回、グループ会議、mail会議を適宜開催した。班員に、SEの疫学、原因、病態、治療薬の文献展望、MDLの薬理学的検討、原因別治療効果の検討、新生児のSE病態の基礎的検討、同治療の実態調査等を依頼した。また前方視的研究計画申請書案、プロトコル案とSE治療指針(案) の作成と完成のため討論した。
結果と考察
岡山市の初発SE例では、年齢別年間発生率は1歳未満が最も高く、急性痙攣がてんかんより多く、痙攣性、焦点徴候を示す例が多かった。第1選択薬として、MDL療法がDZ療法よりも効果的、安全であるという結果も得られた。MDLを第一選択としても良い証拠になる。また後方視的研究の再分析では、SE開始からMDL静注開始までは早いほうが効果的であった。SEの時間経過に伴い脳内の受容体が変化することからも裏付けられる。2週間以上持続点滴静注例で臨床症状と血液検査による調査では、副作用はなく、本剤の長期間使用による安全性を確認した。有効血中濃度は幅広いと推測された。新生児のSEの治療実態調査からはLid, MDLが全国的に多く使用され、有用性も高いことが判明した。有害事象は中止後改善していた。前方視的研究の試験計画書、説明、同意書 を作成した。治療指針には日本てんかん学会・日本小児神経学会評議員の意見も反映した
結論
SEは、適応承認薬剤のみの治療では不十分な救急状態である。MDLは、全年齢に有用と期待できる。薬物動態はさらに検討を要するが、DZよりMDLが有効というデーターを得ることができたので、前方視的研究の準備状態がほぼ整った。Lidは新生児での使用経験を更に検討する価値がある。学会員とも協議し小児用治療指針(案)を作成した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200400429B
報告書区分
総合
研究課題名
小児のけいれん重積に対する薬物療法のエビデンスに関する臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大澤 真木子(東京女子医科大学 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 相原正男(山梨大学医学部小児科)
  • 泉 達郎(大分医科大学医学部脳神経機能統御講座小児科)
  • 大塚頌子(岡山大学大学院医歯学総合研究科発達神経病態学小児神経科)
  • 加藤郁子(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第二講座)
  • 金子堅一郎(順天堂大学医学部付属順天堂浦安病院小児科)
  • 須貝研司(国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科)
  • 高橋孝雄(慶応義塾大学医学部小児科)
  • 萩野谷和裕(東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 浜野晋一郎(埼玉県立小児医療センター神経科)
  • 松倉 誠(熊本大学医学部小児発達学)
  • 三浦寿男(社会福祉法人慈恵療育会相模原療育園施設)
  • 皆川公夫(北海道立小児総合保健センター内科)
  • 山野恒一(大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学)
  • 山内秀雄(協医科大学小児科)
  • 山本 仁(聖マリアンナ医科大学小児科)
  • 吉川秀人(宮城県立こども病院神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児の痙攣重積(SE)に、より有効な薬剤が求められる。ミダゾラム(MDL)、 塩酸リドカイン(Lid)は同要求に応える薬剤として期待されるが、現在痙攣発作の適応承認がなく、手探りで使用されている。その実態を調査し、小児に対する標準的使用法、管理法、安全性を検討し、SEのよりよい治療を確立する。
研究方法
会議を適宜開催した。SEの疫学、原因、病態、治療、薬理学的検討、原因別治療効果の検討、新生児のSEの実態調査等課題を分担研究した。ジアゼパムとMDLの有効性を後方視的に比較検討した。また前方視的研究計画申請書案、プロトコル案とSE治療指針(案) の作成に尽力した。治療指針は、日本小児神経学会、日本てんかん学会評議員から意見を得た。後方視的研究は、連結可能匿名化で、個人情報を守秘した。前方視的研究は所属施設の倫理委員会で承認を得た。
結果と考察
1) SEの実態を探り、本邦の治療の問題点、各薬剤の有用性、選択基準等を評価した。MDLとLidの有効性、安全性を文献展望した。2) 新生児のSEの基礎と治療実態を検討し、さらに検討を要すが、MDLとLidが有用という結果を得た。3) 研究案を作成したが、SE自体で生命の危険や神経学的後遺症を呈しうるが、保険会社の協力が得られず、前方視的治験を実施し得なかった。文献展望でも、二重盲検の検討はなく、同病態での前方視的研究の困難さが伺えた。今後更に治験プロトコルを詰め、医師主導治験のような形で進める必要がある。4) 後方視的共同研究により、多数例の資料を分析し、MDL、Lidの有用性安全性を示した。後方視的個別研究では、MDL静注療法とジアゼパム静注療法を比較して、前者は後者より安全かつ有効であると結論した。その知見を踏まえ、学会の意見も得て、文献情報を織り込んだ日常診療に役立つ指針(案)を作成した。
結論
SEは、乳幼児を突然襲う病態で治療法確立は急務である。MDLとLidの後方視的共同研究では、多数例の資料を得た。全年齢に有用な薬剤と期待できる(投稿中)。国民のSE治療のレベルを上げるため、関連学会と連絡しSE治療指針を作成した。前方視的研究を期間中には実施し得なかったが、そのプロトコル(案)を作成し、また後方視的研究で、MDLはジアゼパムより有効、安全という知見を得たので準備が整った。前方視的研究を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-