文献情報
文献番号
200400226A
報告書区分
総括
研究課題名
植込み型突然死防止装置の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉町 勝(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
研究分担者(所属機関)
- 稲垣 正司(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
- 川田 徹(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
- 宍戸 稔聡(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
- 上村 和紀(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)
- 鎌倉 史郎(国立循環器病センター内科心臓部門)
- 佐藤 隆幸(高知大学 医学部)
- 砂川 賢二(九州大学大学院 医学研究院)
- 久田 俊明(東京大学 新領域創成科学研究科)
- 児玉 逸雄(名古屋大学 環境医学研究所)
- 吉澤 誠(東北大学 情報シナジーセンター)
- 麻野井 英次(富山医科薬科大学 医学部)
- 片山 國正(テルモ株式会社 研究開発センター)
- 高山 修一(オリンパス株式会社 研究開発センター)
- 吉住 修三(松下電器産業株式会社ヘルスケア社バイオメディカル開発センター)
- 小川 真(株式会社日立超LSIシステムズ システムソリューション本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 身体機能解析・補助・代替機器開発研究【医】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
185,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
心臓突然死を防止する新しい植込み型治療機器を国内で開発、製品化することを目的として、以下の目標を達成する。
Ⅰ.ICD製造に関連した既存技術に関して先行する欧米企業に追いつき、国内で植込み型治療機器を開発、製品化できる開発基盤を整える。
Ⅱ.外国企業が席巻している治療機器分野に参入するために、既存のICDにない新しい機能を開発する。
Ⅰ.ICD製造に関連した既存技術に関して先行する欧米企業に追いつき、国内で植込み型治療機器を開発、製品化できる開発基盤を整える。
Ⅱ.外国企業が席巻している治療機器分野に参入するために、既存のICDにない新しい機能を開発する。
研究方法
Ⅰ.既存ICDの仕様・機能・性能の調査に基づいて、一次試作機を作成し、機能評価を行った。
Ⅱ.1)除細動機能の高性能化のため、①不整脈の高速検出法、②電極や通電法の設計が可能な心臓除細動シミュレータ、③スパイラル・リエントリを制御する方法の開発を行った。2)病態モニタ機能の開発のため、①経皮通信用アンテナの試作と評価、②コンダクタンス法による心不全重症度の推定方法の検討を行った。3)致死性不整脈の予防的治療法の開発のため、①心筋梗塞慢性期の不整脈に対する迷走神経刺激(VS)の効果、②アセチルコリン(ACh)が虚血時の心筋細胞におよぼす作用、③VSの抗炎症作用が血行動態におよぼす影響、④呼吸制御と呼吸に連携した自律神経制御による心不全治療法について検討した。
Ⅱ.1)除細動機能の高性能化のため、①不整脈の高速検出法、②電極や通電法の設計が可能な心臓除細動シミュレータ、③スパイラル・リエントリを制御する方法の開発を行った。2)病態モニタ機能の開発のため、①経皮通信用アンテナの試作と評価、②コンダクタンス法による心不全重症度の推定方法の検討を行った。3)致死性不整脈の予防的治療法の開発のため、①心筋梗塞慢性期の不整脈に対する迷走神経刺激(VS)の効果、②アセチルコリン(ACh)が虚血時の心筋細胞におよぼす作用、③VSの抗炎症作用が血行動態におよぼす影響、④呼吸制御と呼吸に連携した自律神経制御による心不全治療法について検討した。
結果と考察
Ⅰ.FPGA内臓のCPUを用いたブレッドボードとしてICDを作成し、人体ファントムを用いた評価後、動物で徐脈・頻拍・細動の診断及び治療機能を確認した。
Ⅱ.1)①自己組織化マップによって不整脈の高速自動診断が可能となった。②1心周期を約40分で計算する除細動シミュレータを開発した。③心筋局所冷却によってスパイラル・リエントリを定在化させ除細動閾値を低下することができた。2)①経皮通信には磁界型アンテナの特性が優れていた。②電極リードと本体を用いて心拍出量の相対的変化のモニタや胸郭内水分量が推定可能となった。3)①VSによって心室性・上室性期外収縮が抑制された。②AChはギャップ結合の機能を維持し、伝導遅延を縮小してVT/VF誘発率を低下させた。③VSは肝臓での炎症性サイトカイン産生を抑制して心筋梗塞急性期の血行動態を改善した。④心不全患者において呼吸制御は交感神経活動を抑え、心臓の減負荷をもたらした。
Ⅱ.1)①自己組織化マップによって不整脈の高速自動診断が可能となった。②1心周期を約40分で計算する除細動シミュレータを開発した。③心筋局所冷却によってスパイラル・リエントリを定在化させ除細動閾値を低下することができた。2)①経皮通信には磁界型アンテナの特性が優れていた。②電極リードと本体を用いて心拍出量の相対的変化のモニタや胸郭内水分量が推定可能となった。3)①VSによって心室性・上室性期外収縮が抑制された。②AChはギャップ結合の機能を維持し、伝導遅延を縮小してVT/VF誘発率を低下させた。③VSは肝臓での炎症性サイトカイン産生を抑制して心筋梗塞急性期の血行動態を改善した。④心不全患者において呼吸制御は交感神経活動を抑え、心臓の減負荷をもたらした。
結論
Ⅰ.ICDの基本機能に関して基盤技術が確立された。
Ⅱ.1)不整脈判別アルゴリズムや除細動シミュレータを完成させ、有望な超低エネルギー除細動法を発見した。2)ICDとの経皮通信に必要な基盤が整い、心機能モニタの技術がほぼ確立した。3)心筋梗塞慢性期におけるVSの効果を確認し、抗不整脈作用・細胞保護作用の機序を明らかにした。呼吸パターンを利用した心不全治療の可能性を示した。
Ⅱ.1)不整脈判別アルゴリズムや除細動シミュレータを完成させ、有望な超低エネルギー除細動法を発見した。2)ICDとの経皮通信に必要な基盤が整い、心機能モニタの技術がほぼ確立した。3)心筋梗塞慢性期におけるVSの効果を確認し、抗不整脈作用・細胞保護作用の機序を明らかにした。呼吸パターンを利用した心不全治療の可能性を示した。
公開日・更新日
公開日
2005-05-10
更新日
-