職域等も含めた肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者の効率的なフォローアップシステムの開発・実用化に向けた研究

文献情報

文献番号
201921001A
報告書区分
総括
研究課題名
職域等も含めた肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者の効率的なフォローアップシステムの開発・実用化に向けた研究
課題番号
H29-肝政-一般-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
是永 匡紹(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 考藤 達哉(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター )
  • 江口 有一郎  (佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター )
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 榎本 大(大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
  • 立道 昌幸(東海大学 医学部 基盤診療学系)
  • 柳澤 裕之(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
  • 持田 智(埼玉医科大学 消化器内科、 肝臓内科)
  • 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学)
  • 池田 房雄(岡山大学 医学部・消化器肝臓内科学)
  • 酒井 明人(富山県立中央病院 内科)
  • 的野 智光(鳥取大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 日高 勲(山口大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 井上 淳(東北大学病院 消化器内科)
  • 末次 淳(岐阜大学医学部附属病院 第一内科)
  • 山下 智省(地域医療機能推進機構 下関医療センター 消化器内科)
  • 横須賀 收(地域医療機能推進機構 船橋中央病院 内科)
  • 板倉 潤(武蔵野赤十字病院 消化器科)
  • 羽入 直方(公益財団法人  結核予防会)
  • 井出 達也(久留米大学 医学部内科学講座・消化器内科部門)
  • 吉岡 健太郎(藤田医科大学 肝胆膵内科)
  • 石上 雅敏(名古屋大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 井上 貴子(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
  • 永田 賢治(宮崎大学医学部附属病院 肝疾患センタ-)
  • 小川 浩司(北海道大学病院 消化器内科)
  • 島上 哲朗(金沢大学附属病院 地域医療教育センター)
  • 井上 泰輔(山梨大学大学院総合研究部 肝疾患センター)
  • 米田 政志(愛知医科大学 医学部内科学講座)
  • 上野 義之(山形大学 医学部内科学第二講座)
  • 松本 晶博(信州大学医学部附属病院 肝疾患診療相談センター)
  • 斉藤 聡(横浜市立大学附属病院 国際臨床肝疾患センター)
  • 近藤 泰輝(仙台厚生病院 消化器センター肝臓内科)
  • 本田 浩一(大分大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
  • 小林 良正(浜松医科大学医学部附属病院 肝臓内科)
  • 寺井 崇二(新潟大学院医歯学総合研究科 消化器内科分野)
  • 柿崎 暁(群馬大学大学院 医学研究科 消化器内科)
  • 廣田 健一(札幌医科大学 医療情報企画室)
  • 長沖 祐子(マツダ病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎ウイルスはわが国の国民病と位置づけされながら、半数は肝炎検査を未受検のために自身が感染していることを知らず,また陽性と診断されながら継続受診をしない患者も多く存在する。ウイルス治療が経口剤で可能になった今、受検・受診・受療/継続受診(=フォローアップ)より推進していく必要があり、簡便でかつ検査医療機関、自治体、保険者の状況にあわせたフォローアップシステム(Fs)の確立が必要である。平成26年度から3年間「効率的な肝炎ウイルス検査陽性者Fsの構築のための研究」班で様々な取り組みを行い、受検・受診率は上昇することが明らかになった一方で、 Fsに同意しながらも調査に回答しない陽性者が50%以上存在する、効果的なリーフレットでも受療率上昇は10~15%程度、電子カルテアラート受検勧奨に反応しない医師が20~40%存在する、健診機関のfollow upでは不十分等が問題点として抽出され、その対策を立案し介入し、効果検証をすることを目的とする。
研究方法
(1) 職域肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者Fsの開発
(2) 院内非専門医からの陽性者Fsの拡充や問題点の解決
(3) 院外非専門医から陽性者紹介に関わる問題点の抽出とFsの開発
(4) 自治体が行う肝炎ウイルス検診・検査陽性者Fsの実態と問題点の抽出・改善
(5) 肝疾患連携拠点病院における仕事と治療の両立支援モデルの確立
→上記5つの課題に対して問題点の抽出から介入案を立案し社会実証による成功事例を、肝炎情報センターが有する肝疾患連携拠点病院ネットワークを利用することで、自治体・病院・健診機関・保険者に対してマニュアル等を作成し、それぞれの事情に対応した汎用性の高いFsの実用化を目指す。
結果と考察
(1) 協会けんぽF支部で612円の自己負担で肝炎ウイルス検査可能なことを一目でわかる受検勧奨票を健診受検者に配布するだけで、10倍に受検数が増加、他10支部で同様な取り組み行い2~10倍受検率が向上した。また保険者の保健師がレセプトで受診確認を行い、非受診者に受診勧奨を行うことこでB型肝炎で50%、C型肝炎で67%が受診確認が可能となっただけでなく、肝がん症例も存在した。これらの結果により協会けんぽ本部が研究班作成の受検票を参考に作成、来年度から全国展開となった。
(2) 拠点病院においても非専門医、特に内科以外における肝炎最新知識の認知度が低いことが判明した。院内医療安全講習会で肝炎ウイルスに対する説明を実施し紹介数が増加した。その一方でHCV抗体陽性者のウイルス陰性率の上昇、高齢化に伴う他疾患の合併により必ずしても受療率は低いことも明らかになった。
(3) 院外非専門医が紹介を躊躇する理由として、非専門医情報不足、簡便な紹介状が抽出され、簡便ば紹介状を用いることで紹介数が1.6倍と上昇し各施設で利用された。
(4) 多くの地域で陽性者フォローアップ事業を開始しているが、その同意の取得時期・方法が自治体によって異なり同意率に著しく差を認めた。事業方法の均てん化が必要である一方で、堺市、大阪府といった人口・陽性者の多い政令市でも、研究班のFsを取り入れ成功している地域も明らかになり、その内容を、肝炎対策部署訪問によって共有した。。
(5) 愛媛大学をモデル病院として両立支援を展開し、分担員で共有するとともに、日本産業衛生学会と日本医師会連合連携フォーラムを開催し、両立支援と職域肝炎ウイルス検査の重要性を共有した。
結論
1) 来年度は研究班が作成した受検票が協会けんぽで全国展開される。レセプトから専門医受検確認を行い、再勧奨を行うことで陽性者の50%以上が受診することが明らかになった。
(2)(3)治療の進歩により、肝炎ウイルス治療は入院で行われず、最新知識が欠如している可能性もあり、医療安全研修会等で周知徹底、更なる専門医情報・結果説明を喚起するリーフレット作成し、その受診率向上を認めるも、非専門医との連携も必要である。
(4) 同意書、結果説明、紹介先が同時に記入可能な問診票を作成することで同意数を増加させ、follow up数を増加させること重要である。同意者数増加に対するシステム開発を行う必要がある。
(5) 両立支援が可能な相談支援体制の充実化を行い、誰もが仕事に対する相談出来る体制の構築を開始した。

公開日・更新日

公開日
2021-02-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-02-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201921001B
報告書区分
総合
研究課題名
職域等も含めた肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者の効率的なフォローアップシステムの開発・実用化に向けた研究
課題番号
H29-肝政-一般-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
是永 匡紹(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 考藤 達哉(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター )
  • 江口 有一郎(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 榎本 大(大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
  • 立道 昌幸(東海大学 医学部 基盤診療学系)
  • 柳澤 裕之(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
  • 持田 智(埼玉医科大学 消化器内科、 肝臓内科)
  • 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学)
  • 池田 房雄(岡山大学 医学部・消化器肝臓内科学)
  • 酒井 明人(富山県立中央病院 内科)
  • 的野 智光 (鳥取大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 日高 勲(山口大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 井上 淳(東北大学病院 消化器内科)
  • 末次 淳(岐阜大学医学部附属病院 第一内科)
  • 山下 智省(地域医療機能推進機構 下関医療センター 消化器内科)
  • 横須賀 收(地域医療機能推進機構 船橋中央病院 内科)
  • 板倉 潤(武蔵野赤十字病院 消化器科)
  • 羽入 直方(公益財団法人  結核予防会)
  • 井出 達也(久留米大学 医学部内科学講座・消化器内科部門)
  • 吉岡 健太郎(藤田医科大学 肝胆膵内科)
  • 石上 雅敏(名古屋大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 井上 貴子(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
  • 永田 賢治(宮崎大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 小川 浩司(北海道大学病院 消化器内科)
  • 島上 哲朗(金沢大学附属病院 地域医療教育センター)
  • 井上 泰輔(山梨大学大学院総合研究部 肝疾患センター)
  • 米田 政志(愛知医科大学 医学部内科学講座)
  • 上野 義之(山形大学 医学部内科学第二講座)
  • 松本 晶博(信州大学医学部附属病院 肝疾患診療相談センター)
  • 斉藤 聡(横浜市立大学附属病院 国際臨床肝疾患センター)
  • 近藤 泰輝(仙台厚生病院 消化器センター肝臓内科)
  • 本田 浩一(大分大学医学部附属病院 消化器内科)
  • 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
  • 小林 良正(浜松医科大学医学部附属病院 肝臓内科)
  • 寺井 崇二(新潟大学院医歯学総合研究科 消化器内科分野)
  • 柿崎 暁(群馬大学大学院 医学研究科 消化器内科)
  • 廣田 健一(札幌医科大学 医療情報企画室)
  • 長沖 祐子(マツダ病院 消化器内科)
  • 竹下 隆夫(公益財団法人  結核予防会)
  • 坂本 穣(山梨大学大学院総合研究部 肝疾患センター)
  • 高口 浩一(香川県立中央病 肝臓内科)
  • 坂口 孝作(福山市民病院)
  • 島井 健一郎(千葉大学医学部附属病院 企画情報部)
  • 佐藤 秀一(島根大学医学部附属病院 光学医療診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎ウイルスはわが国の国民病と位置づけされながら、半数は肝炎検査を未受検のため感染していることを知らない,または陽性と診断されながら継続受診をしない患者も多く存在する。ウイルス治療が経口剤で可能になった今、受検・受診・受療/継続受診(=フォローアップ)をより推進していく必要があり、簡便でかつ検査医療機関、自治体、保険者の状況にあわせたフォローアップシステム(Fs)の確立が必要である。平成26年度から3年間「効率的な肝炎ウイルス検査陽性者Fsの構築のための研究」班で様々な取り組みを行い、受検・受診率は上昇することが明らかになった一方で、 Fsに同意しながらも調査に回答しない陽性者が50%以上存在する、効果的なリーフレットでも受療率上昇は10~15%程度、電子カルテアラート受検勧奨に反応しない医師が20~40%存在する、健診機関のfollow upでは不十分等が問題点として抽出され、その対策を立案し介入し、効果検証をすることを目的とする。
研究方法
(1) 職域肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者Fsの開発
(2) 院内非専門医からの陽性者Fsの拡充や問題点の解決
(3) 院外非専門医から陽性者紹介に関わる問題点の抽出とFsの開発
(4) 自治体が行う肝炎ウイルス検診・検査陽性者Fsの実態と問題点の抽出・改善
(5) 肝疾患連携拠点病院における仕事と治療の両立支援モデルの確立
→上記5つの課題に対して問題点の抽出から介入案を立案し社会実証による成功事例を、肝炎情報センターが有する肝疾患連携拠点病院ネットワークを利用することで、自治体・病院・健診機関・保険者に対してマニュアル等を作成し、それぞれの事情に対応した汎用性の高いFsの実用化を目指す。
結果と考察
(1) 協会けんぽF支部で612円の自己負担で肝炎ウイルス検査可能なことを一目でわかるNudgeを応用し作成した受検票を健診者に配布するだけで、10倍に受検数が増加、他10支部で同様な取り組み行い2~10倍受検率が向上した。また保険者の保健師がレセプトで受診確認を行い、非受診者に受診勧奨を行うことこでHBVで50%、HCVで67%が受診確認が可能となっただけでなく、肝がん症例も存在した。この結果により協会けんぽ本部が研究班作成受検票を参考に新規受検票を作成、来年度から全国展開され、今後も受検者が増加する。職域の受検率が低いことを纏め、論文投稿中である
(2) 拠点病院においても非専門医、特に内科以外における肝炎最新知識の認知度が低いことが判明し論文化した。院内医療安全講習会で肝炎ウイルスに対する説明を実施し紹介数が増加した。その一方でHCV抗体陽性者のウイルス陰性率の上昇、高齢化に伴う他疾患合併により必ずしても受診・受療対象者は拠点病院は減少し、今後は専門医療機関、かかりつけ医の対策が必要であった。
(3) 院外非専門医がに対して簡便な診療情報提供書を用いることで紹介数が1.6倍と上昇し各施設で利用されるも、雛形を使用しないで紹介しない医師も多く、非専門医に対する個別な対策が必要でった。
(4) 多くの地域がフォローアップ事業を開始しているが、その同意の取得時期・方法が自治体によって異なり同意率に著しく差を認めた。事業方法の均てん化が必要である一方で、堺市、大阪府といった人口・陽性者の多い政令市でも、研究班のFsを取り入れ成功している地域も明らかになり、その情報が自治体に共有すうことが課題である。
(5) 愛媛大学をモデル病院として両立支援を展開し、分担員で共有するとともに、日本産業衛生学会と日本医師会連合連携フォーラムを開催し、両立支援と職域肝炎ウイルス検査の重要性を共有した。
結論
(1) 研究班作成の受検票が検査促進に有用であることが明らかになり、全国で使用可能となった。今後はレセプトに受診確認、非受診者への再勧奨を展開することが重要である。
(2)(3)治療の進歩により、肝炎ウイルス治療は入院で行われず、最新知識が欠如している可能性もあり、医療安全研修会等で周知徹底、更なる専門医情報・結果説明を喚起するリーフレット作成の啓発が必要も、今後は非専門医個別に対応する必要があることが明らかになった。
(4) 同意書、結果説明、紹介先が同時に記入可能な問診票を作成することでフォローアップ事業を簡便化し、受診確認数を増加させること重要である。
(5) 両立支援が、初診から可能な相談支援体制の充実化を行うと同時に、日本産業衛生学会と連携し、産業医と連携することが、更に必要あると考えられた

公開日・更新日

公開日
2021-02-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-02-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201921001C

収支報告書

文献番号
201921001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
43,660,000円
(2)補助金確定額
43,660,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,143,457円
人件費・謝金 6,803,786円
旅費 10,360,975円
その他 11,691,782円
間接経費 3,660,000円
合計 43,660,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-05-02
更新日
-