看護実践能力の向上に寄与する看護教員・実習指導者の養成と継続教育に関する研究

文献情報

文献番号
201821009A
報告書区分
総括
研究課題名
看護実践能力の向上に寄与する看護教員・実習指導者の養成と継続教育に関する研究
課題番号
H29-医療-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
奥 裕美(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 洋子(高知県立大学大学院 看護学研究科)
  • 松田 安弘(群馬県立県民健康科学大学大学院 看護学研究科看護学専攻 看護学部看護学科)
  • 三浦 友理子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科 )
  • 川上 千春(聖路加国際大学大学院 看護学研究科 )
  • 中村 綾子(岡 綾子)(昭和大学江東豊洲病院 看護部)
  • 佐々木 菜名代(川崎市立多摩病院 医療安全管理室/聖マリアンナ医科大学 医学部(感染症学))
  • 小山田 恭子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
6,779,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1)看護師等養成所の看護教員、実習施設の実習指導者が認識する、看護教育者の養成と継続的な教育実践力の向上のために必要な、段階的で活用可能な継続体制のモデルを構築すること、2)実習施設が認識する看護実習の実態や、課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
昨年度実施した文献検討およびインタビュー調査の結果を踏まえ本年度は、1)全国の看護師養成所に所属する看護教員への質問紙調査(教員調査)、2)看護実習を受け入れる実習施設に対する質問紙調査、および実習指導のベストプラクティスに関するインタビュー調査を実施した(実習施設調査)。
結果と考察
1)教員調査:875校に所属する看護教員(専任教員)に4375通の調査票を送付し、1599通を回収した(回収率27.4%)
2)実習施設調査:①質問紙調査:看護師養成所の実習施設2970施設に配布し、379施設より回答があった(回収率12.8%)、②インタビュー調査:保健所、訪問看護ステーション等6施設の実習指導責任者に対して、インタビューを実施した。
その結果、看護教員・実習指導者には継続学習体制構築へのニーズはあるが、学内での継続教育体制に乏しく、特に看護教員は自己研鑽のための時間が確保できないという課題を抱えていた。実習施設では、特に小規模施設において、実習受け入れに際して物理的、人的環境の整備の必要性が語られた。
結論
看護教員・実習指導者の自己研鑽のための学習体制、時間の不足、そして、小規模施設での実習受け入れ体制の整備の必要性への対応が必要である。対策の一つとして、看護教育機関、病院等、関連施設を含む看護教育関係機関共同組織(コンソーシアム)を創設し、人的・物理的資源や、学習の機会の共有を実現する必要がある。また、看護教員・実習指導者双方が自ら教育実践のための能力を獲得することを支援する「看護教育者のコンピテンシーマップ」、自己研鑽への動機づけを高める認証制度の設立も合わせて検討する必要がある。
これらについて、2018年4月から行われている、「看護基礎教育検討会」で検討されている、教育体制・教育環境に関連して、結果が活用可能である。具体的には看護教員の養成および、実習施設における指導体制について、看護教育者のコンピテンシーの開発を目指すこと、認証制度を検討すること、そして、養成所の施設設備の要件等に関して、コンソーシアムを設立し、施設設備の共同利用を認めることである。また、コンソーシアムを通して地域に看護教育に理解のあるネットワークを作ることにより、これまで臨地実習の実施が認められていなかったような施設を含む、多様な場での実習を可能にすることにもつながる。

公開日・更新日

公開日
2020-01-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201821009B
報告書区分
総合
研究課題名
看護実践能力の向上に寄与する看護教員・実習指導者の養成と継続教育に関する研究
課題番号
H29-医療-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
奥 裕美(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 洋子(高知県立大学 大学院看護学研究科)
  • 松田 安弘(群馬県立県民健康科学大学 大学院看護学研究科看護学専攻 看護学部 看護学科)
  • 三浦 友理子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
  • 川上 千春(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
  • 中村 綾子(岡 綾子)(昭和大学 江東豊洲病院 看護部)
  • 佐々木菜名代(川崎市立多摩病院 医療安全管理室/聖マリアンナ医科大学 医学部(感染症学))
  • 小山田 恭子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1)看護師等養成所の看護教員、実習施設の実習指導者が認識する、看護教育者の養成と継続的な教育実践力の向上のために必要な、段階的で活用可能な継続体制のモデルを構築すること、2)実習施設が認識する看護実習の実態や、課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
<平成29年度>
(1)看護教員、(2)実習指導者の教育ニーズの把握を目的としたインタビュー調査を実施した。
<平成30年度>
(3)全国の看護師養成所に所属する看護教員への質問紙調査(教員調査)、(4)①看護実習を受け入れる実習施設に対する質問紙調査、および②実習指導のベストプラクティスに関するインタビュー調査を実施した(実習施設調査)。
結果と考察
<平成29年度>
1)教員調査:4校15名の教員にインタビューを実施した。教育者としての初期教育および、継続・段階的な教育の必要性が示唆された一方、業務量が多く自己研鑽のための時間を確保することが困難であるという意見も多く、看護教員の働き方を検討する必要性も示唆された。
(2)実習指導者調査:3か所の医療機関で働く実習指導者12名にインタビューを実施した。学生の心情理解や教育計画立案、教育技法、評価方法等に関する学びを期待していることが伺われた。また実習指導者講習会後の実習指導においては、実習目標の理解や学生個々の準備状態に合わせた指導をするなど、指導方法に工夫がされていた。
<平成30年度>
3)教員調査:875校に所属する看護教員(専任教員)に4375通の調査票を送付し、1599通を回収した(回収率27.4%)
(4)実習施設調査:①質問紙調査:看護師養成所の実習施設2970施設に配布し、379施設より回答があった(回収率12.8%)、②インタビュー調査:保健所、訪問看護ステーション等6施設の実習指導責任者に対して、インタビューを実施した。
看護教員・実習指導者には継続学習体制構築へのニーズはあるが、学内での継続教育体制に乏しく、特に看護教員は自己研鑽のための時間が確保できないという課題を抱えていた。実習施設では、特に小規模施設において、実習受け入れに際して物理的、人的環境の整備の必要性が語られた。
結論
看護教員・実習指導者の自己研鑽のための学習体制、時間の不足、そして、小規模施設での実習受け入れ体制の整備の必要性への対応が必要である。対策の一つとして、看護教育機関、病院等、関連施設を含む看護教育関係機関共同組織(コンソーシアム)を創設し、人的・物理的資源や、学習の機会の共有を実現する必要がある。また、看護教員・実習指導者双方が自ら教育実践のための能力を獲得することを支援する「看護教育者のコンピテンシーマップ」、自己研鑽への動機づけを高める認証制度の設立も合わせて検討する必要がある。
これらについて、2018年4月から行われている、「看護基礎教育検討会」で検討されている、教育体制・教育環境に関連して、結果が活用可能である。具体的には看護教員の養成および、実習施設における指導体制について、看護教育者のコンピテンシーの開発を目指すこと、認証制度を検討すること、そして、養成所の施設設備の要件等に関して、コンソーシアムを設立し、施設設備の共同利用を認めることである。また、コンソーシアムを通して地域に看護教育に理解のあるネットワークを作ることにより、これまで臨地実習の実施が認められていなかったような施設を含む、多様な場での実習を可能にすることにもつながる。

公開日・更新日

公開日
2020-01-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-01-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201821009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の結果、看護教員・実習指導者の継続教育体制の将来像の基盤を提案することができた。また、看護教員・実習指導者の枠組みを超えた「看護教育者のコンピテンシー」を考察することができた。
臨床的観点からの成果
看護教員・実習指導者が継続的に学習を続けるためには、学習が促進されるような環境を整備することも必要である。そこで、看護教育者のコンピテンシーマップの開発を目指し、自ら目標を立てて学習を続けること、認証制度の設立を検討すること、さらに養成所の施設設備の要件等に関して、コンソーシアムを設立し、施設設備の共同利用を認めることなどを提案した。
ガイドライン等の開発
本研究の中で収集したNurse Educator Core Competencies(WHO,2016)の邦訳を著作権者の許可を得て行った。「看護教育者のコア・コンピテンシー」として聖路加国際大学のウェブサイトで公開している。
その他行政的観点からの成果
2018年4月から行われている、「看護基礎教育検討会」で検討されている、教育体制・教育環境に関連して、本研究の結果が活用可能である。また、本研究が提案する「地域看護教育コンソーシアム」を通して地域に看護教育に理解のあるネットワークを作ることにより、これまで臨地実習の実施が認められていなかったような施設を含む、多様な場での実習を可能にすることにもつながる。
その他のインパクト
本研究の結果について、本研究の当事者である看護教員に対し本研究の結果の概要を発表し、意見を交換する会を2019年1月5日(土)に実施した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
「看護教育者のコア・コンピテンシー」の公開、研究結果報告・意見交換会の実施。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2020-01-24
更新日
2023-05-09

収支報告書

文献番号
201821009Z