化学物質のヒト健康リスク評価における(定量的)構造活性相関およびカテゴリーアプローチの実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201524022A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質のヒト健康リスク評価における(定量的)構造活性相関およびカテゴリーアプローチの実用化に関する研究
課題番号
H27-化学-指定-005
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 森田 健(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
16,347,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
数万種に及ぶ安全性評価未実施の既存化学物質のリスク管理は世界的な課題であり、OECD等の国際機関では、カテゴリーアプローチや(Q)SARを用いたインシリコ手法の利用推進を図っているが、ヒト健康リスク評価における利用は未だ限定的である。本研究では、日本がこれまで構築してきたこれら手法の実用化に向けて、改良を行うと共に、世界に先駆けてインシリコ手法に基づく新たな化学物質安全性評価の実践を行うことを目的とする。
研究方法
ヒト健康影響に関するスクリーニング試験の中で、遺伝毒性についてはデータベースの構築と、QSARツールによる予測システムの開発・改良を行う。特にエームス試験においては、各種QSARツールの予測精度の向上を目的とした競争的国際共同研究コンソーシアムを組織し、そのデータベースを提供し、予測精度に関する国際コンペティションを行う。In vivo遺伝毒性試験に関しては、MN試験、TG試験を中心とした広範なデータベースを構築する。反復投与毒性については、化学構造からの毒性強度の予測評価手法の検討と標的臓器毒性に対するプロトタイプアラートやカテゴリーアプローチの適用の両面から実用化に向けた研究を行う。毒性強度に関して本年度は、化学構造情報と短期のin vivo試験との組み合わせによる毒性レベルの予測評価の可能性について検討する。
結果と考察
エームス試験の競争的国際共同研究コンソーシアムには7カ国、11のQSAR開発メーカーが参画した。現在、4,018化合物の1回目のトライアルが終了した。この中で、ほとんどのQSARモデルで予測できない18の化学物質から新規の変異原性アラートが抽出された。In vivo遺伝毒性試験においては、小核試験および、TG試験についてのデータベースを構築し、げっ歯類発がん性試験との感受性、特異性等を評価し、論文にまとめて投稿した。反復毒性の強度に関しては、Cramerルールによる化学構造分類の結果、本試験における無毒性量と予備試験における無毒性量の比が5倍を上回る化学物質のほとんどは、毒性クラスⅢに分類された。標的臓器毒性については、これまで既存の毒性試験情報から、肝毒性のプロトタイプのアラートを開発した。現在、これらが既存の肝毒性などのMIEモデル(生体反応が起こる初期反応モデル)に適用可能かを検討中である。
結論
本研究では、カテゴリーアプローチや、(Q)SARの結果を、実際の化学物質の安全性に評価に実用化するために予測精度の向上や、適用のストラテジーを開発する。本年度は一定の成果が得られ、この成果をもとにOECDや諸外国との情報交換を行った。

公開日・更新日

公開日
2016-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-06-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201524022Z