効果的なリスクコミュニケーション推進のための調査と手法の評価

文献情報

文献番号
201522022A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的なリスクコミュニケーション推進のための調査と手法の評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-食品-一般-012
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 肇子(慶應義塾大学 商学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹村 和久(早稲田大学 文学学術院)
  • 杉谷 陽子(上智大学 経済学部)
  • 小林 哲郎(国立情報学研究所 情報社会相関研究系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,320,000円
研究者交替、所属機関変更
小林哲郎(平成28年1月1日より香港都市大学に異動)

研究報告書(概要版)

研究目的
消費者のリスク認知調査やインターネット上での情報流通の調査を行った上で、食品に関するリスクコミュニケーションの効果の評価を行う。あわせて、これら調査手法そのものの妥当性と改善点を明らかにし、実施可能な調査手法の提案を行う。
研究方法
平成27年度は、以下の4つの課題を行った。1)食品のリスクに関する質問紙調査の尺度についての測定論的分析を行い、より客観的な観点からの尺度の分析および比較的信頼性のある尺度の開発を目指した。(2)ニュースサイトおよびSNSにおけるリスク情報を読ませ、その情報に対する反応のあり方を分析した。(3)政府による食品リスクコミュニケーションに着目するため、厚労省のプレスリリースのうち食品リスクに関連するものを分析した。(4)昨年度作成した食品リスクコミュニケーションの簡易マニュアルをより詳細なものに改訂した。
結果と考察
(1)リスクの判断や選好に関しては、数量化とその分析がある程度可能であることが示唆された。(2)Yahoo!ニュースや知恵袋の利用は、食品リスクに関する知識やリスク認知と関係があることが示唆された。比較的知識が豊富でリスク認知が高い人たちが、Yahoo!関連サービスをよく利用していることから、リスクコミュニケーションのプラットフォームとして、Yahoo!のようなポータルサイトが一定の役割を担える可能性が示唆されたと言える。(3)2011年~2013年の3年間に厚労省から発信された食品リスク関連のプレスリリースのうち、非原発関連のプレスリリースでは食中毒など飲食店での食品リスクに関するものが報道されやすい一方、輸入段階でのリスクである牛海綿状脳症関連のプレスリリースは比較的報道されにくい傾向が見られた。
結論
(1)新たな調査票によってリスク認知を測定すると、比較的信頼性のある結果が得られると期待できる。(2)インターネット上の食品リスク情報提供においては、以下のような現実への示唆が得られた。①マスメディアによるニュースサイトであっても、個人のブログの記事であっても、同程度の影響力を有する。②食品リスクに関する情報に接触した際の反応は、当該人物の「食品に対するリスク認知レベル」、および、「食品リスクに関する知識量」によって異なる。(3)非原発事故関連のプレスリリースでは、牛海綿状脳症関連などと比較して、外食チェーンでの食中毒など消費者の生活に近いレベルで存在するリスクほど報道されやすいことが明らかとなった。こうしたゲートキーピング機能は、報道機関が読者の生活へのインパクトの大きさという次元でインプット情報を取捨選択していることをうかがわせる。さらに、政府が特に重要視しているプレスリリースほど記事として報道されやすいという傾向は見られず、むしろ政府が重視するリリースほど報道されにくいという傾向が見られた。

公開日・更新日

公開日
2016-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201522022B
報告書区分
総合
研究課題名
効果的なリスクコミュニケーション推進のための調査と手法の評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-食品-一般-012
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 肇子(慶應義塾大学 商学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹村 和久(早稲田大学 文学学術院)
  • 杉谷 陽子(上智大学 経済学部)
  • 小林 哲郎(国立情報学研究所 情報社会相関研究系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
小林哲郎(平成28年1月1日より香港都市大学に異動)

研究報告書(概要版)

研究目的
消費者のリスク認知調査やインターネット上での情報流通の調査を行った上で、食品に関するリスクコミュニケーションの効果の評価を行う。効果の評価には、主に厚生労働省をはじめとする行政機関が行ったものを対象として、その効果や改善点について検討する。あわせて、これら調査手法そのものの妥当性と改善点を明らかにし、実施可能な調査手法の提案を行う。
研究方法
平成26年度:(1)調査手法の標準化のため、リスクの推定方法の比較を行った。(2)テレビや新聞等のマスメディアを介してではなく、インターネットから入手した情報が、消費者の食品リスク認知にどのような影響を与えるかについて実験によって検討した。(3)ネットワーク上の情報流通については、ネットワーク分析用のオープンソースのエクセル用テンプレートであるNodeXLを用いて複数の食品リスク関連トピックに関するツイッターデータを収集した。(4)リスクコミュニケーションの手法および効果については、行政機関や企業が公表しているパンフレットの内容分析を行った。平成27年度:(1)食品のリスクに関する質問紙調査の尺度についての測定論的分析を行い、より客観的な観点からの尺度の分析および比較的信頼性のある尺度の開発を目指した。(2)ニュースサイトおよびSNSにおけるリスク情報を読ませ、その情報に対する反応のあり方を検討した。(3)政府による食品リスクコミュニケーションに着目するため、厚労省のプレスリリースのうち食品リスクに関連するものを抜き出し,プレスリリースが報道記事内容に反映されているかどうかを分析した。(4)昨年度作成した食品リスクコミュニケーションの簡易マニュアルをより詳細なものに改訂した。
結果と考察
1.平成26年度:(1) 質問の表現方法により、調査結果(人々のリスク認知)が異なることが示唆された。また,知識の程度に対する態度とリスク認知の関連性が示唆された。さらに、評価対象リスク事象に関する知識も全く持っていないということを強く自覚している、いわゆる「無知の知」のような態度を持つ人は、死亡者推定の精度が高い傾向が示唆された。(2) 食品リスクに関する知識が多い者ほどネット上のニュースサイトを良く見ており、食品リスク認知が高いものほどTwitterを利用していることが分かった。 (3)NodeXLが日本語環境で正常に動作することを確認し、データ収集を行った。食品リスクコミュニケーションのネットワーク構造は概して疎であったが、高い関心を持つ少数の人々によってマスメディアでは報道されないような情報(海外メディアの報道や学会情報など)が流通・共有されていることがわかった。(4) 紙媒体での情報提供について検討した。全体として1資料あたりの情報量が多く、理解に時間がかかると推定される。文章だけではなく、図表の読み取りが難しいものもあった。2.平成27年度:(1)通常のリスク尺度が人々のリスク対象に対する選好をある程度反映していることを示唆した。また,リスクの判断や選好に関しては、数量化とその分析がある程度可能であることが示唆された。(2)Yahoo!ニュースや知恵袋の利用は、食品リスクに関する知識やリスク認知と関係があることが示唆された。比較的知識が豊富でリスク認知が高い人たちが、Yahoo!関連サービスをよく利用していることから、リスクコミュニケーションのプラットフォームとして、Yahoo!のようなポータルサイトが一定の役割を担える可能性が示唆されたと言える。(3)総じて、消費者が直接さらされる食品リスクの方が報道されやすい傾向があるように思われる。また、顕在化した食品リスクが事件としてのニュース価値を持っていた場合、それに引きずられる形で厚労省のプレスリリースが報道されやすくなる傾向も示唆される。
結論
(1)標準的なリスク認知の調査の方法については、サーストンの尺度化による安全性リスク認知と危険性リスク認知の間隔尺度を満たす新しい尺度を提案できた。(2)食品リスクに関する情報に接触した際の反応は、当該人物の「食品に対するリスク認知レベル」、および、「食品リスクに関する知識量」によって異なっていた。食品リスク情報を提供するオンラインサービスとして、最も可能性が大きいのは「Yahoo!ニュース」および「Yahoo!知恵袋」であった。(3)ネットワーク上の情報流通については、特に突発的な事象が発生した場合に、人々の知識やリスク認知を把握する有効な手段だと考えられる。また、政府が効率的なリスクコミュニケーションを行うためには、特定の食品リスクがどのような形で消費者の生活に直接影響を及ぼす可能性があるのかという点を明らかにしつつ発信することが有効だろう。

公開日・更新日

公開日
2016-05-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-05-10
更新日
2016-05-15

行政効果報告

文献番号
201522022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
食品リスク認知の標準的な調査方法を提案できた。1つは質問紙(またはオンライン調査)によるものであり,もう1つはネット上での情報流通の調査手法である。また,オンライン上での食品リスクコミュニケーションの手法についても実験により新たな知見が得られた。
臨床的観点からの成果
該当なし。
ガイドライン等の開発
食品リスクコミュニケーションのマニュアルを,データに基づき作成した。
その他行政的観点からの成果
食品に関するプレスリリースに関して,マスメディア研究の視点から分析を行い,具体的な改善方法を提案した。
その他のインパクト
該当なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-10
更新日
2020-10-02

収支報告書

文献番号
201522022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,015,000円
(2)補助金確定額
3,015,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 475,002円
人件費・謝金 475,205円
旅費 0円
その他 1,370,785円
間接経費 695,000円
合計 3,015,992円

備考

備考
自己負担992円

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-