行政推進施策による労働災害防止運動の好事例調査とその効果に関する研究

文献情報

文献番号
201521011A
報告書区分
総括
研究課題名
行政推進施策による労働災害防止運動の好事例調査とその効果に関する研究
課題番号
H27-労働-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
大幢 勝利(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 労働災害調査分析センター)
研究分担者(所属機関)
  • 日野 泰道(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 吉川 直孝(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 梅崎 重夫(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
  • 岡部 康平(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
  • 藤本 康弘(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ)
  • 島田 行恭(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ)
  • 佐藤 嘉彦(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ)
  • 冨田 一(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 濱島 京子(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 三浦 崇(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 高木 元也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 人間工学・リスク管理研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
12,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
労働安全衛生行政は、第12 次労働災害防止計画において、労働災害発生件数の減少等を目標として掲げている。この目標のため、行政が労働災害防止関係団体や個別の企業に働きかけ、これら関係者の自主的な取組を促進することにより、政策の推進が図られている。これらの行政推進施策等については、参考とすべき好事例が数多くあると考えられ、中小事業場等に水平展開することにより労働災害の防止に寄与することが可能となる。しかし、その好事例について調査された研究はほとんど見受けられず、さらに、その効果について検討された例も少ない。そこで、本研究では、今後の行政推進施策等への反映が可能な好事例をヒアリング等により調査し、他への展開の可能性の検討を行う。その結果を踏まえ、行政推進施策等による労働災害の発生率の低下等の波及効果を、各種経済指標等との比較により分析すること等により、今後の施策等に効果的と考えられる取組みについて検討することを目的とする。
研究方法
平成27年度は、行政推進施策等による好事例やその効果を検討するため、以下の4項目を対象に研究を進めた。
1)建設業における好事例の収集と安全意識や安全対策の変化の調査
2) 製造業・陸上貨物運送事業における好事例の収集と安全意識や安全対策の変化の調査
3)小売業・飲食店における行政推進施策の好事例モデルの提案等
4)労働災害の発生率の低下等の波及効果の分析
結果と考察
研究方法に示す4項目に基づき、以下の8分野の研究を実施した。
1)英国の建設業に関する調査
英国のHSL等を訪問し、ロンドンオリンピック・パラリンピックの関連工事の死亡災害0の活動内容を調査し、その結果を2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会 大会施設工事安全衛生対策協議会設立準備のため、厚生労働省に情報提供した。
2)食品加工用機械における好事例調査
食品加工用機械の好事例を水平展開するための、新たな視点として、①労働安全衛生規則に則った対策をしていることの情報表示、②行政が好事例を収集し公開する際の問題、について検討した。
3)化学プラントにおけるリスクアセスメントの好事例調査
爆発火災災害防止に関し、米国の安全関連政府機関と化学系エンジニアリング・コンサルティング会社を訪問し、規制の現状と企業の対策の概要を調査した。来年度以降は、他のアジア諸国も調査する予定である。
4)アーク溶接作業での感電災害防止における好事例調査
交流アーク溶接機による溶接作業を行っている建設現場、造船現場での現地調査を行い、感電災害防止の取り組み状況を確認するとともに、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の好事例の実機を入手した。
5)陸上貨物運送事業における好事例調査
荷役作業の安全対策ガイドラインの解説等で示された工法のうち、トラック積載型および荷主庭先据え置き型の両タイプの墜落防止機材が実用化されていることが分かった。その製造会社を訪問して調査するとともに、実機を入手して使用感等を確認した。
6)小売業・飲食店を対象とした好事例調査
小売業・飲食店を対象に、安全活動の取り組みが進んでいる好事例を収集するため、信用調査会社が保有する企業情報DBを用いて業態別アンケート調査を実施し、好事例を収集することができた。
7)労働災害損失計測手法に関する国内文献調査
企業の安全活動、労働安全行政施策の推進等による効果を明らかするため、企業や社会全体における労働災害に伴う経済損失の大きさ、安全対策の費用対効果等を計測する手法を見出すことを目的に、既往研究の収集等を行った。
8)労働災害の発生率の低下等の波及効果の分析
経済要因が労働災害に及ぼす影響を調査するため、労働災害発生件数と各種経済指標との関係を分析した。その結果、労働災害急増期において、死亡者数と有効求人倍率に高い相関があることがわかった。
結論
本研究では、行政推進施策等による好事例やその効果を検討するため、以下の8つの分野における好事例収集と分析等を行った。
1)英国の建設業に関する調査
2)食品加工用機械における好事例調査
3)化学プラントにおけるリスクアセスメントの好事例調査
4)アーク溶接作業での感電災害防止における好事例調査
5)陸上貨物運送事業における好事例調査
6)小売業・飲食店を対象とした好事例調査
7)労働災害損失計測手法に関する国内文献調査
8)労働災害の発生率の低下等の波及効果の分析
 その結果、ロンドンオリンピック・パラリンピックの関連工事の死亡災害0の活動内容を、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会 大会施設工事安全衛生対策協議会設立準備のため、厚生労働省に情報提供した。平成28年以降も引き続き調査を続け、厚生労働省に逐次好事例の情報提供する予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-03-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-06-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201521011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,300,000円
(2)補助金確定額
16,128,000円
差引額 [(1)-(2)]
172,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,627,411円
人件費・謝金 0円
旅費 2,143,401円
その他 6,657,531円
間接経費 3,700,000円
合計 16,128,343円

備考

備考
343円は自己資金である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-