歯周疾患と糖尿病等との関係に着目した歯科保健指導方法の開発等に関する研究

文献情報

文献番号
201315058A
報告書区分
総括
研究課題名
歯周疾患と糖尿病等との関係に着目した歯科保健指導方法の開発等に関する研究
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
森田 学(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 予防歯科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 荻野 景規(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 公衆衛生学分野)
  • 和田 淳(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学分野)
  • 友藤 孝明(岡山大学病院 予防歯科)
  • 江國 大輔(岡山大学病院 予防歯科)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院生涯健康研究部・地域保健システム研究分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯周病治療が糖尿病に対する効果について一定の結論を得ていないのが現状である。最近の米国の報告では、「糖尿病患者に対する歯周治療の介入は血糖コントロールに影響しない」とも述べている。また、歯科的介入で血糖コントロールに改善がみられることを前提に考えたとしても、「医療費や歯科医療費に対してどのような影響を及ぼすのか」を明らかにする必要がある。以上のことから、歯科的な介入(歯科保健モデル事業)の評価を臨床効果だけではなく、医療費・歯科医療費への影響や地域保健へ展開させた場合の在り方について公衆衛生学的観点から検討する必要がある。そこで、まずは文献検索を行い、糖尿病等の患者の状態に併せた歯周検査と唾液検査の項目を決定し、平成26年度以降の臨床試験をデザインすることとした。また、そのための基礎データについて外来患者を対象に事前調査した。さらに歯周疾患と糖尿病の病態や保健行動の関連等について分析した。
研究方法
PubMed(検索対象年1966~2013.7)を用いてレビューを8報抽出した。これらの論文の多くは、Simpsonら(2010)のコックランレビューを引用していた。次にそれ以降の報告について、PubMedから「歯周病と糖尿病との関連性」、についてのRCTsに焦点をあて12報抽出した。臨床研究として、岡山大学病院の腎・免疫・内分泌代謝内科において、研究参加に同意の得られた糖尿病患者15名を対象に、口腔内診査と唾液検査を実施した。また、血液中Hba1c、食後血糖値、および血清ROM値(酸化ストレス度)を測定した。さらに、全国の地域で展開されている歯周疾患と糖尿病の医科歯科連携事業の内容に関して、全国行政歯科技術職連絡会の役員による意見交換会を開催し、協議を行った。加えて、2型糖尿病のある群と2型糖尿病のない群において、口腔保健や食生活、運動習慣等の特性の違いをWeb調査により探索的に検討した。

結果と考察
どの論文においても対象人数が少なく、歯周治療期間中の糖尿病治療の変化についての記載に乏しかった。歯周病および糖尿病の定義も多様であり、一定の傾向はみられなかった。また、HbA1cの改善が見られた論文と、そうでない論文があった。また、対照群の設定は多様であり、SRPなどの治療を行った場合もあれば、無処置の設定の場合もあった。外来患者を対象に事前調査した結果、高Hba1c群では低Hba1c群と比べて、BOPの割合が15%以上の者が多かった。一方、現在歯数、う蝕歯数、PPD、CAL、動揺歯を有する者、およびPCRの割合が20%以上の者は、2群間で違いはなかった。唾液中の、A. actinomycetemcomitans、P.gingivalis、P. intermedia、B. forsythus、T. denticola、F.nucleatumの検出率は、それぞれ7%、79%、57%、93%、71%、および100%であった。高Hba1c群では低Hba1c群と比べて、男性の割合と喫煙者の割合が大きく、補助道具を使う者の割合と歯科医院に定期的に受診する者の割合は小さかった。行政歯科技術職連絡会では、滋賀県の「糖尿病治療における歯科・医科連携推進モデル事業」が先行事例として抽出された。、Web調査の結果、2型糖尿病患者は、治療としては血糖値を下げる薬を服用しているが、食事療法や運動療法はあまりこなせていない状況が明らかになった。また、糖尿病の知識を持ち合わせていたが、口腔関連の自覚症状の認識や受療行動との間にはギャップがあった。
結論
平成26年度では、同意の得られた患者を、上述した歯科保健指導群もしくは歯周治療群の2群に分け、歯科保健指導群では歯磨き指導と簡単な歯垢除去を、そして歯周治療群では歯科保健指導群の内容に加えて、歯周基本治療(歯肉縁上・縁下の歯石除去)を行う。実験デザインは層別ランダム化比較試験とし、平成25年度に決定した評価項目を用いて、研究開始時、3ヶ月後、6ヶ月後、および9ヶ月後に検査する。主要評価項目はグリコヘモグロビン(HbA1c)、そして副次的評価項目は歯周状態、唾液中の細菌量、空腹時血糖、グリコアルブミン、クレアチニン、炎症性サイトカイン、酸化ストレス、QOLとなることが決定した。また、国民健康・栄養調査と歯科疾患実態調査とのリンケージデータから、医療機関への受診行動を絡めた糖尿病と歯周病との関連性を検討する。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201315058Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,700,000円
(2)補助金確定額
11,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,426,221円
人件費・謝金 686,601円
旅費 775,230円
その他 2,111,948円
間接経費 2,700,000円
合計 11,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
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