モバイル型感染症サーベイランスシステムの構築

文献情報

文献番号
201303014A
報告書区分
総括
研究課題名
モバイル型感染症サーベイランスシステムの構築
課題番号
H24-地球規模-一般-013
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
千田 勝一(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 安秀(大阪大学 大学院人間科学研究科)
  • 松石豊次郎(久留米大学 医学部小児科学講座)
  • 岩田 欧介(久留米大学 医学部小児科学講座)
  • 江原 伯陽(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
  • 三浦 義孝(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
  • 渕向 透(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
  • 石川 健(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,441,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災では分担研究者らのチームが岩手県陸前高田市で感染症サーベイランスを開始したが、情報の収集と伝達の多くを人手に依存することが課題であった。このため、大震災から数日後に設置された移動基地局を経由し、携帯端末を用いて情報をリアルタイムに共有するモバイル型感染症サーベイランスシステムの構築を着想した。本研究では、1)モバイル型感染症サーベイランスシステムの構築と、2)海外から留学中の研究者を被災地に招き、本システムが自国へ応用可能かの検討、および3)国際機関の代表者も交えて国際セミナーを開催し、途上国の災害における技術応用についての検討を目的とする。
研究方法
平成25年度は、わが国へ留学中の感染症に興味がある研究者を被災地に招いてフォーラムを開催し、開発したモバイル型疾病・感染症サーベイランスシステムを実際に体験してもらって、自国での応用や改善点について意見を聴取した。また、国際機関の代表者も交えて国際セミナーを開催し、途上国の災害における本システムの技術応用について検討した。さらに、分担研究者の医療機関等を対象に、本システムを試験運用して、運用上の改善点を探った。
結果と考察
平成25年度に行ったフォーラムとセミナーにおける検討から、1)災害時に使用できるようにするには、平時からの備えが必要であること、2)災害時には簡便で、かつ有用なシステムが望ましいこと、3)サーベイランスは継続的・系統的なデータ収集・分析・評価が必要で、それに基づいた対応も重要であること、4)災害時にはevent-based surveillanceも有用であること、が重要と考えられた。本システムの運用試験では、さらに具体的な問題点・要望点が出された。それらを踏まえてバージョンアップしたことで、入力者にも簡便なアプリケーションが作成できたものと考えられる。
結論
本システムを平時の感染症定点観測に使用すれば、災害時には即座に疾病・感染症サーベイランスに転用することが可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2015-03-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-03-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201303014B
報告書区分
総合
研究課題名
モバイル型感染症サーベイランスシステムの構築
課題番号
H24-地球規模-一般-013
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
千田 勝一(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 安秀(大阪大学 大学院人間科学研究科)
  • 松石豊次郎(久留米大学 医学部小児科学講座)
  • 岩田 欧介(久留米大学 医学部小児科学講座)
  • 江原 伯陽(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
  • 三浦 義孝(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
  • 渕向 透(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
  • 石川 健(岩手医科大学 医学部小児科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災では分担研究者らのチームが岩手県陸前高田市で感染症サーベイランスを開始したが、情報の収集と伝達の多くを人手に依存することが課題であった。このため大震災から数日後に設置された移動基地局を経由し、携帯端末を用いて情報をリアルタイムに共有するモバイル型感染症サーベイランスシステムの開発を着想した。本研究では、1)モバイル型感染症サーベイランスシステムの構築と、2)海外から留学中の研究者を被災地に招き、本システムが自国へ応用可能かの検討、および3)国際機関の代表者も交えて国際セミナーを開催し、途上国の災害における技術応用についての検討を目的とした。
研究方法
平成24年度は、東日本大震災後の医療・保健情報の喪失と回復に関する実態ヒアリング調査、および携帯端末から疾病・感染症情報を入力できるアプリケーションと、入力情報を集計して分析し、フィードバックするシステムの開発を行った。平成25年度は海外からの研究者や国際機関代表者に国際協力の視点から本システムの改善点を聴取するとともに、本システムの運用試験を施行した。
結果と考察
岩手県の気仙医療圏(大船渡市、陸前高田市、住田町)では陸前高田市庁舎と、6つの医療施設のうち3つに津波被害があり、ここではすべての情報が消失した。特に予防接種記録や診療情報などの電子化とクラウド化が課題と考えられた。また、大規模災害後の早期から疾患・感染症サーベイランスができるよう、CDCが作成したNatural Disaster Morbidity Surveillance Tally Sheetを取り入れた項目からなるアプリケーションを開発した。この疾病項目は大まかな死亡原因と、慢性疾患の有無、長期服用薬の有無も分かるようになっており、災害後の疾病サーベイランスとして有用と考えられる。
本システムの改善点として、1)災害時に使用できるようにするには、平時からの備えが必要であること、2)災害時には簡便で、かつ有用なシステムが望ましいこと、3)サーベイランスは継続的・系統的なデータ収集・分析・評価が必要で、それに基づいた対応も重要であること、4)災害時にはevent-based surveillanceも有用であること、が重要と考えられた。本システムの運用試験では、さらに具体的な問題点・要望点が出された。これらを踏まえてバージョンアップしたことで、入力者にも簡便なアプリケーションが作成できたものと考えられる。
結論
本システムを平時には感染症発生動向調査(小児科・インフルエンザ定点観測)に利用できるよう検討し、災害時には本システムを稼働できるようシステムの整備をする予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-03-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-03-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201303014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
災害時の疾病・感染症サーベイランスのアプリケーションが完成し、運用試験を行った。今後、統一フォーマットによるサーベイランスが国際的に行われれば、災害の種類と疾病・感染症とのデータベースが構築でき、災害による特定の疾病・感染症の予防対策に貢献できるものと考えられる。
臨床的観点からの成果
災害時にモバイル型疾病・感染症サーベイランスを広く行うことで、応急対応すべき疾患、感染症が早期に評価でき、それに対する専門家と医薬品を集中的、選択的に投入できる利点が考えられる。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
モバイル型感染症サーベイランスは、感染症に脆弱な避難者の健康管理に貢献することが期待され、医療救護班にワクチン接種を依頼する根拠ともなる。予防可能な感染症の流行を抑えることができれば、発症・重症化の予防や医療費の節約、経済損失の抑制、医療従事者の負担軽減につながると考えられる。本システムは大規模なインフラを必要としないため、今後、世界各地で生じると予測される大災害においても、十分に技術応用が可能と思われる。以上を通して、厚生労働行政、保健医療行政、国際貢献に直接、反映させることが期待できる。
その他のインパクト
大規模災害時の感染症サーベイランスフォ-ラム:平成25年8月23日~25日(盛岡市)
災害後の感染症サーベイランスに関する国際セミナー:平成25年11月9日(東京)
朝日新聞に掲載 

発表件数

原著論文(和文)
14件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
19件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takahashi K, Kobayashi J, Nomura-Baba M, et al.
Can Japan contribute to the post millennium development goals? Making human security mainstream through the TICAD process.
Tropican Medicine and Health , 41 (3) , 135-142  (2013)

公開日・更新日

公開日
2015-03-10
更新日
2016-06-23

収支報告書

文献番号
201303014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,152,000円
(2)補助金確定額
3,152,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 57,404円
人件費・謝金 0円
旅費 486,330円
その他 1,897,369円
間接経費 711,000円
合計 3,152,103円

備考

備考
利息80円と自己負担額23円

公開日・更新日

公開日
2015-03-10
更新日
-