医師臨床研修制度の評価と医師のキャリアパスの動向に関する調査研究

文献情報

文献番号
201232049A
報告書区分
総括
研究課題名
医師臨床研修制度の評価と医師のキャリアパスの動向に関する調査研究
課題番号
H24-医療-指定-042
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(独立行政法人国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 田中 雄二郎(東京医科歯科大学医学部附属病院)
  • 大滝 純司(北海道大学大学院医学研究科医学教育推進センター)
  • 小池 創一(東京大学医学部附属病院)
  • 片岡 仁美(岡山大学)
  • 安田 あゆ子(名古屋大学医学部附属病院)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院大学病院医療情報ネットワーク研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
13,699,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師臨床研修制度の次回の見直しの検討に必要な客観的なデータを得ることにある。本研究班は平成23年7月に発足した厚労省「医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ」において、今後の見直しのために調査研究が必要と指摘された内容を含むなど、同WGとの密接な連携のもとに活動を行うことも特色であり、研究成果は同WGでの議論を通じて臨床研修制度の見直しの検討に活用されることが期待される。本研究は、大きく以下の5つの部門から構成され、各部門は多角的な視点から独自に調査研究を展開するとともに、相互に連携して臨床研修制度の見直しに必要な基礎資料の総合的な作成を計画する。
研究方法
1)初期臨床研修による基本的臨床能力の修得状況に関する調査(福井)
2)臨床研修病院、指導医を対象としたアンケート調査(安田、片岡)
3)海外の臨床研修制度に関する研究(田中、大滝)
4)EPOCを活用した臨床研修の評価に関する研究(田中、木内)
5)地図情報システム(GIS)を用いた医師臨床研修制度の評価と専門医の動向分析(小池)
結果と考察
1)初期臨床研修による基本的臨床能力の修得状況に関する調査
 大学病院と研修病院、継続プログラム(7科目必修)と弾力プログラム(それ以外)を比較したところ、基本的臨床知識・技術・態度について「自信をもってできる」「できる」と答えた研修医の割合は、98項目中12項目で継続プログラムが有意に高かった。経験症例数は、85項目中11項目で継続プログラムが有意に高かった。

2)患者、指導医、臨床研修病院を対象としたアンケート調査
 <患者>入院患者の研修医の態度・満足度に関する評価は、全般に非常に良好であった。
 <指導医>臨床研修制度は約半数は良いとするも、研修科目、募集定員などに関しては現行ルールの改善が必要と考えているものが多く、基本的診療能力をより身に付けるように大病院に偏らず多彩な経験をすべきと考えるものと、専門研修を早くに実施するように根本的に改変すべきと考える2つの方向性があることがわかった。
 <臨床研修病院>指導医に対するモチベーションを保つ工夫が多くの施設でなされている一方、研修管理委員会の開催、研修評価などが不十分と思われる回答も散見された。

3)海外の臨床研修制度に関する研究
 欧米やアジア等諸外国における臨床研修制度は、日本に比較して、研修医が習得した能力や研修プログラムに対する評価が多角的に行われている国が多く、中でも英国の制度は評価方法の妥当性が高く、またインターネットを利用したオンラインシステムが定着しており、参考になると考えられる。

4)EPOCを活用した臨床研修の評価に関する研究
 平成22年開始研修医(選択必修導入後)の満足度は、大学病院より研修指定病院、大規模病院より中小規模病院が有意に高かった。平成20年(選択必修導入前)との比較では行動目標の達成率は変わりなく、経験目標Aの達成率は複数の項目で有意に上昇していた。経験目標Bでも多くの項目で経験率の上昇がみられたが、産婦人科、小児科関連の経験率は有意に低下していた。大学病院、大規模病院で満足度の向上がみられた。

5)地図情報システム(GIS)を用いた医師臨床研修制度の評価と専門医の動向分析
 新臨床研修制度導入後は、1年目に医育機関に勤務する医師が大きく減少する一方、3年目に医育機関に勤務する医師は増加傾向にあった。また都道府県庁所在地等の都市部で研修医が減少する一方で、周辺地域で研修医が増加していた。
結論
臨床研修制度について様々なデータから多角的に分析した。なお本研究は、臨床研修に向けての見直しに向けた論点整理を行う厚生労働省「医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ」において今後の見直しのために研究が必要と指摘された内容を含むなど、同WGとの密接な連携のもとに研究を行った。今後本研究成果が臨床研修制度の見直しに向け有効に活用されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2013-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201232049C

収支報告書

文献番号
201232049Z