難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班 患者実態調査および治療法の研究

文献情報

文献番号
201231160A
報告書区分
総括
研究課題
難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班 患者実態調査および治療法の研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-059
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(川崎医科大学 放射線医学(画像診断2))
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 了(KKR札幌医療センター斗南病院 形成外科)
  • 秋田 定伯(長崎大学医学部・歯学部附属病院 形成 外科)
  • 大須賀 慶悟(大阪大学医学系研究科 放射線医学)
  • 高倉 伸幸(大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門 情報伝達分野)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 疫学・疾病制御学)
  • 森井 英一(大阪大学医学系研究科 病態病理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般に「血管腫」と診断される疾患の中には血管奇形が含まれ、疼痛、潰瘍、患肢の成長異常、機能障害、整容上の問題等をきたす。血管奇形は動脈、静脈、毛細血管、リンパ管といった構成要素により細分され、その混合型も存在する。血管奇形には、小さく切除治療が可能なものから、多発性あるいは巨大で周囲組織に浸潤し治療に抵抗性を示し、長期にわたり患者のQOLを深刻に損なう難治性血管奇形がある。血管腫・血管奇形の国内・海外での詳しい実態調査は行われていないため、本研究では患者の実態把握および患者数推定のための全国疫学調査を行う。本研究の最終目的は、臨床研究と病理・分子生物学的基礎研究を組み合わせ、血管腫・血管奇形の原因解明と治療法開発を目指すことにある。
研究方法
1.患者実数・実態の把握
患者の実数・病状・診療の現状を把握するため、日本で初めて多施設からなる血管腫・血管奇形患者情報の症例登録を行う。対象はISSVA分類において毛細血管奇形単独例を除く血管奇形である。平成24年度は患者登録項目を決定し、web症例登録システムを作成し、研究代表者・分担者等の施設における予備調査を施行した。平成25年度は全国調査を行い、5000人以上の登録を目標とする。
並行して患者数推定のための疫学調査として、平成24年度には健康保険組合に加入している本人および家族の全診療報酬記録のデータベースを利用して、血管腫・血管奇形病名のついた患者数の推計を試みた。全国の健康保険組合約3000万人のうち、全国に出張所を持つ大規模事業所の対象者数91.3万人の診療報酬記録データベースを解析対象とし、血管腫・血管奇形有病率及び推計患者数を算出した。
2.血管病変の病理学的解析および静脈奇形の原因であるTie2受容体の機能解析
平成21-23年度の研究班(佐々木班)から引き継いで継続的研究を行っている。病理学的解析においては血管奇形におけるAGGF1の発現を免疫組織化学的に検討した。分子生物学的分野では成体マウスにおいて血管内皮細胞のTie2を活性化させ、血管奇形様の病変が誘導されるか否か観察した。
3.診療ガイドライン、重症度分類(難治性病変診断基準)案の見直し
 佐々木班が作成した診療ガイドラインに疾患概説と診断のポイントを序文として加え、完成させた。また昨年度までに作成された血管腫・血管奇形重症度分類は予備調査を基にブラッシュアップし、全国調査に用いる。
(倫理面への配慮)
血管腫・血管奇形患者の全国実態調査とその予備調査は、研究代表者・分担者施設倫理審査委員会の承認を得て行った。
結果と考察
平成24年度は、本研究班の研究代表者・分担者が所属する5施設の血管奇形患者343例を対象として、全国実態調査に向けた予備調査を実施した。病変の初発時期は生下時あるいは5歳未満がそれぞれ23.4%で最多であった。病変部位は下肢が最も多く(36.0%)、次いで頭頸部が多かった(35.5%)。診断名は静脈奇形が64.4%で最多であった。最も多く施行された治療は硬化療法で47.8%であった。何らかの治療を受けた患者の82.6%で治癒または改善が認められた。重症度分類では1度の症例が64.4%と最も多かった。症例登録システムはほぼ妥当と判断され、全国調査に進むこととなった。
保険病名からの患者数調査では平成22年1月から23年12月の2年間において、多重カウントなしの場合では、血管腫・血管奇形病名のついた推計患者数は178,542人であった。これらには本来除外されるべき乳児血管腫などの血管性腫瘍、毛細血管奇形も含まれており、今後さらなる精査が必要である。
病理学的分野では血管奇形におけるAGGF1の発現を免疫組織化学的に検討した。静脈奇形においては、拡張し静脈石を含むような静脈の内皮細胞には発現はみられないが、比較的細い静脈や毛細血管にAGGF1の発現がみられた。また動静脈奇形では、含まれる動脈の内皮細胞には発現はないものの、それ以外の血管での発現がみられた。また、血管以外にも間質に存在する細胞にも散在性に強いAGGF1の発現が確認された。
分子生物学的分野ではマウス版の恒常的活性型Tie2(CA-Tie2)の作製に成功した。成体マウスにおいて血管内皮細胞のTie2を活性化させたところ、部分的に静脈の奇形様の病変が誘導されることが判明した。
診療ガイドラインはクリニカルクエスチョン回答をブラッシュアップし、疾患概説と診断のポイントを序文として加え、平成25年3月に完成させた。
結論
今回の予備調査により、多施設の血管奇形患者を対象として、これまで明らかでなかった疫学的情報を得ることができた。また、今回構築したWeb登録システムを用いて全国調査を行うことにより、本邦における血管奇形患者の実態を把握できる見通しが示された。

公開日・更新日

公開日
2013-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201231160Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,850,000円
(2)補助金確定額
5,850,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,294,971円
人件費・謝金 94,050円
旅費 1,394,810円
その他 1,744,743円
間接経費 1,350,000円
合計 5,878,574円

備考

備考
預金利息19円及び自己負担28,555円

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-