身体疾患を合併する精神疾患患者の診療の質の向上に資する研究

文献情報

文献番号
201224082A
報告書区分
総括
研究課題名
身体疾患を合併する精神疾患患者の診療の質の向上に資する研究
課題番号
H24-精神-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 弘人(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所社会精神保健研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 広行(独立行政法人国立循環器病研究センター 医療安全管理部)
  • 水野 杏一(日本医科大学 内科学循環器・肝臓・老年・総合病態部門)
  • 志賀 剛(東京女子医科大学 医学部循環器内科学)
  • 内村 直尚(久留米大学 医学部精神神経科)
  • 鈴木 伸一(早稲田大学 人間科学学術院)
  • 稲垣 正俊(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 木村 宏之(名古屋大学大学院 医学系研究科細胞情報医学専攻脳神経病態制御学講座精神医学分野)
  • 木村 真人(日本医科大学 千葉北総病院メンタルヘルス科)
  • 小川 朝生(独立行政法人国立がん研究センター 東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発分野)
  • 野田 光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 糖尿病研究連携部)
  • 数井 裕光(大阪大学大学院 医学系研究科精神医学)
  • 三宅 康史(昭和大学 医学部救急医学)
  • 山崎 力(東京大学 医学部附属病院臨床研究支援センター)
  • 奥村 泰之(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所社会精神保健研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,011,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、精神疾患と身体疾患の合併・併存患者への最適な医療を提供することを最終目標として,精神科と身体科等との連携マニュアルと合併・併存患者の治療技術向上のための研修資材を作成するとともに,精神科地域連携クリティカルパスを開発することを目的とする。その上で,有病率調査,自記式尺度の診断精度研究及び疾病予後に関する前向きコホート研究並びに医療情報を活用した研究を行い,学術的エビデンスを創出する。
研究方法
(1) 精神科と身体科等との連携マニュアルと地域連携クリティカルパスを開発,(2) 合併・併存患者の治療技術向上のための研修資材を作成,(3)臨床研究の実施と基盤整備,を行うため,14名の研究分担者により研究班を編制した。研究法は,コホート研究,症例対照研究,横断研究等を用いた。
結果と考察
第1に,「精神科と身体科等との連携マニュアルと地域連携クリティカルパスの開発」の一環として,がん診療におけるうつ病 (小川分担班),脳卒中診療におけるうつ病 (木村真人分担班),認知症 (数井分担班),救命救急センター退院後における自殺未遂者 (三宅分担班),かかりつけ医療場面のうつ病 (稲垣分担班),糖尿病診療におけるうつ病 (野田分担班) を想定した,地域連携パスの初案を作成した。
第2に,「合併・併存患者の治療技術向上のための研修資材の作成」の一環として,自殺未遂者ケア研修の開催準備と,救急医療における精神症状評価と初期診療の研修コースの開催準備を進めた (三宅分担班)。さらに,循環器疾患における不安・うつ症状に対する効果の認められた認知行動的アプローチを精査した (鈴木分担班)。
第3に,「臨床研究」の一環として,次の成果が得られた。糖尿病診療におけるうつ病のスクリーニング検査としてPHQ-9の診断精度の有用性が認められた (野田分担班),心不全や冠動脈疾患において,うつ病陽性の割合が高い傾向が明らかになった (水野分担班),多施設循環器内科外来患者におけるうつ状態の有病率調査のパイロット研究を完了させた (志賀分担班),循環器内科におけるうつ病の併発はQOLの低下因子であることが示された (内村分担班),慢性心不全患者の性格傾向が明らかになった (木村宏之分担班),基礎研究から臨床試験をシームレスに遂行されるための基盤を整えた (山崎分担班),精神疾患の治療割合は,すべての傷病のなかで,脳卒中が最も低いことが示された (奥村分担班)。
結論
本研究班では,(1) 精神科と身体科等との連携マニュアルと地域連携クリティカルパスを開発し,(2) 合併・併存患者の治療技術向上のための研修資材を作成し,(3) 7つの研究分担班により臨床研究の実施と基盤整備を行った。本研究成果は,政策的には,クリティカルパスの開発や研修資材の作成により,都道府県の医療計画の進展に寄与することが期待できる。また,学術的には,診断面接に基づく有病率,自記式尺度の診断精度の確認,予後に関する研究成果により,臨床に直接的に寄与するエビデンスを創出した。

公開日・更新日

公開日
2013-05-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201224082Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,300,000円
(2)補助金確定額
14,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,994,815円
人件費・謝金 3,089,656円
旅費 1,655,842円
その他 1,270,687円
間接経費 3,289,000円
合計 14,300,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
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