文献情報
文献番号
201132032A
報告書区分
総括
研究課題名
材料/細胞・組織界面特性に着目した医用材料の新規評価方法の開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-医薬・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 厚子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
- 配島由二(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 中岡竜介(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 伊佐間和郎(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 澤田留美(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 加藤玲子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 迫田秀行(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 植松美幸(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 石川格(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部 )
- 石原一彦(東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
21,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医用材料の生体適合性は、種々の溶出物や残留物質等の毒性、微生物汚染に由来する感染因子のほか、材料表面の物理化学的特性に大きく影響される。本研究では、材料表面と細胞の界面で観察される事象と、その結果、細胞で観察される事象との比較を行い、従来法より迅速、高感度に医用材料の生体適合性を評価できる新規手法の探索を目的とする。また、行政研究として医療機器の生物学的安全性試験法の改正(以下、試験法改正)を行う。
研究方法
材料は、ジルコニウム、チタン、UHMWPE、PMEA、PEEKなどを用いた。界面では、水和状態、イオン吸着、アパタイト形成、タンパク質吸着及び摩擦係数を、細胞では、遺伝子発現、タンパク質発現及び細胞間連絡機能を観察対象とした。試験法改正については、昨年度に続き、さらに2回の会議を開催した。
結果と考察
ジルコニウムでの、イオン吸着及びアパタイト形成は、昨年度のチタンと同様のアルカリ処理の影響が観察された。昨年度チタン上で培養したヒト間葉系幹細胞では、増殖用培地でも骨分化傾向を示す遺伝子発現の変化が観察されたが、今年度チタンのアルカリ処理によって、より強い骨分化傾向を示し上記イオン吸着及びアパタイト形成の研究結果と良く相関していた。材料近傍の水分子の状態は、(メタ)アクリレート及びポリスルホベタインメタクリレートを用いて、低温結晶形成として観測される中間水の構造に共通の特徴が見られ、一方、双性イオン性ポリマーでは材料表面近傍の水が高い運動性をもち、水和層厚が大きいため、タンパク質との相互作用がほとんどないことが判明した。分子動力学的シミュレーションにより、PMEAの特定の条件下での立体構造を示した。
試験法改正は終了し、平成24年3月1日付け薬食機発0301第20号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」として発出した。
試験法改正は終了し、平成24年3月1日付け薬食機発0301第20号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」として発出した。
結論
各種指標(水和状態、イオン吸着、材料吸着タンパク質、材料上で培養した細胞の遺伝子発現及びタンパク質発現、接触角及び細胞間連絡機能並びに関節摺動面の材料の摩耗量及び潤滑状態シミュレーション)の研究は、陰性対照材料を使っての実験条件等の検討が終了した。今後は材料表面特性の異なる一連の共通試験材料を使って、各指標での結果を比較し、材料表面特性と相関する新規評価法を提案したいと考えている。
公開日・更新日
公開日
2017-05-30
更新日
-