文献情報
文献番号
201101009A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャルキャピタルと地域包括ケアに関する研究
課題番号
H22-政策・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
井上 由起子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 筒井 孝子(国立保健医療科学院)
- 森本 佳樹(立教大学コミュニティ福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
地域包括ケアシステムの文脈からソーシャル・キャピタルの定義、ソーシャル・キャピタルと互助の関係性について論述したうえで、互助を地域包括ケアシステムに活かすための社会的仕組みを組み立てる際の留意点について検討した。これらを踏まえて、保険者が自助・互助・共助・公助の役割分担と連携を地域包括ケアシステムの運営に役立てるための知見をとりまとめる。
研究方法
以下の調査研究を実施した。
調査1.ソーシャル・キャピタルと地域包括ケアシステムの関係整理に関する調査
調査2.地域交流拠点を活かしたコミュニティ・ソーシャルワークに関する調査
調査3.ソーシャル・キャピタルと地域包括ケアシステムに関する先進事例調査
調査1.ソーシャル・キャピタルと地域包括ケアシステムの関係整理に関する調査
調査2.地域交流拠点を活かしたコミュニティ・ソーシャルワークに関する調査
調査3.ソーシャル・キャピタルと地域包括ケアシステムに関する先進事例調査
結果と考察
ソーシャル・キャピタルは社会階層別の資本であること、互助は所与のものではないこと、以上からみて、互助は国レベルで政策に位置付けることは困難であり、保険者単位で検討すべきであることが示唆された。互助を地域包括ケアシステムに活かすための先進事例に関する調査から、互助と共助の役割分担と連携に向けた社会的仕組みを組み立てる際の留意点として、以下の6点が抽出された。1.担い手としての住民の力、2.理念と目標の共有、3.適切なエリア設定、4.活動拠点の整備、5.コモンな互助として期待される機能、6.居住形態と見守り・生活支援サービス。特に議論すべきは以下の三点である。第一に、コモンな互助として期待される機能には、孤立の解消と居場所の提供、見守り、生活支援サービス、自助に結びつくヘルスケアプログラムの4つがある。第二に、担い手としての住民の力に乏しい場合には、行政はその支援を行うと同時に、互助以外の自助・共助・公助のいずれで担うかを検討する。第三に、これらのインフォーマルケアには個人単位での対応が馴染むものと地域単位での対応が馴染むものがあり、このことが有償性の導入の仕方、居住形態とインフォーマルケアのあり方に影響を与える可能性がある。
結論
インフォーマルケアに備わる『規範』や『信頼』や『ネットワーク』といった構成員のソーシャル・キャピタルは、国が示してきた医療と介護の連携を目的とした地域包括ケアシステムの円滑な運営にとって重要であり、これが豊かであること、その選択を住民自身が行うというプロセスを経たところでは、自助、互助、共助、公助といった区別を意識することがない、地域包括ケアシステムが構築される可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2012-11-02
更新日
-