国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200942017A
報告書区分
総括
研究課題名
国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 明石 真言(独立行政法人放射線医学総合研究所)
  • 山本 都(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 黒木 由美子(財団法人日本中毒情報センター)
  • 大日 康史(国立感染症研究所)
  • 齋藤 智也(慶應義塾大学医学部)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 藤井 毅(東京大学医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,252,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化学テロ・放射線テロへの対応は緊急性が高く、また影響は局所的である。そのため国際協力のあり方に関しては、従来、十分に論議されてこなかった。GHSAG化学テロ作業部会においては、現在までに国際協力の観点から、優先化学物質の選定基準の開発、化学テロへの国際通報訓練のあり方の開発、情報共有と国際協力のあり方を検討するテーマごとのワークショップを開催してきた。本研究班においては、優先化学物質の選定基準の日本における実効性の検証、ワークショップに日本より発信すべき情報についての検証を行う。
研究方法
化学テロ、放射線テロおよび天然痘、自然災害の分野における国際協力のあり方の検討を行う。
優先化学物質の選定基準の日本における実効性の検証、ワークショップに日本より発信すべき情報についての科学的根拠を与える研究を行う。
 事例研究やシミュレーションモデルの開発、ワークショップのテーマとなる分野の日本での状況などについて研究を行い、その成果をGHSAG化学テロ作業部会、局長級会合、閣僚級会合を通して世界に発信する。また、これらの会合にて明らかになった課題について研究を行う。
結果と考察
日本の対応状況の検討として、天然痘対応行動計画、ガイドライン案を策定したことが主な成果と考えられる。
事例研究としては、硫化水素中毒・自殺事例や食品汚染事故について調査し、対応の課題を検討した事は、国内外への貢献につながるものと考えられる。
国際ネットワークを生かして国内の対応体制の充実を図るための研究としては、優先化学物質選定基準の本邦への活用が進んだ事が主な成果である。
このように、今回の研究成果は、GHSAG作業部会における日本からの科学的根拠として発信された。それは、GHSAG、GHSIを通じて世界において情報共有されることを通じて、健康危機対応体制の進展に資するものである。また、これらの国際ネットワークから得られた知見をもとに検討される我が国における優先化学物質選定基準の本邦への活用等の成果は、日本における健康危機管理体制の整備、日本国民の安全に資するものとなったものと考えられる。
結論
本研究では、国際ネットワークとしてGHSAGに焦点を当て、ネットワークへの情報提供として日本の対応状況の検討、事例研究を行った。また、国際ネットワークを生かして、情報収集などを通じて、国内の対応体制の充実を図るための研究をおこなった。
優先化学物質選定基準の活用の研究、国際ワークショップへの貢献、食品テロ国際協力を必要とするテロのシミュレーションモデルを開発した。また、天然痘テロの分野においては対応ガイドラインを策定した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200942017B
報告書区分
総合
研究課題名
国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 明石 真言(独立行政法人放射線医学総合研究所)
  • 山本 都(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 黒木 由美子(財団日本中毒情報センター)
  • 大日 康史(国立感染症研究所)
  • 齋藤 智也(慶應義塾大学医学部)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 藤井 毅(東京大学医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
G7+メキシコの各国でテロや感染症などの健康危機の国際的な対応を討議する世界健康安全保障行動グループ(GHSAG)においては、化学テロ等の作業部会が設けられ、各国の専門家がそれぞれの国における知見を持ち寄り、それぞれの分野における課題および国際協力のあり方について検討されている。本研究班は、このGHSAG作業部会における課題について、日本からの貢献をするための科学的根拠を提示するものである
研究方法
研究初年度は、医療従事者向けのNBCテロ標準対応手段の教育媒体を開発し、GHSAG化学テロ作業部会ワークショップにおいて発表した。2年目は、引き続き実施される国際ワークショップに貢献するとともに食品テロ国際協力を必要とするテロのシミュレーションモデルを開発した。最終年度は、2年目に開発した食品テロのモデルを用いた訓練を実施し化学テロに対する国際協力の在り方を提示した。また、天然痘ガイドラインについてはどの実効性を検証し、最終案を提示した。
結果と考察
本研究班の成果は、GHSAG作業部会における日本からの科学的根拠として発信される。それは、GHSIを通じて世界における健康危機対応体制の進展に資するものである。
本研究班は、主に化学テロ、核放射線テロ、災害医療および天然痘テロの分野を対象とする。
化学テロについての国際協力においては、優先化学物質選定基準の検証、国際連携訓練の検証と手法の開発、国際協力が必要な化学テロについてのシミュレーションモデルの提示、化学テロ対応について各物質をテーマとしたワークショップを開催し国際協力の必要性について検討することが課題となっている。核・放射線テロについては、関係各国際機関も含めた国際連携などが課題として挙げられている。また、爆発物による負傷者への対応やハリケーンカトリーナ対応などGHSAGにおける関係する検討課題もあげられている。
結論
優先化学物質選定基準の活用の研究、国際ワークショップへの貢献、食品テロ国際協力を必要とするテロのシミュレーションモデルを開発した。また、硫化水素等医療機関に影響のあった化学災害について調査し、世界へ発信しうる医療機関の受け入れマニュアルを策定した。天然痘テロの分野においては対応ガイドラインを策定した。
今後は、放射性物質なども含めた優先化学物質選定基準の応用、化学テロにおける緊急連絡体制の在り方と訓練手法の開発、化学、放射線テロにおける除染手法の開発、各国における対応事例の集積等が課題となる

公開日・更新日

公開日
2010-06-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
人為災害(都市災害)pp 212-215 ドクターヘリ導入と運用のガイドブック メディカルサイエンス社 東京 2009.NBC災害「災 害 医 学」南山堂(改訂第2版)山本保博監修 鵜飼卓 杉本勝彦 編集 東京 2009、NBC災害と病院の対応 救急医学2008年2月号他、国内国外を問わず論文を発表した。また、日本公衆衛生学会総会、日本救急医学会総会等その他、国内国外を問わず学会発表を行った。
臨床的観点からの成果
藤沢市民病院において院内発生災害初期対応マニュアルを作成し、毒劇物の漏えい、散布、爆発などが発生して、院内の患者や職員に被害が及ぶあるいはその可能性がある状態が発生した場合にたいする対応、指揮系統など具体的なマニュアル及び図面により計画的に行うこととした。
ガイドライン等の開発
天然痘テロの分野においては対応ガイドラインを策定した。天然痘ガイドラインについては実効性を検証し、最終案を提示した。そして、今までの国内事例の調査の結果から国際的に発信すべき事項をまとめ2009年6月GHSI(保健担当大臣閣僚級会議)を通じて世界に発信した。それはGHSIを通じて世界における健康危機対応体制の進展に資するものである。
その他行政的観点からの成果
国際ネットワークから得られた知見をもとに検討される我が国における優先化学物質選定基準の本邦への活用等の成果は、日本における健康危機管理体制の整備、日本国民の安全に資するものとなったものと考えられる。また、優先化学物質選定基準の活用の研究、国際ワークショップへの貢献、食品テロ国際協力を必要とするテロのシミュレーションモデルを開発した。
その他のインパクト
食品テロのモデルを用いた訓練を実施し化学テロに対する国際協力の在り方を提示した。また、天然痘ガイドラインについてはどの実効性を検証し、最終案を提示した。そして、今までの国内事例の調査の結果から国際的に発信すべき事項をまとめGHSAGを通じて世界に発信した。

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Okumura T, Kondo H, Nagayama H
Prehosp Disast Med
Simple Triage and Rapid Decontamination of Mass Casualties with Colored Clothes Pegs (STARDOM-CCP) System against Chemical Releases? , 22 , 225-228  (2007)
原著論文2
近藤久禎、奥村徹、黒木由美子
化学テロに対する国際協力体制
中毒研究 , 22 (1) , 38-44  (2009)

公開日・更新日

公開日
2017-08-03
更新日
-