地域における健康危機管理におけるボランティア等による支援体制に関する研究

文献情報

文献番号
200942004A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における健康危機管理におけるボランティア等による支援体制に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
尾島 俊之(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岩室 紳也(地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター)
  • 岡野谷 純(日本ファーストエイドソサェティ)
  • 鳩野 洋子(九州大学大学院 医学研究院保健学部門)
  • 早坂 信哉(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部公衆衛生学)
  • 三輪 眞知子(静岡県立大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,437,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年の震災等で災害ボランティアの活躍が注目されている一方で、平成9年のナホトカ号海難・流出油事故の際に5名のボランティアが活動中に死亡されるなど、安全衛生の確保が重要な課題となっている。健康危機管理におけるボランティア等の活動に関する課題と改善方策を明らかにし、研究成果を普及することにより、行政・関係機関・住民等がより確実に健康危機に対応できることに資することが目的である。
研究方法
 平成21年度は、実態把握として、平成21年7月中国・九州北部豪雨(山口県防府市)、平成21年台風第9号災害(兵庫県佐用町)の被災地等の調査を行った。また、A市A地区の高齢者、全国の市区町村の災害廃棄物担当部局等への郵送調査を行った。自治体関係者へのインタビューや前年度の全国調査結果により、新型インフルエンザその他感染症対策におけるボランティアの役割についてまとめた。クロスロード災害ボランティア編を出版により公表し、また地区組織の健康危機対応支援ツール、安全衛生に関する研修モジュールの開発等を行った。
結果と考察
 平成21年豪雨災害に関する現地調査では、災害ボランティアセンター内に安全衛生体制が整えられ、専門職による作業現場の巡回なども行われていた。市町村の災害廃棄物処理計画において、ボランティアの作業に関し安全確保に留意すると記載している自治体は3.5%にとどまった。高齢者がボランティアに期待することは「避難するために声をかけて欲しい」、「食料、飲料を確保して欲しい」などが多かった。新型インフルエンザ対応においては、感染症の特殊性があるものの地区組織・ボランティアに期待される役割があると考えられた。
結論
 災害ボランティアの安全衛生について改善が見られているものの、まだまだ課題は大きい。自主防・被災者、被災地外からの災害ボランティア、行政、保健医療関係者の活動について、より一層の協働、そしてその推進のための方法論の検討と普及が必要である。
 本研究により、より効果的かつ安全なボランティア活動を行うためのツール開発、研修の実施等を行った。さらに、本研究の成果は、研究班ホームページ、国立保健医療科学院が開設するH-CRISIS等で公表を行った。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200942004B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における健康危機管理におけるボランティア等による支援体制に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
尾島 俊之(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岩室 紳也(地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター)
  • 岡野谷 純(特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサェティ)
  • 鳩野 洋子(九州大学大学院 医学研究院保健学部門)
  • 早坂 信哉(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部公衆衛生学)
  • 三輪 眞知子(静岡県立大学 看護学部地域看護学)
  • 洙田 靖夫(川崎重工業株式会社 播磨工場健康推進センター)
  • 福永 一郎(高知県須崎福祉保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 健康危機管理におけるボランティア等の活動に関する課題と改善方策を明らかにし、研究成果を普及することにより、行政・関係機関・住民等がより確実に健康危機に対応できることに資することが目的である。
研究方法
 実態把握として、平成19年(2007年)能登半島地震(石川県輪島市等)、平成19年(2007年)新潟県中越沖地震(新潟県柏崎市等)、平成21年7月中国・九州北部豪雨(山口県防府市)、平成21年台風第9号災害、その他の被災地等の調査を行った。また、市区町村の自主防災組織担当部局・社会福祉協議会ボランティア活動担当者、新潟県柏崎市の全町内会長、A市A地区の高齢者、市区町村の災害廃棄物担当部局等への郵送調査を行った。検討・提言として、災害ボランティアの類型の整理、平常時からのボランティア支援、新型インフルエンザその他感染症対策におけるボランティアの役割、原子力災害時のボランティア活動等についてまとめた。ツールの開発・試行として、クロスロード災害ボランティア編、地区組織の健康危機対応支援ツール、安全衛生に関する研修モジュールの開発等を行った。
結果と考察
 災害ボランティアの類型と役割を整理した。最近は災害ボランティアセンター内に安全衛生体制が整えられていた。自主防災組織への安全衛生に関する研修を行っている市町村は7%のみであった。柏崎市での調査で町内会長が普段から震災時の被害を予測していた場合に2倍程度住民と被災地外からのボランティアの協働活動が行われやすいという結果が得られた。高齢者がボランティアに期待することは「避難するために声をかけて欲しい」などが多かった。新型インフルエンザ等感染症対策における役割、原子力災害における役割、平常時からのボランティア支援についてまとめた。
結論
 災害ボランティアの安全衛生について改善が見られているものの、まだまだ課題は大きい。自主防・被災者、被災地外からの災害ボランティア、行政、保健医療関係者の活動について、より一層の協働、そしてその推進のための方法論の検討と普及が必要である。
 本研究により、より効果的かつ安全なボランティア活動を行うためのツール開発、研修の実施等を行った。さらに、本研究の成果は、研究班ホームページ等で公表を行った。

公開日・更新日

公開日
2010-06-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
災害ボランティア等に関して、公衆衛生の視点から我が国で初めて検討を行った研究である。災害ボランティアの類型と役割についての整理を行った。また、健康危機管理におけるボランティア活動について、自主防災組織・町内会、また被災地外からの災害ボランティアの活動について、さらに災害時要援護者から見たボランティアへの期待、自治体の災害廃棄物処理計画におけるボランティアの扱い等について、その実態を数量的及び質的に明らかにした。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
町内会等の地区組織で災害への備え及び災害時に活用することができる健康危機対応支援ツールを開発した。また、災害ボランティアの判断力を養うことを目的として、ゲーミングシミュレーションを利用した啓発ツールであるクロスロード災害ボランティア編を開発した。さらに、防災ボランティア研修の一部と位置づける、研修の安全衛生モジュールを開発した。
その他行政的観点からの成果
平成21年7月中国・九州北部豪雨(山口県防府市等)や平成21年台風第9号災害(兵庫県佐用町)では、災害ボランティアセンターにボランティアの安全衛生を担当する専門職のボランティアが配置されるなど安全衛生体制が整えられ、またボランティア活動の安全衛生に関するポスターや啓発資料が活用された。これは、一つには、内閣府防災ボランティア活動検討会ボランティアの安全衛生研究会のこれまでの地道な活動が浸透してきたと考えられるが、当研究班も一定の貢献ができたと考えられる。
その他のインパクト
新潟県中越沖地震に関する緊急集会を開催し、地震災害時の健康危機管理の状況について関係者で認識を共有するとともに意見交換を行った。また、内閣府防災ボランティア活動検討会ボランティアの安全衛生研究会と連携し、ボランティアの安全衛生フォーラムの開催に関わった。さらに安全衛生モジュール研修や、その他開発したクロスロード災害ボランティア編等を活用した研修等を実施した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
尾島俊之、ボランティア研究班
災害におけるボランティアの役割
保健医療科学 , 57 (3) , 245-251  (2008)
原著論文2
鳩野洋子、中山貴美子、飯吉令枝
地震災害時に向けた地区組織との協働支援ツールの開発
地域保健 , 41 (1) , 32-39  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-