栄養・食事関連メディア情報の科学的評価及び国民への影響の分析のための研究

文献情報

文献番号
202308025A
報告書区分
総括
研究課題名
栄養・食事関連メディア情報の科学的評価及び国民への影響の分析のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1022
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
村上 健太郎(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 麻衣(医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 奥原 剛(東京大学 医学部附属病院)
  • 片桐 諒子(医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 大田 えりか(伊東 えりか)(聖路加国際大学大学院 看護系研究科 国際看護学)
  • 西田 優紀(東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター生物統計学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題の目的は、メディア媒体から国民の関心が高い栄養・食事関連情報を抽出し、アンケート等により当該栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握することである。
研究方法
1.「栄養・食事関連メディア情報」を抽出するためのキーワードを同定するために、「一般の人々がどのような検索語を用いて栄養・食事関連メディア情報を収集しているのか」を前提として、思いつく限りの語をあげ、Google Trendsを用いて検索した。
2. 食と健康に関する一般書を日米各100冊、合計200冊を調査し、引用文献の記載の有無と、引用文献の種類(例:研究論文)、引用文献の書き方(文献が一意に特定可能か)など、引用文献の特徴を検討した。
3. 栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握するための調査を実施した。
結果と考察
1. 約15000の「関連キーワード」を得た。このうち、栄養・食事関連情報の抽出に適していると思われるものもののみを抽出し、107の「検索に用いるキーワード」を得た。107のキーワードを用いて、Google検索による「栄養・食事関連メディア情報」の抽出を行ない、合計で1703点の「栄養・食事関連メディア情報」のコンテンツを得た。標準化された手法を用いてコーディングおよび解析を行なった。その結果、日本語で書かれた、食事と栄養に関するオンライン情報の多くは、1)編者や著者を明記していない(54%)、2)広告を含んでいる(58%)、3)参考文献がない(60%)、という問題があることを明らかにした。
2. 日米どちらも約2/3の一般書が引用文献を提示していたが、引用文献の特徴は大きく異なり、対象とした学術研究を引用した一般書は、日本(29冊)では米国(58冊)よりも少なく、100件以上の文献を引用した一般書は、日本5冊、米国37冊であった。
 これ以外にも、さまざまなメディア媒体から、国民の関心が高いと考えられる栄養・食事関連情報を抽出し、分析を進めている。具体的には、主要な疾病と食事に関するウェブサイトの質の評価、妊娠期の食事サイトの質の評価、高血圧と栄養に関するTwitterの内容分析、dietingに関するTwitterの分析、糖尿病と栄養に関するYouTubeの内容分析、ダイエット食品に関する口コミデータベースの分析を行なっている。
3. データを用いて、各種メディアからの栄養・食事関連情報の入手に関する記述疫学研究を進めた。また、主要なメディア(テレビ、ウェブ検索、特定のウェブサイト、新聞、書籍・雑誌、動画サイト)からの栄養・食事関連情報の入手に関連する要因(性、年齢、体重状態、教育歴、世帯収入、就労状態、婚姻状態、居住状態、慢性疾患既往歴、喫煙、居住地域、居住地域の人口規模、栄養に関連する職種、ヘルスリテラシー、フードリテラシー、食事の栄養学的質)を幅広く検討している。さらに、今回の研究目的と必ずしも一致しないが、基礎資料として、フードリテラシーと食事の質との関連を検討した。

結論
メディア媒体から国民の関心が高い栄養・食事関連情報を抽出し、アンケート等により当該栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握した。また、情報受け手側への啓発するためのファクトシートの構成案および情報の発信側に発信の仕方を是正するためのファクトシート案を作成した。

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
2025-04-07

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202308025B
報告書区分
総合
研究課題名
栄養・食事関連メディア情報の科学的評価及び国民への影響の分析のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1022
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
村上 健太郎(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 麻衣(医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 奥原 剛(東京大学 医学部附属病院)
  • 片桐 諒子(医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 大田 えりか(伊東 えりか)(聖路加国際大学大学院 看護系研究科 国際看護学)
  • 西田 優紀(東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター生物統計学分野)
  • 千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題の目的は、メディア媒体から国民の関心が高い栄養・食事関連情報を抽出し、アンケート等により当該栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握することである。
研究方法
メディア媒体から国民の関心が高い栄養・食事関連情報を抽出し、アンケート等により当該栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握した。また、情報受け手側への啓発するためのファクトシートの構成案および情報の発信側に発信の仕方を是正するためのファクトシート案を作成した。
結果と考察
「栄養・食事関連メディア情報」を抽出するためのキーワードを同定するために、「一般の人々がどのような検索語を用いて栄養・食事関連メディア情報を収集しているのか」を前提として、思いつく限りの語をあげ、Google Trendsを用いて検索した結果、約15000の「関連キーワード」を得た。このうち、栄養・食事関連情報の抽出に適していると思われるものもののみを抽出し、107の「検索に用いるキーワード」を得た。107のキーワードを用いて、Google検索による「栄養・食事関連メディア情報」の抽出を行ない、合計で1703点の「栄養・食事関連メディア情報」のコンテンツを得た。標準化された手法を用いてコーディングおよび解析を行なった。その結果、日本語で書かれた、食事と栄養に関するオンライン情報の多くは、1)編者や著者を明記していない(54%)、2)広告を含んでいる(58%)、3)参考文献がない(60%)、という問題があることを明らかにした。
 食と健康に関する一般書を日米各100冊、合計200冊を調査し、引用文献の記載の有無と、引用文献の種類(例:研究論文)、引用文献の書き方(文献が一意に特定可能か)など、引用文献の特徴を検討した。その結果、日米どちらも約2/3の一般書が引用文献を提示していたが、引用文献の特徴は大きく異なり、対象とした学術研究を引用した一般書は、日本(29冊)では米国(58冊)よりも少なく、100件以上の文献を引用した一般書は、日本5冊、米国37冊であった。
 これ以外にも、さまざまなメディア媒体から、国民の関心が高いと考えられる栄養・食事関連情報を抽出し、分析を進めている。具体的には、主要な疾病と食事に関するウェブサイトの質の評価、妊娠期の食事サイトの質の評価、高血圧と栄養に関するTwitterの内容分析、dietingに関するTwitterの分析、糖尿病と栄養に関するYouTubeの内容分析、ダイエット食品に関する口コミデータベースの分析を行なっている。
 栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握するための調査を実施した。このデータを用いて、各種メディアからの栄養・食事関連情報の入手に関する記述疫学研究を進めた。また、主要なメディア(テレビ、ウェブ検索、特定のウェブサイト、新聞、書籍・雑誌、動画サイト)からの栄養・食事関連情報の入手に関連する要因(性、年齢、体重状態、教育歴、世帯収入、就労状態、婚姻状態、居住状態、慢性疾患既往歴、喫煙、居住地域、居住地域の人口規模、栄養に関連する職種、ヘルスリテラシー、フードリテラシー、食事の栄養学的質)を幅広く検討している。さらに、今回の研究目的と必ずしも一致しないが、基礎資料として、フードリテラシーと食事の質との関連を検討した。
 情報受け手側への啓発するためのファクトシートとして、各論的なファクトシートの構成案を、情報の発信側に発信の仕方を是正するためのファクトシート案として、以下のふたつの先行研究をわかりやすくまとめたものを作成した:オンライン栄養情報の質を評価するためのツールの開発と妥当性検証(Ellis CH, Moore JB, Ho P, Evans CE. Development and validation of a quality assessment tool to assess online nutrition information. Digit Health 2023:9:20552076231187249.)およびソーシャルメディアにおける健康情報を評価するための原則(Denniss E, Lindberg R, McNaughton SA. Development of Principles for Health-Related Information on Social Media: Delphi Study. J Med Internet Res 2022;24(9):e37337.)。
結論
メディア媒体から国民の関心が高い栄養・食事関連情報を抽出し、アンケート等により当該栄養・食事関連情報の国民の食行動への影響を把握した。本研究で得られた知見をもとにした今後の研究が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2025-01-09
更新日
2025-04-07

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202308025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で得られたもっとも重要な成果は、「日本語で書かれたオンラインの食事・栄養関連情報の多くは、編者または著者の存在を明示しておらず(46.4%)、広告と伴っており(57.7%)、さらに引用文献がついていない(60%)」(Murakami K, et al. JMIR Form Res.2023;7:e47101.)という観察結果であり、これを国民に対して周知することは社会的意義が非常に高いと考えられる。
臨床的観点からの成果
本研究で得られたもっとも重要な成果は、「日本語で書かれたオンラインの食事・栄養関連情報の多くは、編者または著者の存在を明示しておらず(46.4%)、広告と伴っており(57.7%)、さらに引用文献がついていない(60%)」(Murakami K,et al. JMIR Form Res. 2023;7:e47101.)という観察結果であり、これを国民に対して周知することは、臨床的な観点からも非常に重要といえる。
ガイドライン等の開発
栄養・食事関連メディア情報の発信側に向けて、発信の仕方の是正を促すためのファクトシート案に資する資料として、①オンライン栄養関連情報の品質と正確性を検討した研究の系統的レビュー、②オンライン栄養情報の質を評価するためのツールの開発と妥当性検証、③ソーシャルメディアにおける健康情報を評価するための原則をまとめた。さらに、情報の発信側に発信の仕方を是正するためのファクトシート案として、上記②、③の中心的内容をまとめたものを作成した。
その他行政的観点からの成果
本研究で得られたもっとも重要な成果は、「日本語で書かれたオンラインの食事・栄養関連情報の多くは、編者または著者の存在を明示しておらず(46.4%)、広告と伴っており(57.7%)、さらに引用文献がついていない(60%)」(Murakami K,et al. JMIR Form Res. 2023;7:e47101.)という観察結果であり、これを国民に対して周知することは行政的観点から非常に重要と考えられる。
その他のインパクト
本研究で得られたもっとも重要な成果は、「日本語で書かれたオンラインの食事・栄養関連情報の多くは、編者または著者の存在を明示しておらず(46.4%)、広告と伴っており(57.7%)、さらに引用文献がついていない(60%)」(Murakami K,et al. JMIR Form Res. 2023;7:e47101.)という観察結果であり、これは社会的インパクトが非常に大きい学術的成果である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Murakami K, Shinozaki N, Kimoto N et al.
Web-Based Content on Diet and Nutrition Written in Japanese: Infodemiology Study Based on Google Trends and Google Search.
JMIR Form Res , 7 , e47101-  (2023)
10.2196/47101
原著論文2
Oono F, Adachi R, Yaegashi A et al.
Are popular books about diet and health written based on scientific evidence? A comparison of citations between the USA and Japan.
Public Health Nutr , 26 (12) , 2815-2825  (2023)
10.1017/S1368980023002549
原著論文3
Murakami K, Shinozaki N, Okuhara T et al.
Prevalence and Correlates of Dietary and Nutrition Information Seeking Through Various Web-Based and Offline Media Sources Among Japanese Adults: Web-Based Cross-Sectional Study.
JMIR Public Health Surveill , 10 , e54805-  (2024)
10.2196/54805
原著論文4
Murakami K, Shinozaki N, Okuhara T et al.
Self-perceived food literacy in relation to the quality of overall diet and main meals: A cross-sectional study in Japanese adults.
Appetite , 196 , 107281-  (2024)
10.1016/j.appet.2024.107281

公開日・更新日

公開日
2024-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
202308025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,996,000円
(2)補助金確定額
8,996,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 811,183円
人件費・謝金 1,939,861円
旅費 248,740円
その他 3,920,216円
間接経費 2,076,000円
合計 8,996,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-12-09
更新日
-