感染症への国民啓発に効果的なリスクコミュニケーション方法と教育方法に関する研究

文献情報

文献番号
200931004A
報告書区分
総括
研究課題名
感染症への国民啓発に効果的なリスクコミュニケーション方法と教育方法に関する研究
課題番号
H19-新興・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学 医学部公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 肇子(慶應義塾大学 商学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部)
  • 濱田 篤郎(海外勤務健康管理センター)
  • 谷口 清州(国立感染症研究所)
  • 重松 美加(国立感染症研究所)
  • 杉浦 淳吉(愛知教育大学 教育学部)
  • 山崎 瑞紀(東京都市大学)
  • 城川 美佳(東邦大学 医学部)
  • 高木 彩(千葉工業大学)
  • 竹中 伸一(結核研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民が最低限の知識を得、国民が、感染症に関して正しく理解し、リスク回避行動をとることができるよう効果的なリスクコミュニケーションとして、 ゲーミングシミュレーションを利用したプログラムとツールを開発する。また、リスクコミュニケーションの現状について検証する
研究方法
開発グループのディスカッションによりゲーミングシミュレーションを開発し、モニターによる観察法や質問紙を利用して効果評価を行う。また、新聞記事データベースを利用し量的に分析し検証する。動物由来感染症に関するHPの情報整理を行う。
結果と考察
1.子ども向け予防行動習得2.ライフステージにおける感染症(ボードゲーム形式)3.狂犬病予防のゲーミングシミュレーションが完成し一部評価した。1.:20組の5歳児をもつモニター家族が1週間利用し、利用中の観察及び利用後の考えを自由記載による質問紙調査で評価した。生活習慣を気がけるようになった65%、用語の習得50%等とある程度効果が見られた。「カードから身についていることが感じられた」「親も含めて生活習慣の確認ができた」等記述されていた。親子で話すきっかけになった(75%)とコミュニケーションツールとしての効果も確認できた。2.:サイエンスカフェ形式で小学生以上の利用者とその保護者からの自由記載による質問紙調査を行った。「病気にならないようにしようと思った」「赤ちゃんは病気が多いことがわかった」「なんとなくこういうときにこういう病気にかかるんだなとわかった」「すごろくをしながら感染症のことがわかって面白い」等の記載がみられた。3.は評価票を作成した。完成したツールなどの普及のためにHPを開設した。http://gamesciencecafe.com/
新型インフルエンザの国内新聞報道分析では、時系列では記事数とは逆に後半になるほど字数の増加が見られたが、拡大予防の重要性や国際・国内知見の報道量は明らかに減少していた。HP「動物由来感染症を知っていますか」は500以上の階層があり改善必要性が確認できた。
結論
完成したゲーミングシミュレーションでは、子どもにおいて利用可能で、楽しみながら情報を得られる満足感や学習効果がある程度確認できた。残された課題として、完成したプログラムとツールのさらなる評価と、普及方法の検討の必要性があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-07-15
更新日
-

文献情報

文献番号
200931004B
報告書区分
総合
研究課題名
感染症への国民啓発に効果的なリスクコミュニケーション方法と教育方法に関する研究
課題番号
H19-新興・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学 医学部公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 肇子(慶應義塾大学 商学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部)
  • 濱田 篤郎(海外勤務健康管理センター)
  • 谷口 清州(国立感染症研究所)
  • 重松 美加(国立感染症研究所)
  • 杉浦 淳吉(愛知教育大学 教育学部)
  • 山崎 瑞紀(東京都市大学)
  • 城川 美佳(東邦大学 医学部)
  • 高木 彩(千葉工業大学)
  • 竹中 伸一(結核研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民が最低限の知識を得、国民が、感染症に関して正しく理解し、リスク回避行動をとることができるよう効果的なリスクコミュニケーションとして、 ゲーミングシミュレーションを利用したプログラムとツールを開発する。また、リスクコミュニケーションの現状について検証する
研究方法
開発グループのディスカッションによりゲーミングシミュレーションを開発し、モニターによる観察法や質問紙を利用して効果評価を行う。また、新聞記事データベースを利用し、量的に分析し、検証する。動物由来感染症に関するHPの情報整理を行う。
結果と考察
新型インフルエンザ、海外渡航者向け、感染性胃腸炎対策、AIDS,子ども向け予防行動習得、ライフステージにおける感染症、狂犬病予防の7つのテーマで8つのゲーミングシミュレーションが完成した。また遊び方についてはYOUTUBEにて公開し普及を図った。カードゲーム形式では、AIDSカルテットで、実施前後の知識量の増加が前後の質問紙調査により確認できた。幼児対象の予防行動習得ではモニターの観察による質問紙調査において、生活習慣で気がけるようになった65%、用語を習得50%等とある程度の効果が見られた。ボードゲーム形式では、専門家対象感染性胃腸炎対策講習での利用において、感染のシミュレーションの理解81.3%、連携の重要性の認識89.8%と効果が大きかった。新型インフルエンザの新聞による国内報道では、時系列では記事数とは逆に、後半になるほど字数は増加していたが、拡大予防の重要性や、国際・国内知見の報道量はあきらかに減少していた。HP「動物由来感染症を知っていますか」では500以上の階層と情報となっており改善の必要性が確認できた。評価方法について、子どもを対象とした評価は利用した本人からの評価が困難なため、評価法の開発もする必要があることが確認できた。
結論
完成したゲーミングシミュレーションでは、情報弱者にも利用可能であり、楽しみながら情報を得られる満足感が確認できた。残された課題として、完成したプログラムとツールの普及方法、子ども、高齢者、視聴覚障害者、在日外国人などの情報弱者に対象を絞ったもの、Webを利用した双方向コミュニケーション、医療機関を通じた感染症情報提供としてのリスクコミュニケーションの在り方について検討の必要性があると考えられた

公開日・更新日

公開日
2010-07-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200931004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
リスクコミュニケーションの媒体として、心理学を背景としたゲーミング・シミュレーションを利用した開発が可能であることが明らかとなった。その結果、パンフレットやポスターとは異なる新たな媒体として、カードゲームやボードゲームが利用できた。これらによって、情報弱者に対するリスクコミュニケーションの可能性が示唆された。また知識量が増えるとともに正確に習得できることが明らかとなった。また新聞報道分析によって情報提供の問題点が抽出された。
臨床的観点からの成果
専門職を対象とした研修に利用される媒体とそのプログラム、広く一般国民を対象としたリスクコミュニケーションにおいて利用可能な媒体開発が明らかとなった。健康被害防止及び混乱回避のための情報伝達の在り方が、新聞報道分析によって明らかとなった。
ガイドライン等の開発
カードゲーム5つとボードゲーム2つが開発された。カードゲームのテーマは新型インフルエンザ、狂犬病予防啓発、エイズ予防、生活習慣における感染症予防行動であり、ボードゲームは、海外渡航における感染症予防、ライフステージにおける感染症、感染性胃腸炎予防である。カードゲームは(財)日本公衆衛生協会から発行となった。
その他行政的観点からの成果
開発された新型インフルエンザに関するカードゲーム付パンフレットが厚生労働省HPよりダウンロードでき広く利用可能となった。
その他のインパクト
開発されたツールのうちエイズ予防・新型インフルエンザの2つのテーマに対してカルテットゲームとクロスロードゲームがそれぞれ、共同通信による配信の他、日経、読売、朝日の3誌に掲載された。また、「サイエンスアゴラ2009」(日本科学未来館)「大学サイエンスフェスタ(北海道大学)」(日本科学博物館)においてイベントにおいて主として子どもに対して感染症の普及啓発として、カードゲーム及びボードゲームが利用された。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
堀口逸子、吉川肇子、丸井英二、他 
新型インフルエンザ(パンデミックフル)に備えた危機管理研修教材の開発とその有用性の検討-ゲーミング・シミュレーションを利用して-
厚生の指標 , 55 (3) , 11-15  (2008)
原著論文2
柏木知子、堀口逸子、丸井英二 
住民への普及啓発が必要な感染症は何か 感染症専門医を対象とした質的調査
感染症学会誌 , 83 (1) , 12-18  (2009)
原著論文3
堀口逸子、柏木知子、丸井英二 
民への普及啓発が必要な感染症は何か 行政機関感染症対策担当者を対象とした質的調査
感染症学雑誌 , 82 (2) , 67-72  (2008)
原著論文4
吉川肇子、 重松美加
リスクコミュニケーションとは その歴史と現代における課題
医事新報 ,  (4397) , 78-83  (2008)
原著論文5
堀口逸子、 黒瀬琢也、丸井英二、他
感染性胃腸炎対策研修プログラムにおけるゲーミングシミュレーション利用の評価
厚生の指標 , 56 (10) , 41-43  (2009)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-