妊産婦死亡及び乳幼児死亡の原因究明と予防策に関する研究

文献情報

文献番号
200923018A
報告書区分
総括
研究課題名
妊産婦死亡及び乳幼児死亡の原因究明と予防策に関する研究
課題番号
H21-子ども・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 智明(国立循環器病センター 周産期治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 池ノ上 克(宮崎大学医学部 産婦人科)
  • 岡村 州博(東北大学医学部 産婦人科)
  • 末原 則幸(東北大学医学部 産婦人科)
  • 中林 正雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター愛育病院 産婦人科)
  • 照井 克生(埼玉医科大学 総合医療センター 産科麻酔科)
  • 石渡 勇(石渡産婦人科病院)
  • 金山 尚裕(浜松医科大学 産婦人科)
  • 藤村 正哲(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学 母子総合医療センター)
  • 阪井 裕一(国立成育医療センター 総合診療部)
  • 山中 龍宏(緑園こどもクリニック 小児科)
  • 渡辺 博(東京大学医学部付属病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界的にトップである周産期死亡率と新生児死亡率に比較して、1-4歳の乳児死亡率は10万人当たり25と、先進国の中で17位と高い。妊産婦死亡率も、平成17年に10万出産当たり3.1と世界のトップクラスになったものの、昨今の「産科医師不足」「萎縮医療」などによって再度悪化する可能性も高い。本研究班は、妊産婦死亡と乳幼児死亡の原因究明と予防策に関して、多角的に検討することを目的としている。
研究方法
【妊産婦死亡班】「わが国の妊産婦死亡の調査と評価に関するモデル事業」として、日本産婦人科医会と協力して、全国で全妊産婦死亡事例を調査、評価、再発防止を行うインフラ整備を行った。全国の分娩取り扱い施設における麻酔科診療実態調査をおこなった。羊水塞栓症、脳血管障害、周産期心筋症、悪性腫瘍に関するなど、重要な死因について、調査分析を行った。
【乳幼児死亡班】2005、6年の2年間の1-4歳児死亡小票、全2245例を対象に、分析を進めていった。また、各死因についての国際比較も行った。
結果と考察
【妊産婦死亡班】妊産婦死亡に対する剖検マニュアルを作成し、雑誌投稿した。麻酔科診療実態調査により、麻酔科不足の実態が明らかとなった。羊水塞栓症の新しい病態、すなわち子宮静脈に流入した胎児成分が、「DIC型後産期出血」と呼ばれていた病態を起こすことを明らかにした。日本産科婦人科学会と協同で、「胎児心拍数波形の分類に基づく分娩時胎児管理の指針」を作成した。【乳幼児死亡班】①事故死の場合、死亡するまでの時間が中核病院の方が、一般施設より長いことが分かった。また、交通事故死で、手術を受けたものはわずか9%で、その内の90%以上が救命救急センターで手術を受けていることが分かった。これらより、事故症例が、充分人的物的資源の整った施設で治療がなされていない可能性が疑われた。②国際比較から、外因死よりもむしろ内因子対策が重要であることがわかった。特に、呼吸器疾患が抜きん出て悪かった。周産期に原因を発する死亡のうち、心臓疾患が約半数を占めていた。
結論
妊産婦死亡の全例を登録し評価するシステム、剖検マニュアル、羊水塞栓、間接産科的死亡原因、各診療科や内部での連携について、重要な進展があった。1-4歳児死亡は、外因死も内因死もどちらも改善の余地があり。特に、外因死に対して、全国的に小児救命救急センター機能も持った小児集中治療室を整備すること、内因死は、特に呼吸器疾患と心疾患に対する調査と対策が重要であることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
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